『プレミアリーグ完全ガイド』を読んだら過去のキワモノチームたちの記憶が蘇ってきた件

 

献本してもらいました。

予測不能の プレミアリーグ 完全ガイド (エルゴラッソ) | 内藤 秀明, サッカー新聞エル・ゴラッソ編集部 |本 | 通販 | Amazon

 

一番共感したのは、あとがきのこの部分。

ただ何回もプレミアパブの会員の皆さんに壁打ちをさせてもらって「結局、〇〇のクラブの今の魅力って何なんでしたっけ?」「散々語られてきてるなかで、僕たちが面白いとしている部分ってどこでしたっけ?」なんて議論を重ねながら書き進めていったわけなのですが

そうなんですよ。プレミアは20チームのいずれにも愛すべきポイントがあり、そしてそれが見つけやすい(あと英語圏だから継続的にアクセスしやすい)。サッカー観戦がグローバルに広がれば広がるほど、ビッグクラブとその他の差は広がってしまう。最近では欧州スーパーリーグという、「もうビッグクラブ以外全部2部で良いでしょ!w」的な提案をする奴も出てきているが、ビッグクラブ以外にも、面白いチームは山ほどあった。というか、ビッグクラブ以外こそ面白いのである。この本を読んでいると、ラブリーさが溢れていた過去の記憶が蘇ってくる。

 

 

例えば03年から05年のエヴァートン

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ダブルボランチ、グラヴェセンとカーズリー

まずもう、ダブルボランチのビジュアル的存在感がすごかった。ジンチェンコとデブライネでダブルデブライネとか言ってる場合ではない。

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例えば04-05シーズンのボルトン。世界のロングボール史に燦然と輝くこのチームは、とにかくどさくさ紛れで点を取ることがべらぼうに上手かった。

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これとか

 

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これとか

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あるいはこれとかな。

 

 

 

しかもそれをやらせたメンバーが凄かった。凄かったと言うか、キワかった。

 

レアル・マドリーで野次られすぎて鬱になった男、イバン・カンポ

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イングランドで一旗揚げたいガチムチチュニジアレスリング、ラディ・ジャイディ。

Arsenal's French forward Thierry Henry ( : ニュース写真

 

リヴァプールが扱いきれなくて追い出されたセネガルの火薬庫、ディウフ

Bolton Wanderers v Sunderland - Premier League : ニュース写真

 

レアルのキャプテンとしてCL優勝3回、もうキャリアでやること1つもなし!の余生過ごしおじさんフェルナンド・イエロ

Bolton Wanderers v Everton : ニュース写真

 

上手すぎて何でボルトンにいるのか誰もわからんジェイ=ジェイ・オコチャ

Bolton Wanderers v Tottenham Hotspur : ニュース写真

 

若いときに「シアラー二世」の看板が壮大にコケたあと、FWから尻相撲取りにクラスチェンジしたケヴィン・デイヴィス

Bolton Wanderers v Sunderland - Premier League : ニュース写真

 

レスターが優勝したときに「雑草軍団」という評があったが、あっちが雑草軍団ならこっちはアストロ球団であった。

 

 

あるいは08-09シーズンのWBA

最終的には降格してしまったが、このシーズンのWBAはとにかく「丁寧」であった。4-1-4-1のフォーメーションで、アンカーには後にセリエAベストイレブンにも輝くボルハ・バレロインサイドには交通整理マンのジョナサン・グリーニングと、スロヴァキアのダビ・シルバことロベルト・コレン。これに点は取れないがポストプレーは上手いFWのロマン・ベドナーシュが絡んで、とにかく丁寧に丁寧に崩す。


West Bromwich Albion v Burnley - FA Cup 4th Round : ニュース写真

さっきも書いたように結局降格したのだが、なんか見てると爽やかな気分になるチームだったと思う。未来があるな、みたいな。実際あって、監督だったトニー・モウブレーは現在ブラックバーンを指揮しているが、今やブラックバーンは丁寧なサッカーが身につくチームとして、チェルシーリヴァプール、シティなどから若手のレンタル先として人気がある。

www.footballista.jp

(まあ、この記事はThe Athleticの記事をそのまんまコピーし過ぎで、ボリスタの記事として出すのはどうかとは思ったが)

 

 

あるいは、09-10シーズンのブラックプール

ブラックプールは、持ってる戦力とやりたいことの差がプレミア史上最も激しかったチームの1つであった。1人を除いてどう見ても2部の中堅レベルのメンバーで、むちゃんこ攻めたのである。

Blackpool v Bolton Wanderers - Premier League : ニュース写真

 

ボールを持ったら前に7人。後にリヴァプールでもプレイしたチャーリー・アダムが繰り出すタッチダウンパスめがけて走る3トップ。突っ込むMF。がら空きの後ろ。リヴァプールアーセナル、シティといった強豪を苦しめたブラックプールは、ハチャメチャに失点を重ねて降格した。

 

あとブラックプールは、監督のたとえ話力が高かった。

Tottenham Hotspur v Blackpool - Premier League : ニュース写真

例えばグアルディオラなりモウリーニョなりが、ギリギリ勝った試合を「紳士的な例えで言うと、ナンパ行って、最高とは言えないけどまあとりあえずタクシー乗せてお持ち帰りはできましたと。あっ、でも明かりの下で見たらあんまり可愛くねーな、ってなって、じゃあ送って帰ろうかなって思ったら、向こうめっちゃ乗り気で、コーヒーでも飲んでく?って言われちゃって、どうすんべみたいな感じかな」とか言ってくれるだろうか?絶対言ってくれないでしょう。

 

 

 

 

話が長くなったが。プレミアを見ていると、そういう愛すべきチーム、愛すべきシーズンが見つかる。そのためにはまず全体像を掴めていると役に立つ。昔はそれがコージー東元先生のテッキトーなコラムだった(若い子は知らなくて良いが)。今はこんなにしっかりした本があるのである。

 

ということで、『プレミア完全ガイド』おすすめです。ちなみに内容はこのブログより相当ちゃんと書いてあるので、お前のキワチームは自分で見つけろよな。

予測不能の プレミアリーグ 完全ガイド (エルゴラッソ) | 内藤 秀明, サッカー新聞エル・ゴラッソ編集部 |本 | 通販 | Amazon