2016/17 マンチェスター・シティ 選手名鑑(トップチーム編)

1            Claudio Bravo      クラウディオ・ブラボ            GK          33歳

ハートに関するあれこれで、来る前からファンの間に複雑な感情渦巻いてしまったチリ代表の守護神。まあしかし、シティがバルサの正GKを取る時代よの。こないだのストーク戦で明らかになったように、GKからのビルドアップは攻撃だけでなく守備の策でもあるので、試合中のパフォーマンスを安定させる人材としても期待がかかる。

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13          Willy Caballero    ウィリー・カバジェロ            GK          34

サビオラロマニョーリダレッサンドロマキシ・ロドリゲスコロッチーニ、アルカといった錚々たるメンバーとともにワールドユースを制した際の正GK。シティではいまいち信用が無かったが、昨シーズンのリーグカップ決勝でPKを3本止めてヒーローに。今シーズンはハートのサブ降格に伴いまさかのスタメン抜擢と相成ったが、別にハートと比べてさほどつなげるわけではない。いい人。

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54          Angus Gunn         アンガス・ガン       GK          20

父ブライアンはノリッジの名GK、母スーザンは芸術家。15歳のときにノリッジから移ってきた。ハートの移籍によって第3GKに収まりそうだが、さすがにブラボとカバジェロ相手に出番を得られるとは期待し難く、キャリアを考えればレンタルに出してあげたい感じはある。ハートよりも足技に優れているらしく、ペップはそこら辺を評価しているという噂。

 

 

4            Vincent Kompany               ヴァンサン・コンパニ         CB          30

ハートの移籍によって(自前育成組を除けば)チーム最古参となった主将。DF課の課長。昨シーズンは試合に出ているときは良かったが、とにかく怪我に次ぐ怪我で稼働率低すぎ。課長のくせに有給消化しまくり。数年前はバカみたいな機動力とパワーでとにかく相手を捕まえて叩きのめすスタイルだったが、加齢とともに良くも悪くも落ち着きつつある。

キック力はあるが組み立てが巧いタイプとは決して言えないので、ペップ政権下でどの程度の役割を担えるのかは今後の体調と努力次第だが、コンパニの存在感が低下するというのは、寂しいけどクラブとしては健全ではあると思う。

 

 

11          Aleksandar Kolarov          アレクサンダル・コラロフ      CB/LB    30

ファンからの信頼はないが、キック力と味方の祝福力はべらぼうにあるセルビア人。それなりに古参。昨シーズンは序盤好調、からの使われすぎて勤続疲労、後半は言わばそびえたつ糞。本人には特に自覚は無く、後述する今シーズンの大変身にも「いや、おれはずっとちゃんとしてたし(別にペップが来てめっちゃ良くなったわけじゃないし)」と臆面も無く言い放ち、私を脱力させた。

今シーズンは放出候補筆頭と目され、実際にベシクタシュへの話が進んでいたらしいが、恐らくラポルトビルバオ)の獲得失敗もあって残留。CBにコンバートされ、ここまではまさかまさかの素晴らしいパフォーマンスを披露している。ボールを運びながら味方を探すのが巧く、加えてワンステップで逆サイドまでボールを届けられるということで、ビルドアップへの貢献度は高い。果たしてこの感じがシーズン終了まで続くやら。

 

 

24          John Stones         ジョン・ストーンズ             CB          22

エヴァートンから43百万ポンドとかそこらで加入。世界で2番目に高いDFとなったが、ここまではむしろ安かったな的な反応が大勢を占めている。守備も安定しているが、とにかくビルドアップが本当にお上手。直近の試合では恐らく意識的にアンカーと入れ替わって中盤でボールを捌くシーンも見られ、目新しい動きなのでちょっと注目している。

 

 

30          Nicolás Otamendi               ニコラス・オタメンディ      CB          28

加入1年目の昨シーズンは、寝ても覚めてもスライディング。ディスカバリーチャンネルのシャチ特集と見まがうばかりにのた打ち回っていたが、今年はペップの「CBがあんまりスライディングに頼るのどうかと思う」という至極真っ当な指摘によって自重中。ビルドアップはおっかなびっくりだが、力任せにぶっ叩くしかなかった昨シーズンと比べると、相当に進歩はしている。前へのボールには地上でも空中でも滅法強いので、カウンター封じには役に立つ。強面の割に、目はつぶら。南アフリカW杯のときはマラドーナが右バックで使って大失敗した。

 

 

53          Tosin Adarabioyo            トーシン・アダラバイヨ         CB          18

5歳からシティに所属している、190cm超えのイングランドU19代表。自分の名前が読みづらいことを自覚してか、Twitterの公式アカウントにわざわざ「あだ・ら・ばい・よ」と読み方を書いている、かわいいやつ。最初に見たときはあからさまにパス出しがヘッタクソだったが、その後のプレーを見る限りボールを持つのは嫌いではなさそうなので、期待したいところ。現状守備は相当に危ういが、ペップには割と期待されているらしく、CBの4~5番手としてそこそこ出番はありそう。

 

 

3            Bacary Sagna      バカリ・サニャ       RB(/CB)              33

フランス代表でレギュラーを張る右サイドバックのおじさん。安定した守備と高さ、そこそこの攻撃への貢献に加え、サバレタの衰えもあって去年はレギュラー。前線が小兵揃いのチームにあって、高さを活かして貴重なゴールキックのExit先として働く。奥さんは向こうが14歳のときからずっと付き合っているらしいが、その割にはモデルとかやってる超セクシーな美人で、見る目すごいなあんた。引退したらスカウトになったらいいと思う。

 

 

5            Pablo Zabaleta    パブロ・サバレタ    RB          31

人呼んで男サバレタコラロフの2万倍くらいファンの信頼を得ている右サイドバック。昨シーズンは相当に低調な出来で移籍が噂されてしまったが、色々あって残留。今シーズンは副キャプテンを務めつつ、昨年より元気な姿を見せているが、ドリブル対応がめっきり弱くなってしまったのは寂しい限り。インサイドでアラバロールをこなすのはそこそこ上手そう。

 

 

50          Pablo Maffeo       パブロ・マフェオ    RB          19

今年トップチームにデビューした若いスペイン人。もともとはエスパニョールの下部組織にいた。守備がとにかくキビキビとしていて、滅多なミスは犯さない雰囲気。コラロフよりよっぽど規律があった。ボールを持ったときはびびりまくっており、攻撃時の貢献はさっぱりだったが、守備が安定していそうなので使う側からすると気が楽なのではないか。

 

 

22          Gaël Clichy           ガエル・クリシ       LB          31

アーセナル時代の約10年前に1回ベストイレブンに選出。目立たないし、プレミアで最高のサイドバックかと言われるとそうでもないが、大体いつも安定したパフォーマンスを提供してくれるベテラン。アーセナル育ちの杵柄か、今年はいわゆるアラバロールに一試合目から順応しており、やったぜアーセンさすがあんたは最高だな。弱点を強いて言えば、空中戦に弱くパワーで押し込まれやすいところか。あと、ロングフィードはさほど上手くない。

 

 

69          José Ángel Tasende "Angeliño" ホセ・アンヘル・タセンデ(アンヘリーニョ) LB/LWG         19

またの名をアンジェリーノ。ガリシア人で、デポルティボのアカデミーから引き抜いた。スペイン人の若手左サイドバックと言うのはウィング崩れで攻撃大好きでなければならない、というのはEU法に定められているところであるが、彼も当然ウィング崩れで攻撃大好き。爆走兄弟パス&ゴー。まだトップでは途中出場に留まるが、ボール捌きもそれなりに自信がありそうだし、キックの精度も悪くない。アルバやベルナトのようになってくれると良いのだが。

 

6            Fernando             フェルナンド          DMF       29

ラッパーのT.I.にどことなく似ている守備型ボランチ。食いついたボールに触る能力は高く、相手がメッシでもなければある程度の対応は期待できる。反面足元は大したことが無く、大分マシにはなったものの、相手にどストライクのパスをかましてカウンターの火種になることも多々ある。ジーニョがアンカーで使われる以上、守備要員以上の起用は難しいかもしれない。

性格はいたって真面目。ひどい試合のあとでも「僕たちがんばります!」みたいなTweetを即座に上げてくれるが、空気は読めない。

 

 

25          Fernandinho        フェルナンジーニョ DMF/CMF             31

就任後のペップが真っ先に名前を挙げて褒めちぎったブラジル代表。本来はいわゆる8番的な、Box-to-Boxの動きを得意とするが、ペップ政権下ではアンカーとして登場。広いカバー範囲、攻守に役立つ近接戦闘スキルを備え、ブスケッツアロンソとはまた違ったアンカー像を見せてくれている。大体いつもニヤケ顔。こういう顔は珍しい。

 

 

75          Aleix García         アレーシュ・ガルシア            DMF       19

ビジャレアル育ちのカタルーニャ人。昨シーズンのFAカップチェルシー戦でデビュー。シンプルなプレーで組み立てに貢献するレジスタ。ペップの好みにいかにも合致しているのではないか、ということで期待は大きく、実際に今シーズンはトップチームに帯同しているようだ。出てきたときのブスケッツほど衝撃的に上手かったらいい・・・のだが、何試合か見る限り、現実はそんなに甘くないので今後の成長に期待。

 

 

8            İlkay Gündoğan   イルカイ・ギュンドアン         CMF        25

香川の元同僚としてお馴染みのトルコ系ドイツ人。年を追うごとに、トルコのオッサン丸出しの顔になっている。今シーズンから加入。長引く怪我でまだシティではプレーできていないが、まあさぞかし上手いんだろうよ。シルバへの依存がこれ以上高まらないよう、崩しに組み立てに、求められるハードルは高い。

 

 

17          Kevin De Bruyne  ケヴィン・デブライネ            CMF/AMF/WG      25

払って良かった100億円。あっという間にファンの心を掴み、Seven Nation Armyの替え歌チャントも人気が高いベルギー人。「五分のボールをとにかく自分のものにする」「トップスピードでボールを扱う」ことにかけてはシティ1。ペップ政権下では右のCMFで起用されているが、ボールをもぎ取ってからの急加速で一気に大チャンスを作ってくれるうえ、セットピースでは精度の高いボールを入れてくれるという。払って良かった100億円(大事なことなので2回言いました)

一方でエリア内に入っての得点は苦手にしており、CMFにチャンスが訪れる設計の現政権下では役割に苦しんでいる感もある。まあ贅沢な悩みではあるが。私服はダサい。

 

18          Fabian Delph       ファビアン・デルフ             CMF      26

20でリーズからヴィラに移籍。当初は使い物にならないとか何とか言われながら、辛抱強く育ててもらい、ついにキャプテン・・・になったところで思いっきり移籍した。ほんと、ごめんなさいね。

スピードと持久力があってカバーできる範囲が広く、しっかりキープできる足技と左足のミドルもあるが、如何せん稼働率が低いのが惜しいところ。CMFでレギュラーが張れるほど上手かと言われると、そこも苦しかったり。多分、ポジショニングによって相手を動かすということに慣れてないんだと思う。今シーズンはCMFの控えが中心かと思われるが、何かしら使い道が無いものだろうか。

去年、相当に天然であることが露呈。恐らく下の写真も何も考えていない。

 

 

21          David Silva          ビド・シルバ       CMF/AMF             30

日本でのシティ人気に関して確実に一端を担っているであろうチームの重鎮。現地フォーラム等でも折に触れて「シティ史上最高の選手なのでは」という話が出る。私が決めて良いんなら、まあ銅像は建てるわな。8回は建ててる。

今シーズンはAMFからCMFにコンバートされ、相手の視野のコントロールとか、相手の担当範囲を迷わせるポジショニングとか、シルバの得意範囲が存分に発揮されており、楽しいシーズンの予感。サイズこそないが、守備でも勘が良くきっちり走るので、プレッシングが整備された今シーズンは守備でも効いている。弱点はシュートが上手くないということで、体格的に強いシュートも打ちづらいし、よくフカす。まあ「北川景子は食べ方に難がある」とか、そういうレベルの難癖かもしれんが。

 

42          Yaya Touré           ヤヤ・トゥレ          CMF        33

毎年恒例「トゥレちゃん絶対やめへんで!」シリーズの収録を終え、無事残留。近年のシティのタイトルは全てヤヤトゥレ加入後であり、コンパニやシルバにも劣らない功績の持ち主なのだが、近年の怪しい態度によって自分の立場をどんどん怪しくしている。ここ2年で本当に走れなくなり、ついにはボールキープ力も失ってしまった。勘所で通すパスはトゥレにしか提供出来ない価値だが、そのために払う費用を考えると、ついに起用の収支がマイナスになってしまったように思われる。また、足元に貰ってなんぼなので、自分のポジショニングで攻撃を動かす意識が薄いところもなあ。すぐ下がって受けたがるし。恐らくはCMFの控えだが、果たしてペップはどう使うのか。

 

 

7            Raheem Sterling  ラヒーム・スターリング         WG         21

快足ウイング。リヴァプールファンのアイドル・・・という冗談を言う気にも中々なれないところがある。リヴァプール時代からどうでもいいことでめちゃくちゃなことを言われている選手だったが、シティへの移籍以降、その傾向はより顕著に。いくら代表での出来が悪かったからといって、SUN紙のヘイトキャンペーンは常軌を逸している。はあ。

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その中で、本人はペップ就任以来生まれ変わったように活躍。ドリブル突破だけでなく、速い切り替え、運動量、クロスの精度などあらゆる面で向上。これであとは点が取れれば申し分ない。

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15          Jesús Navas        ヘスス・ナバス       WG         30

セビージャ時代、この人は本当にリーガの右サイドを切り裂いていたのだろうか。常に全力の清涼感溢れるプレースタイルながら、結果としては恐ろしく右サイドが膠着するという不思議な男。とにかくバタバタしてるし、相手も対応でバタバタするんだけど、遠めで見ると「ああ、やってんな」くらいの静寂さ。

まあ真面目に言えばスピードもまだ残っているし、守備にも戻るし、ドリブルの実効性やクロスの質も今年は多少マシに見える。1つのことしか出来ないが、その分パフォーマンスにムラは小さい。相手DFに対して有利に立つことは少ないが、不利になることもあまりない。ダイレクトのパスが下手なのが、ペップ政権下では惜しいところ。

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9            Nolito    ノリート  WG         29

ハリウッドのザコ悪役っぽい顔をした左ウィング。スカーレットヨハンソンにボッコボコにされてそう。黒服で。見た目はいかついが、点が入ると真っ先に若手を祝福してくれたり、根はいい人のようだ。怪物的とはとても言えないが、ペップの希望で獲った(と言われる)だけあり、攻守に休み無く働いてくれる。得点力もそこそこありそう。

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19          Leroy Sané           リロイ・ザネー       WG         20

父親は元セネガル代表、母親は新体操のロス五輪銅メダリスト。19歳でドイツ代表にデビューし、今年はEUROにも出場。スターリングに似たスピードのあるウィングだが、サイズがある(184cm)のもあり、スターリングよりは強いシュートが打てそう。ひたすら2列目を集めまくっている最近のシティだが、その中でもペップが好きそうな強くてデカくて速いアスリートなので、楽しみにしている。ヒップホップ好きそう。

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10          Sergio “Kun” Agüero         セルヒオ・アグエロ  CF       28

プレミアリーグの過去10年間で唯一、年間平均得点が25点を超える男。でもベストイレブン(Team of the Year)には選ばれたこと無し。純粋な能力としてはそれこそスアレスと並べても恥ずかしくない、と言いたいところだが、シティが世界的にはあんまり人気がないからか、ハムストリングがちょっとシャイだからか、今一つ「世界最高のFW」とは言い難い空気があるように思われる。

ワントップへの要求事項が多く厳しい今シーズン、やや動きすぎてチャンスを逸している感があるが、押しも押されぬ世界屈指のFWに向けて、更なる覚醒のシーズンを期待したい。何も、メッシになれとは言わんから。

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72          Kelechi Iheanacho             ケレチ・イアナチョ  CF       19

人を呪わばイヘ穴チョ。17,8歳のときにナイジェリアから連れてきた若手FW。もともとは下がり目のフォワードだったが、シティでは徐々にワントップとして固まりつつある。

トップチームにデビューした昨シーズンは全大会通じて36試合14得点とブレイク。判断は遅いし、ボールは割と失うし、スピードはあるんだけどちょっと鈍いし、パスも出せるしドリブルもできるけどめちゃめちゃ上手いというわけでもないし、何が良いのかは今一つよくわからんが、とにかく点は取る。エリア内でフリーになるポジショニングと落ち着きは素晴らしい。まあスピードもボール扱いも身体の強さも、19歳としては十分すぎるくらいにあるけど。

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