マンチェスター・シティがよく分からない人向けの2018/19選手名鑑 (後編)

MF

18 フェイビアン・デルフ Fabian DELPH***

 左利きの守備的MF。シティに加入して2年、去年の夏まではさっぱり存在感がなかったが、メンディ不在で左サイドバックにコンバートされ、一気にレギュラー格まで昇格した。

 もともとキープ力には定評があったが、中央に絞ってきて組み立てに絡むというシティのSB特有の役割が能力にハマっており、大概のプレスは剥がせてしまう。ボケっとした顔の割に、声が低かったり、売られた喧嘩は買うタイプだったりして、意外と怖い。 

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25 フェルナンジーニョ FERNANDINHO

 安心安全、潰しもできればパスも捌ける上、ドリブルで持ち上がったり裏に抜け出したり、更には空中戦も強いという万能ボランチ。表情を変えずに小汚いファウルを犯すところはサイコパス感があってよろしい。

 昨年はアンカーとして不動の地位を築いた。W杯ブラジル大会では1-7の惨殺時に致命的なミスを犯してしまったが、ロシアでもオウンゴールで戦犯扱いと、ブラジル代表では不運なことばっかり起こっている。嫌なことは忘れて、シティライフを楽しんでほしい。

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8 イルカイ・ギュンドアン İlkay GÜNDOĞAN

 ゴール前への突撃大好きドイツ人。基本的にはセントラル・ミッドフィールダー(CMF)。W杯前にはエジルとともにエルドアンに会って物議を醸したが、その話はここでは止めておきたい。今一つ日本のネット上ではシティファンの信頼を得られていない気配があり、それは何故かと1ヶ月ばかり考えていたが、恐らく責任感が無いんですね。この人は。無いように見える。フラフラ前に行く感じとか、中盤の底なのに割と粘りが効かないところとか。まあそれは、今調べたところでは@atosannがずっと前から指摘していたことではあるんですが。

  基本的には6番サードぐらいの立ち位置。上手いんだけどさ。打率は2割5分だが、本塁打は下手すると15,6本打つ。今年はアンカーが獲れなかったということで、フェルナンジーニョの控えとしてそのポジションでも出番が増えそうな気配。それは大丈夫なんだろうか。

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17 ケヴィン・デ・ブライネ Kevin De BRUYNE

 今やシティの看板となったベルギー代表MF。シティでは4-3-3の右CMFを担当。ベルギー代表でもさんざスター扱いされていたが、シティでのデ・ブライネはあの3倍凄いので、W杯で興味を持った方にはぜひご注目いただきたいところ。もはや、カカーとベッカムを足して割らないと言ってもさして過言ではあるまい。強い心に丈夫な身体、ダサい私服で、コンパニ後のキャプテン就任の可能性も高い。

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21 ダビ・シルバ David SILVA

 コンパニ、アグエロと並ぶ、スキンヘッドに髭が目印のシティの重鎮。最強時代のスペインの主力でもあり、W杯が1回にEUROも2回獲っている。割には地味ですよね。日本だと特にね。シティという新興クラブに長らく在籍していることと、極端にメディア露出しない性格ゆえであろう。トータルの貢献度で考えれば、2010年代のプレミアで最高のMFではないだろうか。異論はあるでしょうけど。

 とにかくあらゆることに失敗しないので、私含むシティファンはシルバに盤石の信頼を置いていると思う。どんなに酷い試合でもシルバがいれば試合になる。そんなシティのビッグマザー。

 近年は4-3-3のCMFを担当。キープしてよし、突破してよし、スルーパス出してよし、囮になるのもお手の物。何年かした、ぜひヴィッセルにはシルバを買ってもらいたいものである。唯一の弱点は、まず間違いなく入らない割にはそこそこ打ちたがるミドルシュート

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35 オレクサンドル・ジンチェンコ Oleksandr ZINCHENKO

 ウクライナの天才児。本職は攻撃的MFだが、昨季はメンディの怪我で左サイドバックに抜擢され、デルフの控えとしてちょこちょこと試合に出場。柔らかいパス出しとガバガバな後背地の防御を披露した。ボールタッチが安定しているので、今シーズンの練習試合で起用されたアンカーでも及第点のプレー。ウクライナの大事なお宝をこんな風に便利使いして良いものだろうかという疑念は募るが。

 今シーズンはウォルヴァーハンプトンへの移籍がほぼ決まっていたが、メディカルチェック直前にドタキャンして残留。シティ愛が強いのはファンとしてはまこと結構だが、彼自身の成長にとってメリットがあるのかは疑わしいところ。メンディが復帰し、フォーデンが成長している今となってはどのポジションでも3番手以下なわけだし。本当にうまいんだけどねえ。

 グアルディオラが気にいるだけあって、ドリブルで相手を1人2人剥がすのはお手の物。最近の悩みは、デ・ブライネだと思って寄ってきたファンにがっかりされること。

 

 

38 ドウグラス・ルイス DOUGLAS LUIZ

 ブラジルU20代表のCMF/アンカー。滑らかなドリブルと、パワフルかつ特に正確ではない右足が売り。昨シーズンはジローナに貸し出されるも、スタメンはわずか5試合。それでも今年はトップチームに帯同させる、とグアルディオラの鼻息も荒かったが、労働許可証が降りずあえなく断念。どこかにレンタルで貸し出される見通しだそうです。

 

47 フィル・フォーデン Phil FODEN

 人呼んで“ストックポートイニエスタ”。昨シーズンはU17W杯でMVPを獲得。シティどころか、イングランドの期待も背負う左利きのCMF。しかも、8歳からシティのアカデミーに所属する自前産である。最後にアカデミー育ちがレギュラーに定着してから実に15年近く経っているシティにおいて、フォーデンがその少々残念な伝統を断ち切ってくれるのではないかと期待しているファンは多い。

 しかし好事魔多し、期待が大きいほど失望も大きくなりやすいということで、私は去年から、ジャック・ウィルシャーを見るたびに多少の寒気を覚えることを止められないでいる。華奢で、テクニシャンで、左利き。そっくりなんだよな、本当。ここで言うのも何だが、25,6にもなって「やりたいこと」と「やるべきこと」の区別が一切ついていないあの男のようにはなってほしくない、という気持ちでいっぱいである。

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FW

7 ラヒーム・スターリング Raheem STERLING

 イングランド代表の右ウィング。加速性能はプレミア1。長らく、スピードはあっても最終成果物が出てこない選手だったが、昨シーズンはフィニッシャーとして開眼。全コンペティションを通して23得点を挙げ、リーグ優勝に大いに貢献した。専門職が多いこのチームの前線には珍しく割と器用で、左ウィングやワントップ、CMFもそれなりにこなせるのが便利なところ。今シーズンは、マーレズとのスタメン争いが予想される。

 まだ23歳と若いため、今後も末永くシティの中心となってもらいたいところなのだが、現在契約交渉が難航中。幼少期にジャマイカから渡ってきて苦労したという生い立ちゆえか、異様に癖が強い代理人ゆえか、待遇にはうるさいタイプ。シュートを外したときもうるさい。

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16 リロイ・ザネー Leroy SANÉ

Manchester City’s “True Berry” away kit for 2017/18 season unveiled by Leroy Sane, Danilo and EdersonStay tune in Tokyo Friday night~(テレレッテッテ テレッテ)といった風情のドイツ代表左ウィング。ここ20年弱、男前が慢性的に不足しているシティでは貴重なグッドルッキングガイ。昨シーズンはレギュラーに定着し、得点・アシストともに二桁に乗せて最優秀若手選手賞を受賞した。

 若い頃は100mを10秒台で走ったというセネガル代表FWの父と、ロス五輪新体操銅メダリストの母を持ち、スピードとバランスの良さは天下一品。1人で相手の右サイドを切り裂いてくれる。守備が苦手なので、3-5-2の採用を増やすとグアルディオラが明言している今シーズンは、やや出番が減ってしまう可能性も。

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20 ベルナルド・シルバ BERNARDO SILVA

 昨シーズン加入した、左利きの小柄なポルトガル人。24歳にして、生え際が危ぶまれている。

 本職は右ウィングだが、ワントップやCMFにも対応可能。とにかく相手の逆、逆を取ってくるので、マークする側からすると心底鬱陶しいと思う。純粋なスピードというよりは、重心移動の巧みさで抜くタイプのドリブルが得意なので、右サイドのタッチライン際に張っとけと指示されていた昨季はやや苦戦。今季はダビ・シルバの後釜を見据え、中央での起用が増える見通し。ピッチ外では、ベテランから若手に至るまで満遍なくいじられまくっている。

 

26 リヤド・マーレズ Riyad MAHREZ

 またの名をマフレズ。岡崎とともにプレミアリーグを制覇し、本人はMVPに選ばれてから2年。ダダをこねにこねた末、ようやくシティに加入できたアルジェリア代表のウィング。ラポルトからの対角線フィードが備わったシティにおいて、足りなかったピースは個人で突破できる右のウィングだったので、その左足にかかる期待は大きい。

 しかし、こう思うシティファンもいるのではないか。レスターは何もかもがシティとは違う環境。初めてのいわゆるビッグクラブで、果たしてアルジェリアの魔術師は真価を発揮できるのか―。

 そんな、悩んだシティファンが意見を求むるべきはただ1人。そう、アンチ・アンチ・フットボール教の大司教グアルディオラの盟友、チャビ大司教である。雨ニモマケズ、風ニモマケズ、ハイプレスニモ負ケヌ巧ミナ足技ヲモチ、東ニモウリーニョアレバ口ヲ突ッ込ミ、西ニペップヲ疑ウモノアレバ食イ気味ニ擁護シ。そんなチャビ大司教がマーレズに下した評価はこれ。

 

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 「彼はバルサに値するよ」。はい来た。もらった。活躍間違いなし。チャビ大司教最大級の賛辞である。お前は他人を褒めるのもバルサ基準かい。

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27 パトリック・ロバーツ Patrick ROBERTS

 21歳、ロンドン生まれのドリブラー。こいつもまた左利きで、今のシティはどこを探しても左利きだらけである。2015年に、10代としては破格の1,200万ポンドで加入。代表戦で対戦した日本のU17代表の子に、Twitterで「あの7番やばすぎ!!」と騒がれたりと、将来を期待されていたが、以来成長しているんだかいないんだか、3年連続でレンタルしたセルティックへの里心ばっかりがついている状況。今季もスターリング、マーレズ、ベルナルドという厚い壁を破ることは恐らく難しく、レンタル移籍の気配が濃厚。値段がつくなら売ってしまったほうが、お互いのためかもしれない。

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55 ブラヒム・ディアス Brahim DÍAZ

 モロッコの血を引くスペイン人。父親がアフリカにあるスペインの飛地領出身だったり、“ブラヒム・アブデルカデル”というそれっぽい名前だったりするので、ムスリムなのかもしれない。両足をほぼ同じように使え、強気のドリブルが売り。今年が契約最終年ということで、クラブは契約延長した上でどこかにレンタルしたいようだが、本人は残留を希望。とはいえなかなか出番があるようには思えないし、一方で機嫌を損ねてタダで出ていかれても困るし・・・ということで少々扱いに困っているようだ。ルックスもいいし、ぜひ将来の主力になってほしいところなのだが。

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10 セルヒオ・アグエロ Sergio KUN” AGÜERO

 チームの大エースであり、恐らく非シティファンへの知名度もクラブ1。の割には、今ひとつ日本でスーパースターかと言われると案外知られてない気がするのは私だけだろうか。名前は聞いたことあるけど、という反応が多いように思われてならない。

 毎シーズン、リーグ戦20点は確実に獲ってくれる、頼れるスコアラー。重心の低いドリブルと強烈なシュートが得意技。身長は低いが、ヘディングも巧い。持ち過ぎだったり、守備が気まぐれだったりとアルゼンチン人っぽい弱点も多かったが、グアルディオラ就任以来、着実に短所を克服してきている。でも性格的には合わないのか、1年に1回くらい「もうグアルディオラやだ~」というニュースが出るお嬢様体質。グアルディオラが来るまでは、蝶よ花よという扱いだったからな。

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33 ガブリエウ・ジェズス Gabriel JESÚS

 そのお嬢様扱いを一瞬で普通のレギュラー争いに変えてしまった、ブラジルの神童。先日のW杯にも、1トップのレギュラーで出場。まああんまり活躍はしなかったらしいが。

 単体でアグエロほどスーパーではないが、中盤へのヘルプが抜群に器用だったり、守備も手を抜かなかったりと、グアルディオラのFW観を煮詰めたようなプレーが得意。シティに加入して以来、39試合20点ということで普通に点は取りまくっているのだが、今シーズンこそは20点越えの大爆発が見たいところ。めっちゃマザコンで、実家から御母堂と友達を連れてきて一緒に住んでいる。この、友達も連れてくるというところが、ブラジルっぽい。

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43 ルーカス・ヌメチャ Lucas NMECHA     

 ハンブルク生まれのイングランドU21代表。9歳からシティにいるアカデミー育ち。そこそこのサイズと強さ、そこそこのスピードが売り。今夏のプレシーズンマッチでは何度も裏抜けからGKとの1vs1を迎えて期待を持たせたが、全部外していた。裏抜けが巧いということはわかったので、ローン先のプレストンで一皮剥けてもらいたいもの。まあ成長したところで、相手が悪すぎるだろという気がしなくもないが。

 

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74 ルーク・ボルトン Luke BOLTON

 今夏のプレシーズンマッチで右サイドバックが1人もいなかったため、数合わせで呼ばれたイングランドU20代表。本職は右のWGらしいが、右のWBもできる。

 数合わせと言ったものの、自慢のスピードと活力でなかなかに活躍しており、鍛えればプレミアでもそこそこやれるかもしれない。見たところ、プレースタイルはいかにも古風な縦一本槍。大体、FW/WBっていうポジション適正が、90年代後半感満載なんだよな。酒井直樹か。