2017/18 マンチェスター・シティ 中間レビュー個人編(後編)

FW

7 ラヒーム・スターリング Raheem STERLING***

スターリングの話を真面目にするのは、結構しんどい。というのも、ピッチの中だけの話をするのは、スターリングという個人が直面している状況、問題について、上っ面を撫でるだけになるからだ。批判をピッチ内の活躍で跳ね返して、という常套句はよく聞くが、スターリングに対する”批判”はもうそういう次元ではない。

もともと他の選手が受けないような、人間性に対する常軌を逸した罵詈雑言を受けてきた選手だが、その果てには先日あったような(人種差別主義者に駐車場で襲われた)、サッカーの枠に収まらない憎悪がある。スターリングは、有り体に言って、”ネタ“にしやすい。若くて、軽率で、国内随一の名門を袖にして新興の金満クラブに移籍した。身振り手振りは珍奇だし、代理人シュグ・ナイトみたいだし。だが、それ故にTwitterやGoal.comのコメ欄で寄せられる軽口は、その最果てにある憎悪と決して断絶してはいないのだ。だから、私はたとえ日本語でも、たとえGuardianの社説が言うようにスターリングの名前が「ラヒーム」でジャマイカ生まれであることの文脈を日本語話者のほとんどが共有していないとしても、スターリングに寄せられる嘲笑や憎悪に心底うんざりしている。

nofrills.seesaa.net

amp.theguardian.com

故に一層、今年の活躍はまだ気休めになったし、スターリングという人間の精神的な強さを感じる。右ウィングのレギュラーとして、チームトップの16得点。シュートが下手なら、下手でも入る場所にいれば良い。あらゆるボールに間に合い続けるスピードと辛抱強さによって、スターリングはシュートを外し、そして得点を重ねていくだろう。

 

19 リロイ・ザネー Leroy SANÉ*

3-5-2の左WBには適応できず、控え降格でスタートしたシーズンだったが、メンディの怪我で4-3-3に回帰したため、左ウィングのレギュラーに復帰。エリア内へのフリーランが上達し、より安定して点を取れるようになってきた。

実はこのチームで「ドリブルで突破でき、強いクロスを蹴ることが出来る左ウィング」という機能はかなり貴重で、スルーパスに抜け出してエリアに侵入し、ファーにグラウンダーで合わせるというザネーの得意技がないと、有力な得点パターンの1つが明確に失われてしまう。Twitterおじさんが4月まで戻ってこない今、チーム唯一の機能として、希少価値は高い。

 

20 ベルナルド・シルバ BERNARDO SILVA

実はポルトガル本国のポルトガル語では、「L」は普通に「ル」らしい。まあ日本人に「シウバ」と「シルバ」の違いがどの程度判るのかという問題はあるが。そういうわけで、「ベルナルド・シルバ」と呼んで構わないらしい新戦力だが、「シウバ」のみならず「ベルナウド」だの「ベウナルド」だの、挙句の果てには「ベウナウド」という表記すら。全てがウになる恐怖である。

これまでのところ、勝ってる試合のクローザーとしては素晴らしいが、右サイドでスタメンで出すと微妙。悪くはないんだが、縦に抜けるスピードがそこまであるタイプでもないので、SBが上がってきてくれない現状は少々やりづらそうであウ。普通のチームなら、ウォーカーなんて相性抜群なんだろウが。ただ、直近ウはウからの正確なウロスが味方に合い始ウておウ、後半戦ウ期待ウたウ。ダビドの方ウシルバウ、あウで意ウウとウウスがウウウウウウウ。ウウ。

https://media.gettyimages.com/photos/bernardo-silva-of-manchester-city-looks-on-during-the-premier-league-picture-id861381070

 

10 セルヒオ・アグエロ Sergio AGÜERO

珍しく絶好調でスタートしたが、遊びに行ったアムステルダムでタクシーが派手に事故って肋骨骨折。死ななくてよかった本当に。驚くほど早く復帰したが、シーズン序盤の身体のキレは失われてしまった。

肋骨はまだ痛むし、踵にもずっと怪我を抱えているらしい。それでもあのパフォーマンスだから、見事なもんだが。最近は「それ以外には不満はないが、グアルディオラからの扱いがどうにも気に食わない」という報道がちょっと話題になったが、まあ病気みたいなもんだからなあ、これは。特にやる気を失うタイプでもないので、ひとまず夏までは落ち着いて見ていられると思う。だいぶ守備をするようにはなったが、アグエロがボールを失ったときだけ、超人的守備技術と粘り強さを持つ謎のDFが現れるという噂。誰なんでしょうね、あれ。

 

33 ガブリエウ・ジェズス Gabriel JESUS*

先日の日本戦では盛大に祭り上げられていたが、ちょっとどうかと思った。地味なんだよな。上手いけど。何をやらせても上手い。しかも1つ1つが器用貧乏には収まらない、十分武器になる水準。でも地味。お茶の間にアピールするにはもう少しこう、派手なタイプの方が良いと思った。マルセロとか。

もう一段上の結果を残すようになったらあっさりバルセロナ辺りに行きそうだが、そのときは目の玉が飛び出るような額を払わせてやりたいと思っている。私は。

https://media.gettyimages.com/photos/gabriel-jesus-reacts-to-the-camera-during-training-at-manchester-city-picture-id863803864

 

43 ルーカス・ヌメチャ Lukas NMECHA

ハンブルク生まれのナイジェリア系。イングランドU19代表として、今年のU19欧州選手権に参加し、準決勝と決勝で連続決勝点を挙げ、優勝に貢献。「決勝」多いな。フォーデンがいなければもっと注目されていたかもしれない。

相当に足が速いという噂だが、得意なのは中央(CF)という噂。ごめん、噂でしか知らない。実在することは確認している。口裂け女よりは確度は高い。

https://media.gettyimages.com/photos/lukas-nmecha-of-manchester-city-celebrates-the-win-after-the-carabao-picture-id895817828