シティの財務状況、あるいはFFPとの再会について

そんなに使って大丈夫か。

 

という指摘が、この夏のマンチェスター・シティに寄せられている主な指摘の一つであるが、それも致し方あるまい。何せひと夏で£200m使ったのは、プレミアリーグ(以下EPL)のクラブでは史上初である。一部で報道された「2009年のレアル・マドリーを更新して史上最高額」というのは実はまだなのだが、この後何とかッペを買ったりしたら、まあ間違いなく更新するわな。

 

 

実際のところ、シティの財務状況はどうなのか。財務というからには、損益計算書(以下P/L)に載っている売上と利益だけでなく、貸借対照表(以下B/S)とキャッシュフロー計算書(以下C/S)にも焦点を当てる必要がある。実際、最近のEPL上位クラブはどこも景気が良すぎて、B/SとC/Fを見ない限り、面白い差異もない。

 

結論としては、数字から見れば、シティは世界でも上位の安定したポジションに(つい最近だが)到達している。石油王には買われてみるものだ。

マンチェスター・シティのP/L推移

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出所)The Swiss Ramble

 

まず事業の規模。1)試合のチケット販売、2)放映権料、3)その他ユニフォームやグッズ等のマーチャンダイズから得る収入を合わせたものが売上高だが、2015/16シーズン終了時点で、シティは世界第5位の€524.9m(£391.8m)。ビッグ4には届かないものの、マンチェスター・ユナイテッドを除くEPLのライバルクラブには、1.2億~5,000万€ほどの差を付けている。

 

2015/16 売上高上位20クラブの売上高(€m)

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出所)Deloitte Football Money League 2017

 

次に成長性。直近5年間の成長率は、欧州トップ10の中で2番目に高い。2008年以前が比較的小さかったという理由はあるにせよ、5年前の11/12シーズン時点ですでにリヴァプールユヴェントス等の名門より売上高は大きかったので、その時点から見ても高い成長率を維持しているのは喜ばしい。

2015/16 売上高上位10クラブの売上高成長率(2011/12を1とした場合)

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出所)Deloitte Football Money League 2017

 

一方で弱点でもあり、今後の拡大余地とも言えるのが、他クラブに比べて極端に小さいマッチデー収入である。“Emptyhad(ガラガラのエティハド)”と呼ばれる割には、少なくとも記録上客は入っているようだが、まずシティはチケットが安い。シーズンチケット価格の上位はアーセナルトッテナムチェルシーリヴァプールと上位クラブが占めているが、シティはプレミア全体でも3番目に安い。逆に言えば、安くないと来てもらえないから仕方なくしているという可能性もある。ここ2年で、シティはシーズンチケットの値上げ、プレミアムシートや会員制サービスの導入を進めて批判を浴びているが、今年始まるスタジアムの第2期拡張(約6,000席の追加)も含め、拡大施策は暫く続くのではないかと思われる。

2015/16 売上高上位10クラブのマッチデー収入(€m)

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出所)Deloitte Football Money League 2017

 

Ranking the Cost of Every Premier League Team's Season Ticket Prices for 2016/17

www.90min.com

出所)90Min.com

 

 

収益性については、EBITDAの絶対額、対売上比率の両方で、EPL上位クラブの中ではマンチェスター・ユナイテッドに次ぐ2位に付けている。選手の売却益が小さいので最終利益額は高くないが、サッカー事業の収益性としては、比較的高い水準にあると言える。また、選手獲得の費用は利益額の多さには直接的に縛られないから、絶対的な水準として少なすぎるということもない。

2015/16 プレミアリーグ主要6チームのEBITDAおよび対売上高EBITDA比率(金額単位:£m)

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出所)The Swiss Ramble

 

 

また、2015/16シーズンは、財務的には記念すべきシーズンであった。というのも、ADUGの買収以降初めて、オーナーからのいかなる資金注入もなかったからである。営業活動から安定してキャッシュを創出できるようになったことに加え、売るのが下手と言われながらも一定の売却額を確保したことで、シティはようやく、財務的に自立したクラブとなった。とはいえ、前述のように今年は£200mも費やしたから、オーナーからの増資を資金源の一部にしている可能性は高いが。

 

マンチェスター・シティキャッシュフローの推移(£m)

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出所)The Swiss Ramble

 

 

ちなみに、The Swiss Rambleのキャッシュフロー分析を見ると、各クラブの財務状況と、戦略上の優先順位がよく分かる。シティが買収された2009年以降、シティはキャッシュを全面的にオーナーに依存していた。使い先は、約6割が選手の補強、約3割弱がインフラ投資である。売上高を拡大し、ブランドを向上させ、育成組織を確立するために、まずはトッププレイヤーの獲得と、CFAに代表されるインフラの構築が必要だったということだ。

チェルシーも同様で、アブラモビッチによる買収以降、毎年彼からの増資、または貸付によってキャッシュを賄っている。対象的に、マンチェスター・ユナイテッドアーセナルは全て、営業活動から創出したキャッシュで充足している。リヴァプールはその中間にいて、営業キャッシュフローだけでは選手獲得等に不足が生じるため、銀行やFenway Sports Groupからの借入も受け続けている。

 

マンチェスター・シティアーセナルの資金源と使途の比較(2009年から2016年)(£m)

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出所)The Swiss Ramble

 

安全性、すなわち事業を安定的に行っていく上での余裕度は、シティが最も強力な分野である。自己資本比率はEPL上位クラブの中で最も高く、有利子負債(ここでは下表のBank Loans and Over Drafts)はない。といっても、めっちゃ金出してくれる上に、貸付でなく株式で入れてくれる素晴らしいオーナーがいるというだけの話だが。

オーナーのおかげでシティは金融機関からの借入を行う必要がなく、そのため利息支払も小さい。ただし、懸念があるとすれば偶発債務(Contingent Liabilities、現実にはまだ発生していないが、将来一定の条件が成立した場合に発生する債務)が£123mと大きいことで、これは移籍金と、選手への賞与支払についてボーナスを付けまくっているためだ。出場試合数や成績によって発動するボーナスを増やす代わりに通常の給与を抑えるという方針と、ここ3年ほどリーグで勝てていない幸運のために、シティの人件費は一旦落ち着いているが、もし3冠でもしてしまったらそれなりに大変なことになると思われる。一度に発動される可能性は低いとは言え、£123mはひと夏の移籍金支払額に相当する水準だからだ。

 

マンチェスター・シティの負債状況(£m)

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出所)The Swiss Ramble

 

 

 

 

Financial Fair Playとは何か

 

みんなちがって、みんないい。

 

いい詩ですね。FFPも然りである。みんな心のなかに、それぞれのFFPを育てている。きらめくときの中で。そして日々、茶番だとか、死んだとか、終わったとか言われている。大川隆法総裁が「スゥ・・・FFPです」と言い出す日も遠くないのではないか。

 

UEFAのFinancial Fair Play自体は、給与支払いの遅滞や税金の支払い等にも及ぶ巨大なルールの集まりだが、一般的にFFPと呼称されているものは、Break-Even規定のことを指す。毎年、直近3期分の損益を合計し、Break-evenに失敗していれば、すなわちマイナスになっていれば、FFPに抵触したと見なされ、罰則が課せられる。極端にざっくりと言えば。ただし、育成に関する費用等、特定の費用は計算から除外される。

 

そんなもともと特別なオンリーワンであるUEFAFFPは、巷でイメージされている“FFP”と結構違う。

Financial fair play: all you need to know

www.uefa.com

出所)UEFA

 

Financial Fair Play Explained

FFP Explained

出所)Financial Fair Play (Ed Thompson)

 

 

 

例えば、噂その1:“あるクラブに所属する選手が別のクラブから高額の移籍金で引き抜かれそうになった場合、FFPで訴えることで、移籍を阻止できる。”という説がある。

できない。”FFPで訴える”ということは難しい。Break-Even testは事後の裁きでしか無く、その時点で抵触しておらず、罰則(例えば一頃のシティのような、ネットの移籍金支払額上限とか)を受けていないクラブを止める力はない

 

噂その2:FFPでは、オーナーの関係会社からのスポンサーフィーという名目で資金を注入することは認められていない“

いる。というか、上の文章自体がP/LとB/SとC/Sがごっちゃになっている。

まず、資本注入、あるいは借入によって資金を得ることは、少なくともBreak-Even test上は問題ない。それができなかったら何のためのオーナーだろうか。一方で、単にオーナーが注入した資金を収入に数えることはできないから、費用に見合うだけの売上が立てられなければ当然損失が発生してしまうので、シティもPSGもエティハド航空エミレーツ航空からスポンサーシップを受けている。

 

また、オーナーないしオーナーの関連団体からのスポンサー収入も全てが除外されるわけではない。例えば、エティハド航空はシャツスポンサーとして年間£20mを支払う代わりに、ユニフォームの全面に「エティハド航空」のロゴを掲載させている。金額も、その扱われ方も、例えばエミレーツ航空アーセナルに対してするように航空会社が一般的にサッカークラブに対して行うスポンサーシップと大差がない。エティハド航空の創設者はシティのオーナーであるシェイク・マンスールの異母兄だが、エティハド航空のことがFFPのBreak-even testにおいて特に咎められたことがないのはそのためだと思われる。

 

噂その3:“シティがFFPの処罰対象にならないのは、ルールが緩和されたためである”

残念ながら関係ない。Break-Even testの緩和は、新たなオーナーによる新規投資の場合を対象にしており、シティには関係なかった。

 

噂その4:FFPは弱小クラブとビッグクラブの格差を解消するためにある”

ない。UEFAがわざわざ言い訳しているように、どっちかというと逆に働くルールである。

 

噂その5:ネイマールのような多額の移籍金を支払うと、必ずFFPに抵触する”

しない。さっきも言ったが収入とその他の費用次第である。

前提として、移籍金は当期に全て計上されない。というのは、移籍金とか契約解除金とかいうのは選手と契約する権利の取得費用であって、選手は無形固定資産としてB/Sに載り、契約期間に渡って償却されるからである。そして、P/LとC/Fは違う。移籍金の支払は一括だったり分割だったりするが、P/L上は前述のように契約期間に渡って按分され、費用として計上される。つまり、ネイマールの€200mだか€250mだかも、P/L上に載るのは€40mから50mに留まると思われる。

 

(ただしネイマールのケースについては、クラブ間の取引ではないので、一括してP/Lに計上されるのではないかという見方もある。ただし、この場合も、移籍金ではなく契約金解除金だからとか、支払が一括だからという理由で当期に全て計上されるのではない。)

Neymar's PSG Transfer and the Break-Even test

Neymar's PSG Transfer and the Break-Even test

出所)Financial Fair Play (Ed Thompson)

 

(また、PSGではなくQatar Tourism Authorityがネイマール本人に支払うことでPSGの帳簿上に計上されないという話があるが、疑わしいと思っている。PSGは明らかに無形固定資産としてのネイマールを取得しているのだし、QTAはPSGのスポンサーだし。)

 

Paris St. Germain Renews Qatar Tourism Authority Partnership With $197M Deal

www.sportsbusinessdaily.com

出所)Sports Business Daily

 

 

 

シティとFFP

話が逸れたが、本題は、シティがFFPに抵触するリスクについてだ。

直接的なリスクは、今期のような高額の移籍金支払によって損失が発生するケースだが、売上高、とくに放映権料収入の拡大によってカバーできる可能性は高い。2016/17から2018/19のプレミアリーグの放映権料は、その前の3年間に比べて単年で約£50m増加しており、£200mから250m分の移籍金支払いによって増加する費用をカバーできることになる。また、放映契約は更に増加する可能性が高い。2019年以降の契約、特に海外での放映は、高いもので14倍にもなるという話もあれば、中国での3年契約だけで$700mに達するという噂もある。

 

Premier League may earn 14-fold increase in TV rights money as new foreign broadcaster deals promise more cash

www.dailymail.co.uk

出所)Daily Mail

 

English Premier League sells Chinese TV rights for $700 million

www.cnbc.com

出所)CNBC

加えて、シティは今夏すでに約£70mの売却を決めており、まだナスリ、マンガラ、ボニー、デルフという大玉も残っている(大玉だから売れ残ってるんだけど)。彼らの売却益と、削減できる給与を考えれば、むしろ合計の費用としては昨季より抑えられるかも知れない。

 

 

ただ、この成長がどこまで継続するかについては、懐疑的な見方も生まれ始めている。

  • 上昇する放映権料をカバーするために、プレミアリーグの視聴料が上昇している。

Who is paying for the Premier League's bumper TV deal? Your local pub

www.theguardian.com

出所)The Guardian

 

  • EPLやNFLにおいて、局地的には視聴率の低下、視聴契約者数の減少が起こっている

ESPN Loses 621,000 Subscribers; Worst Month In Company History

www.outkickthecoverage.com

出所)Outkick the Coverage

 

Goodell on dip in ratings: We don't make excuses

www.nfl.com

出所)NFL.com

 

  • TwitterInstagramのようなSNS上でゴールハイライトだけ見て、1試合丸ごとは見ないというファンが、特に若い層で増えている

Modern technology is in danger of leaving the Premier League behind - football must fight back or viewers will keep turning off

www.telegraph.co.uk

出所)The Telegraph

 

  • 違法ストリーミングが蔓延している

'Even my 78-year-old father streams' – why football fans are switching off

www.theguardian.com

出所)The Guardian

 

 

一方で、視聴率の低下は一時的な要因によるものという反論もある。例えばマンチェスター・ユナイテッドがプレーするかしないかだけでも、CLの視聴率は変わってくる。サッカー界は20年位ずっと「放映権料バブル」と言われ続けているが、実際のところ、長期的には成長し続けている。

Is the unthinkable happening – are people finally switching the football off?

www.theguardian.com

出所)The Guardian

 

いずれにせよ、短期的にFFPのBreak-Even規約に抵触するリスクはさほど高くない。可能性があるとすれば、さらにムバッペ等の購入を積み増した上で、主要スポンサー、あるいはSkyやBTが倒産して支払が遅滞するとか、戦力外の高給取りがいずれも売却できないとか、CL出場権を逃すとかいったような、比較的極端なケースだと思われる。

2016/17 マンチェスター・シティ 選手別レビュウ vol.2

GK

ウィリー・カバジェロ

「物乞いだったこともあれば 王様だったこともある 俺は最高じゃあないが 決して最悪というわけじゃない」とはAviciiの歌にあった気がするが、去年のリーグカップ決勝でPKに目覚めてからのウィリーは、だいたいいつもそんな感じなのだった。上手くはないが、ハートほど無頓着に蹴っ飛ばすわけでもなく、無難に組み立てをこなし、違いをもたらすほどではないが、ブラボよりよっぽど頼れる守備だった。

マラガに帰る(らしい)とのことで、まあもう30代も半ばだから、スタメンで出られるチームに行きたくなるのはしょうがない。シティのファンからも中傷を受ける中、PKを3本叩き落として感涙にむせぶウィリーの勇姿は、全然活躍してないのに一番カメラに映るポジションを確保したボニーとともに、我々の記憶に残り続けるのである。

http://media.gettyimages.com/photos/wilfred-bony-lifts-goalkeeping-hero-willy-caballero-of-manchester-in-picture-id512857492?s=594x594

 

クラウディオ・ブラボ

ボール支配による試合のコントロール、高いDFラインを実現するために獲得されたはずだったが、説得力のあるパフォーマンスを見せられないまま終了。すでにGoal.comではそうだったが、どのメディアが選んでも今期の「ワーストイレブン」には入るだろう活躍を見せてしまった。

私は「シュートどころかタクシーさえ止められない」というセービングの部分よりも、守備範囲がやたらと狭いところが、より深い問題だと思っている。というのも彼はリーガを制したバルセロナの正GKで、チリ代表史上最高のGKの一人であるわけだから、いくらなんでも今シーズンの止められないっぷりはさすがに何かの間違いというか、イップス的なものだと思うんですね。希望的な推測も含めてだが。

一方で守備範囲が狭い、DFラインの裏に放り込まれたボールに対応できないというのは、過去のシティのGKどころかプレミア全体を見てもちょっとまずいレベルにある。都合の悪いことに、おそらくこれは一過性のものではない。となると、守備が破られるケースが減れば必然的に機会も減るはずの「止められない」問題より、守備レベルに関わりなく試合の中で発生し、かつ飛び出せないことでDFの責任範囲をより広げる「守備範囲激セマ」問題の方が深刻ではなかろうか。

ということで、来年もブラボが正GKのようでは苦しいと判断せざるを得ないクオリティだった。組み立てへの貢献度はさすがに高かったので、第2GKとしている分には別に文句もないんだが。

Everton v Manchester City - Premier League : ニュース写真

 

アンガス・ガン

若手GK。プレシーズンマッチドルトムント戦でPKを止めた以外は全く出番なく終了。新しいGKも来るという噂が絶えず、早めにレンタルなりで出してあげた方がクラブにとっても良いと思う。母親がデザイナーなだけあって、カメラ映えしそうな見た目はしている。

http://media.gettyimages.com/photos/angus-gunn-of-manchester-city-warms-up-prior-to-the-premier-league-picture-id679573722?s=594x594

 

 

CB

ヴァンサン・コンパニ

50→42→37→37→33→22→14。

2010/11シーズン以降の、コンパニの出場試合数の推移である。要するに我々のキャプテンは、段々と、しかし着実に、使えない選手になってきているのであった。切ない事実だが、受け入れなくてはならない。

シーズン序盤に出てきたときはあからさまに組み立てに途惑っていたが、いつもの怪我を経て最終盤に復帰してからは、組み立ても含めて安定したパフォーマンスを披露。オタメンディストーンズはやはり軽量級なので、サロモン・ロンドンWBA)のようなでかい選手も弾き飛ばして胸トラップしてしまえるコンパニが使えるというのは、非常に大きい。来シーズンは契約最終年だが、延長目指してがんばってほしいところ。

http://media.gettyimages.com/photos/david-silva-of-manchester-city-and-vincent-kompany-of-manchester-city-picture-id668919078?s=594x594

 

ニコラス・オタメンディ

やらせてみると伸びるもんだな、というのが、率直な感想。CBが持ち上がって組み立てに参加するというのは、やってみるとわかるが相当怖い。足元に自信がなければ尚更である。それでもシーズンを通して果敢にチャレンジし続けたオタメンディは偉いと思う。厳しいプレッシャーを交わす技術は流石にないが、去年まで自信なさげに隣のサニャに押し付けて仕事は終わりだった男が、プレッシャーさえ弱ければそこそこ立派に、前線へのパス供給源としてプレーしていた。

一方でCLモナコ戦の1stレグのように、本職の守備で簡単に裏を取られたりするシーンも多かったので、総合的に見て監督の信頼を得られたかというと微妙なところかも知れない。CBの補強をするのかは定かではないが、対人の強さというコアコンピタンスは失わずにいてほしいところ。

VfL Borussia Moenchengladbach v Manchester City FC - UEFA Champions League : ニュース写真

 

ジョン・ストーンズ

見るからに足技に自信がありそうで、若くて、上位クラブが大枚はたいて獲得して、軽率なミスが目立つ、といえば私のような茶化し系サッカーファンの大好物だが、不思議なことに、これが応援するチームに来ると色々エクスキューズが見つかるんですね。経験が足りないのだからとか、成長は見せているからとか、パートナーが頼りないからとか。ポジショントークの世界を生きる私たち。(ちなみに、去年取りたかったらしいラポルトも、同じような愛すべきドジっ子だと思う。この手の若いのは大体そうなんだよ。俺にはわかる。見たことないけど)

世間の評価はGoal.comの欧州ワーストイレブン選出が物語っているが、さすがにそんなに悪くはなかった。無論レスター戦やセインツ戦のバックパスとか、モナコ戦のファルカオ一刀両断事件とか、CBとしてどうなのというミスはあったが、FWやCMFへの決定的なパスを連発していたのも事実だし、アンカーと相方のCBと柔軟にポジションを入れ替えつつ組み立てる方式での活躍*1は明るい未来を感じさせた。たとえ、終盤はコンパニにレギュラーを奪われていたとしても。

というわけで、来年も私はストーンズを甘やかすと思う。これが世に言う、若手の魔力。マルコヴィッチの穴ならぬ、ウォルコットの沼。もう腰までずぶずぶさ。

http://media.gettyimages.com/photos/john-stones-of-manchester-city-shrugs-his-shoulders-at-vincent-of-picture-id664971070?s=594x594

 

トーシン・アダラバイヨ

5歳からシティにいる196cmのCB。プレシーズンはグアルディオラが熱心に個人指導しているシーンが目撃されており、その甲斐あってか昨シーズンは辿々しかったボール運びにえらく自信が伴っていた。が、まともな出場は結局CL予選の2ndレグくらいでシーズン終了。プレーよりも、契約延長するだのしないだの、エヴァートンに行くだの行かないだのというニュースの方で目立っていた。久しくイングランドの年代別代表にも選ばれていないから、毎年4,000万£もするシニアな選手が入ってくる状況では移籍を考えても致し方ないところはある。

http://media.gettyimages.com/photos/yaya-sanogo-of-arsenal-challenges-tosin-adarabioyo-of-man-city-during-picture-id653015914?s=594x594

 

 

SB

パブロ・サバレタ

足だけ速いやつもうグッナイ、クロスだけ良い奴もうグッナイ。トップスピードが速いわけでもなく、いわゆるクロスらしいクロスが上手いわけでもなかったが、サバレタ以上に攻撃で威力を発揮したSBは、2012年から15年頃のプレミアにはいなかった。先日U20W杯の日本代表を見て、ボールホルダーの内側を走るとか、斜めに走るとか、預けて走るとか、一回スピード緩めるとか、SBにも色々あるのよ、外を一本調子で走るだけじゃなくて。と思ったが、それもサバレタとシルバという、サイド攻略のバリエーションを我々に教えてくれる生きた教科書がいたからであった。

今シーズンについて言えば、昔やっていた割にはインサイドの役割にもさほど馴染めず、SBでは相手のドリブルに付いていけなくなるケースが増え、誰しも衰えは来るものなのだと感じた1年だった。ウェストハムでも愛されることを祈りたい。真面目でキレやすい孫さん、強くて速くて面白いマイカ、情熱あふれるサバときて、次の右サイドバックに対するハードルは、私の中で上がりまくっている。

http://media.gettyimages.com/photos/pablo-zabaleta-of-manchester-city-is-thrown-into-the-air-by-his-city-picture-id684258890?s=594x594

 

バカリ・サニャ

他人の尻拭いをするのは得意なんだが、攻守両面で中心となることには長けていないというのが、このおじさんの特徴。インサイドでのいわゆるアラバロールにも一番苦しんでいたし、被カウンターの局面でちょくちょく捕まえる相手を間違えたり、これまで「そこそこの知性と足技を持った肉体派」として築いてきたポジションが、「要求が厳しくなる中で目立つほど強くも速くもないし、MFとしての役割も難しい」という立場に逆転してしまい、かわいそうなシーズンだったように思われる。今年で退団だが、選手人生の黄昏を楽しんでほしいところ。

Paris Saint-Germain v Olympique de Marseille - Ligue 1 : ニュース写真

 

パブロ・マフェオ

若いスペイン人。CL予選とリーグカップで1試合ずつ出場し、前者の試合ではボール持ったらビビリだけど守備は勤勉で硬そう、という印象を受けた。リーグカップは負けたけど大分良かったらしいというような話を伺っております。シーズン後半は提携先のスペイン2部、ジローナに貸し出され、右WBのレギュラーに定着。5月末現在まで昇格の可能性を残している。来年リーガを経験してから戻ってきてもいいが、サバとサニャがどちらもいなくなったら戻らせるのも選択肢のうち。(→5/26、両方いなくなりました)

http://media.gettyimages.com/photos/emilio-izaguirre-of-celtic-and-pablo-maffeo-of-manchester-city-in-picture-id629598838?s=594x594

 

ガエル・クリシ

左バックの相対的には無難な方として6シーズンに渡ってシティを支えたフランス人も、今季で退団。シーズン当初はインサイドでの役割にもそれなりに対応する素振りを見せていたので、やったぜアーセンさすがあんたは最高だな、ベジェリンもください、と思ったが、時が経つに連れて組み立てでの自信のなさを露呈していった。考えてみればアーセナルのSBって、基本的には外を走ってなんぼなのだった。とくにクリシの時代は。

コラロフと比べて相対的には無難だった守備も、スピードの衰えで劣勢に回るシーンが増えており、攻守両面で、期待される水準には達しなかったというところ。それでも2回のリーグ優勝に貢献してくれた男として、今後も素晴らしいキャリアを送ることを祈りたい。一気に老け込んでしまったブリッジと、不安定なパフォーマンスに終始していたコラロフしかいなかった左バックのポジションに、それなりの安定性をもたらしてくれた人材だった。

http://media.gettyimages.com/photos/gael-clichy-of-manchester-city-celebrates-after-scoring-a-goal-to-it-picture-id630795776?s=594x594

 

アレクサンダル・コラロフ

左バックの無難じゃない方。まあコラロフの場合はそもそも必要な場所にいないか、追い付いてないか、抵抗しないかのどれかだから、とんでもないミスをするシーンはあんまり記憶にないんだが(褒めてはいない)。

走るスピードが急激に衰えたこともあってSBをやるには少々厳しくなってきたが、左利きと背の高さを買われてCBにコンバート。飛距離だけが持ち味のフィードを武器に、そこそこのパフォーマンスを見せた。キック力はあるからそれなりにボールは通るんだが、精度が高いわけではないのと、モーションの途中でキャンセルができないんよね。だから常に軸足の後ろを通した大仰な切り返しでしか方向転換ができない。ちょっともったいないと思う。

まあ今後もレギュラーを任せたいかと言われるとあなたの顔をまっすぐ見れないが、佇まいはかっこよかったと思う。私が知っているシティの選手の中で一番かっこよかった。剣の腕は立つけど生活力がない素浪人という趣だった。何の話かわからないと思うが、かっこよかった。

Manchester City v Southampton - Premier League : ニュース写真

 

アンヘリーニョ

2017年の元旦にジローナに貸し出されたと思ったら、月末にはマジョルカに移っていた。クーリングオフか何かでしょうか。組み立てができて足も速いサイドバックグアルディオラに気に入られるという私の安直な予想は当たらず。まあ内情としては評価されているのかもしれないが。まだ20だが、そろそろブレイクの兆しが見えないと危ないかもしれない。ちなみに今調べたら、マジョルカには元ソシエダのアンソテギがいました。他は全然知らん。

http://media.gettyimages.com/photos/angelino-tasende-of-manchester-city-in-action-during-the-efl-cup-picture-id609580236?s=594x594

 

2016/17 マンチェスター・シティ 選手別レビュウ vol.1

DMF/CMF

 フェルナンジーニョ

『彼は10のポジションに対応できるね』というグアルディオラの言葉通り、前半戦は主にアンカーとして、後半戦は主に両サイドバックや2センターの片方として稼動。自身の強みを活かすためというよりは、どちらも適任者がいなかったから仕方なくの面が強かったが。

これまでのジーニョには見られなかった中長距離のパス振り分けを披露する姿も見られ、全体的には安定したパフォーマンスだったが、どちらにおいても満足というにはやや不足気味。アンカーではパス精度とカバー時のポジション、SBでは対ドリブルの弱さが目立った。ただしこの2ポジションは異様に要求が高く、適任者を4,5人一気に獲得できるとは思い難い。今のチームでもっとも多様なタスクを担当できる選手であることには間違いないので、このポジションを極めるべく来年もう1年費やしてもらってもいいよね、と思っている。ちなみに、ジーニョの肘が誰かに当たったときは、基本的にわざとだと思っていただいて、差し支えない。

Chelsea v Manchester City - Premier League : ニュース写真

 

フェルナンド

すっかり守備専業の中堅潰し屋と見られているが、それは仮の姿・・・ポルト時代は組み立てにも貢献し、守っては相手の攻撃を尽く刈り取った怪物・・・グアルディオラがどう使うか楽しみよクックック・・・

と思ったら今年もクローザー、という名のベンチの肥やしになっていた。ああそうですか。強いて言えば、WBA戦で身体の強さを買われて右SBを担当したくらいか。プレシーズンはCBも練習していた気がするが、まあ後ろから持ち上がれるタイプでもないからな。ジェズス姫のお付家老としては十分活躍したと思う。

http://media.gettyimages.com/photos/theo-walcott-of-arsenal-challenges-fernando-of-man-city-during-the-picture-id630208248?s=594x594

 

ヤヤ・トゥレ

私、過去2年連続で「さらばだヤヤ、愛してるぜ」みたいなポエムを書いてるんですけど、今年もいるのかよ!すげー恥ずかしいわ。

開幕当初CLのGL登録メンバーから外され、圧倒的多数のシティファンから「しゃーない」との評価を得た(と、私は思う)が、代理人がグアルディオラを痛罵して着火。「いちいち起用法について代理人から口を出されたらたまらんので、代理人がクラブに謝るまで試合には出しません。」とのペップ宣言でシーズン前半は塩漬けになっていた。結局ビデオでヤヤ本人が謝罪し、復帰戦でチンタラしながらいきなり2得点。その後はチームに欠けていた、捌けるアンカーとしての機能を発揮したことで、有耶無耶のままにレギュラーを取り戻した。代理人は結局一言も謝ってないが。

ただ、以前のようなあからさまなジョグはなくなり、強烈なキープ力やパス展開で攻撃の前進にも役立っていたので、これなら来年もいてもらって全く文句はない。スタメンかと言われると苦しいけど。ポエムは書かない。今年はあえて。

 Arsenal v Manchester City - The Emirates FA Cup Semi-Final : ニュース写真

 

ファビアン・デルフ

シティに来てからただの面白いバカだと思われがちなデルフだが、アストンヴィラ時代にあのロイ・キーンに「お前調子こいてんじゃねえぞ」と言い放った勇気の持ち主であることを、我々は忘れてはならない。ちなみにこの話は思い出しただけで、あとの話にはなんの関係もない。

使われるとか使われないとか以前に、およそいつも怪我で休んでいた。たまに出てきては、しっくりこねえなあ、という印象だけが残る感じ。シルバがCMFにコンバートされたので、比べる相手がシルバだったのも運が悪かったと思う。自分のポジショニングで相手を動かすとか、スペースを空けるとかいうことが苦手で、キープ力や左足のロングショットはあっても、どこで使ったら良いやら判明しないままにシーズン終了。

http://media.gettyimages.com/photos/fabian-delph-of-manchester-city-and-gabriel-of-arsenal-argue-during-picture-id671901028?s=594x594

 

イルカイ・ギュンドアン

どうしたそこのインスタグラム担当大臣。イングランド1年目のシーズンは、ワトフォード戦で大怪我を負ったため、12月で終了。センセーショナルではなかったが、今のチームにいないキャラクターとして期待が持てるプレーはしていただけに残念。レジスタというか、中盤の底で捌く感じの選手なんだと勝手に思っていたが、意外とランパードっぽかった。タイミング良く飛び出してきて得点に絡むのが得意そうなので、今年の惨憺たる得点力不足*1解消のために活躍が期待される。

ちなみに、いくら大怪我とはいえ次の試合でチーム全員が「GUNDOGAN 8」と書かれたシャツを着て入場してきて、いや死んだわけじゃないから。そういうジョン・テリー的ノリはやめてもらいたい。

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アレーシュ・ガルシア

世界で一番メンディエタ顔。覚えていますか、メンディエタ

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背番号が大きい、つまりトップチームでは半人前の若手陣の中では最も重宝され、全コンペ合わせて8試合に出場。点も決めた。いつも丁寧に横パスバックパス横パスバックパスで自軍の位置調整と相手のバランス崩しを狙っているおすまし野郎なので、多分日本代表にいたらめっちゃ叩かれてると思う。プレーはどことなくアルベルト・セラーデスに似ている気がするが、セラーデスくらいのキャリアを送れたら大成功だよな。

Manchester United v Manchester City - EFL Cup Fourth Round : ニュース写真

 

AMF/WG

ダビド・シルバ

最高でしたね。CMFへのコンバートと、高い位置からのプレッシング、5レーン活用型の攻撃*2へのシフトという今シーズンの変革で、①ネガティブトランジションの速さ、②レーン間の移動の的確さ、③狭いところでボールを受けられる技術というシルバの特徴がこれでもかというくらいに際立っていた。テベス、ベラミーのカウンター一辺倒だったシティを1人で変えて以来、私はシルバのそこそこ熱烈な信奉者だが、今シーズンのパフォーマンスは今までで最高だったと思う。私が責任者ならエティハドにシルバを奉る神社が建っていたかもしれない。

一方で、戦術的にスコアラーの役割を担う場所にコンバートされたことで、得点力の無さという、シルバの数少ない弱点が露になったシーズンでもあった。シルバはこのレベルの選手としてはちょっと異常なくらいに得点力がない選手で、シティで50点取るのに295試合もかかっている(5.9試合に1点)が、マタだってアザールだって、あるいはジェラードだってエリクセンだって*3もっと取っている。そういうところが、折に触れて誰かが『シルバはプレミアリーグで最高の選手』とわざわざ言って回らなくてはならない理由だと思う。
「組み立てに関与しているから負担が大きい」か?いやー、それはどうだろう。それは具体的に言えば、一度下がってボールを捌いているが故のゴールまでの遠さ、あるいはタスク量の多さと移動距離による疲労の蓄積、の2つに表れるはずだが、今シーズンのように「相手DFラインとMFラインの中間に陣取ったCMF(シルバとデブライネ)にボールを届けること」が「組み立て」になるような場合には、その指摘は成立し辛いように思われる。

とにかく、転ぶ、滑る、ダフる、フカすと、シルバのトホホフィニッシュを味わいつくした1年でもあった。FWはチャンスを待つだけではなく、スペース作りに参加し、ウィングとCMFはフィニッシュも担うという戦術は来年も続くだろうから、スターリングやザネーの決定力が高まらない限り、シルバの限界がシティの限界になる日々は続くだろう。そうだったとしても、私は一向に構わないが。

http://media.gettyimages.com/photos/david-silva-of-manchester-city-celebrates-scoring-his-sides-first-picture-id679577614?s=594x594

 

ケヴィン・デブライネ

払って良かった100億円。トランジションの王様は、ポジトラでは脅威の反転性能で中央を切り裂き、ネガトラではハーフライン付近でのボール刈り取り機能を発揮。セットオフェンスでは主に右サイドからのクロスでチャンスを量産した。いや、払って良かった100億円。私は毎日巻物に1,000回書き写して中小企業の社長に片っ端から送っています。

ネガトラでも目端が利き、ボールを奪う能力もあるので、実は下記のツイートのようにアンカーを任せるのも有効なのではないかと思われるが、そのためにはもう1人スーパーなCMFが必要なので、実現しない夢かもしれない。

 

 改善点があるとすれば、シーズン15回バーを叩いた決定力か。リーグで5点はいくら何でも少なかった。これで点を取れたら、バロンドールも存外ありえない話ではないと思う。それくらい最大瞬間風速はすごかった。もちろんシーズン通して良かったんだけど、すごいときは本当に、カカーとベッカム足しっ放しのような威力であった。レアルに行きたいとか言い出しませんように。

West Ham United v Manchester City - The Emirates FA Cup Third Round : ニュース写真

 

ヘスス・ナバス

やたらと成長を謳う組織にろくなやつはいないと相場が決まっているが、それでも選手が弱点を克服していく過程を見るのは楽しいものだ。オタメンディはシャチのようにビタンビタン転がらなくなったし、アグエロは守備でもインテンシブな選手になったし、スターリングはラストパスが上手になった。アンダルシアのクロスマシーン、もといCK獲得マシーンも、クロスを相手にぶち当てる機会が減ったと思う。ニアに転がすクロスを覚えて、もはやただのCKを獲る機械ではなくなってきた気がする。気がするだけだが。

一方、ウィングはライン際で1on1を制する専門職と位置付けられているグアルディオラのサッカーにおいて、そもそも相手を抜く能力が高くないナバスは最後まで信頼を得られず。むしろ最初のチェルシー戦のようなWBや、シーズン後半に担当したSBの方が能力には合っていた。SBではかわいそうなくらいバタバタしていたが、鈍足揃いのDF陣の中で1人だけ飛び抜けて足が速いので、起用の収支としてはそんなに悪くなかったと思う。

なお、今年で退団。病気かと思うくらいシュートを打たない人だったが、13/14のフラム戦やカーディフ戦のように、苦しい試合で決めてくれたことを覚えている。アディオス、ジーザス。

http://media.gettyimages.com/photos/ilkay-gundogan-of-manchester-city-is-congratulated-by-teammates-after-picture-id620291490?s=594x594

 

ラヒーム・スターリング

萎れたパイナップルみたいな髪型と頬髭をやめたのが良かったのではないか。縦への仕掛けを覚えて加速力を活かせるようになり、相手の足の隙間をグラウンダーでニアに通すクロスも効果が高かった。チャンスを作る能力は相当に向上していて、シーズン通しての貢献度はシルバとデブライネに次ぐ程度のものがあったように思われる。

あとは、シュートだわな。シルバと並ぶトホホフィニッシュが改善されればもう一段高いレベルの選手になれるのだが、ファーに強いシュートが打てないのが元凶だと思う。蹴球計画の記事にもあるように、ファーがあるからニアも抜けるんだけど、スターリングの場合はGKを抜くか、フェイントで体勢を崩して足元を抜くかしかないんですね。体勢を整えた状態のGKを破れない。横から当たられた際のハンドオフ技術は大分良くなってきた気がするので、シュートがきちんと打てれば鬼に金棒だと思う。アーセナル戦の左足ゴールは、今シーズンのマイベスト候補。

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リロイ・ザネー

父親が元セネガル代表、母親が新体操ロス五輪の銅メダリスト。親父さん、現役のときは100m10秒8で走ったらしいよ。そりゃビリージョーンズやヤンマートがしばき倒されるわけだわ。

年末までは右サイドで出たり出なかったり、抜けたり抜けなかったりでモノになるには相当に時間が掛かりそうだったが、左に移ってからは相手の右サイドをひたすらにしばき倒していた。ただ、強いショットが打てる割には得点力が高くないのが惜しいところで、インサイドでのポジショニングとか、シュート時のバカ正直さとか、改善してもらいたい点も多いのだった。多分その辺が、サンチェスとか欲しがってる理由だと思う。まあ、まだ若いからね。

http://media.gettyimages.com/photos/leroy-sane-of-manchester-city-escapes-a-challenge-from-fabio-da-silva-picture-id675148978?s=594x594

 

ノリート

髭面のノリさん。他人を祝う能力はプレミア随一。やけに賑やかなやつだなと思っていたら、終いにはイアナチョにキスまでし始め、あのまま放っておいたら公衆の面前でBくらいは行ってしまったかもしれない。その辺りが恐らく干された理由ではないか。

というくらい、バルサを蹴ってまで来た割にはえらい干されっぷりだった。まあ、バルサに行っても干されはしただろうが。あとはすぐキレるのも良くなかったのかもしれない。1シーズンだけでスペインに帰ってしまうだろうというもっぱらの噂である。イギリス暮らしにも慣れてなかったみたいだし。面白いやつではあったんだが。

 Manchester United v Manchester City - Premier League : ニュース写真

 

FW

ケレチ・イアナチョ

人を呪わばイヘ穴チョ。2年前から言ってるんだけど、全然流行りませんね。

昨年終わりのレビューで、私は彼について「中堅以上の相手には、どこが通用しているんだかさっぱりわからないが、とりあえず点は取っている」と書いた。点が取れなくなるとどうなるか、というのが、今年のイアナチョだったと言えよう。

出場時間当たりで見ればそこそこ点は取っているのだが、とにかくボールを受けてはミス、パスを出してはミスの繰り返しで、いつ見ても1人だけチームから浮いていた。本人の代理人は「出場時間が短すぎる」と言っていたが、時間増やされても余計浮くだけだったと思う。最初のマンチェスター・ダービーみたいに、降りてきてボールもらうところまではうまいんだけどねえ。もらうまでは。

移籍が噂されているが、それもまあ当然、とくに競争相手がアグエロとジェズスとあっては・・・という気持ちと、一応は生え抜き*4で若いのだから、もう少しありがたみを感じていたいという気持ちと。

Hull City v Manchester City - Premier League : ニュース写真

 

セルヒオ・アグエロ

あえて乱暴に言うと、我々はアグエロにビビっていたのだ。我々というのは、シティのファン、ブロガー、シティ寄りのジャーナリスト*5、クラブ関係者、オーナー、それに監督のマンチョとペレグリーニも含めた、みんな。アグエロがイージーなシチュエーションを割とよく外すとか、守備の局面で集中力が続かないとかいうのは皆薄々わかっていたが、マンチョもペラーズも正面切って指摘はしなかった。なんだかんだ言っても結局シーズン30点近くは取ってくれるわけだし、下手に機嫌を損ねて「レアルに行きたい」とか言われたら困るからである。

それを守備をしろとか、もっとサイドに流れてスペースを作れとか、ライバルになりそうなFWを連れてくるとか、正面切って明確に色々と要求したのはグアルディオラが初めてであったのではないか。結果としては、苦手なタスクが増え、ゴールから遠い位置での仕事も多くなったため、3月以降の好調(17試合14得点)までは今ひとつ煮え切らないシーズンが続いた。ジェズスにスタメンを奪われたりとか。それでも最終的にシーズン33点まで持ってくるのは流石だと思う。戦術的に合う合わないはあれど、33得点取ることの勝ち点への寄与率は相当に高いだろうから。また最後の数試合は弱点だったポストプレーの確実性、持ちすぎ症候群、ボールロスト時の反応といった面でも進歩を見せていたので、来シーズンはより進化したアグエロを見られることを期待したい。

http://media.gettyimages.com/photos/sergio-aguero-of-manchester-city-celebrates-after-he-scores-a-goal-to-picture-id663756106?s=594x594

 

ガブリエウ・ジェズス

私ほど若手選手を見る目がある人間はいないというのが業界通の間での一致した見解だが、その慧眼はガブリエウ・ジェズスについても如何なく発揮されたと言えよう。まずブラジル人。ブラジル人である。これは大きなハードルですよ。ご案内の通り、南米人がイングランドに順応するのは大変である。寒いし、相手はデカイし、荒っぽいし。それにフォワード。我々はマリオ・ジャルデウやアフォンソ・アウベスがどうなったのかを忘れたわけではない。おまけに、どうやらロビーニョ2世だとか、ロナウド2世だとか、なんだとか。チャカチャカしたドリブルとハーフライン付近での(とくに意味はない)ヒールリフトが得意に決まっている。いかにも失敗しそうな雰囲気が漂っている。ニウマールに毛が生えたようなやつだったらどうしよう。

 

で、結果は9試合で6得点、ほぼ90分に1回ゴール。はい。しかも、得点力自体はアグエロに及ばないかもしれないが、どちらがチーム全体を機能させているかと言えばたぶんジェズスの方。やはり外形情報から先入観を持つのは良くなかったですね。1トップだけではなくウィングにも適応性を見せており、来年への期待は高まるばかりである。怪我には気をつけてほしい。

Manchester City v Swansea City - Premier League : ニュース写真

*1:アグエロの次に点取ったのが、スターリングの10点

*2:先月のFootballista参照

*3:マタは4.1試合に1点、アザールは3.5試合に1点、ジェラードは3.8試合に1点、エリクセンは4.1試合に1点

*4:17歳で引き抜いてきて即デビューさせた選手を「生え抜き」と呼ぶべきなのかどうかは議論があるところだが

*5:基本的には、Manchester Evening Newsの面々

マンチェスター・シティの16/17シーズン 中間まとめ

以下、『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』さん、@500zooさん、@yuukikouheiさん、@tkq12さんを一部引用しております。

 

 

 

-まずグアルディオラ政権下でのシティの戦いぶりについて、簡単に

「就任自体にも、ピッチ内での戦いぶりについても、基本的にはポジティブな感覚を抱いています。成功や失敗を論ずるには時期尚早過ぎますが。パフォーマンスについては、個人的には勝ってくれさえすれば内容は問わないタイプの人間なので、そもそも不満も満足もさほどありませんが、チーム全体に漂っていた倦怠感が払拭されたことは喜ばしいと思います」

 

-ポジティブな理由は

「戦術の骨格がより強固なものになったことで、見る側としては原因と結果の関係性がわかりやすくなったためです。」

 

-と言うと

マルティン・ペラルナウの本やバルセロナバイエルンの動向を見る限り、グアルディオラのサッカーは、まずリスクを低減するということが根底にあり、そのために試合中のあらゆる不確定要素をコントロールすることを志向しているようです。」

 

-みたいですね

「そのためのグアルディオラにとっての解法が、可能な限りグラウンダーのパスを使用したバックラインからのビルドアップであり、ボールロスト時のプレッシングであり、プレッシングに対応した高いDFライン設定である、ということなんだそうです。

 

今シーズンのシティでは、これらの原則がペレグリーニ時代のシティよりも厳密に徹底されています。導入からの期間が浅いためと、原則を遂行するために十分な選手が揃っているとは言い難いために成績が常に出ているわけではありませんが、成功するにせよ失敗するにせよ、目指すゴールと現在地のギャップがわかりやすくなったため、ピッチ内で起きていることの理屈や、足りないピースや今後の見通しが見えやすくなったことが、個人的には何よりポジティブに感じる原因です」

 

-なぜそれが嬉しいのでしょうか

「個人的な感覚でしかありませんが、褒める貶すよりも、まずパフォーマンスという結果に至った原因や理屈を理解したいという欲求の方が大きいです。『とにかく勝て』でも別にいいですけど、『じゃあどうしたら?』という質問に対して『それはよくわからんがとにかく勝て』と返すのは、個人的には多少気持ち悪いので。」

 

-ペレグリーニ時代と比べてと言いましたが、そのときのシティの総括を

「ピッチ内から話しますが、一部で言われているように『戦術がない』監督では全くなく、特に相手の戦術上の瑕疵を突くことには長けていました。ただし、その狙いを遂行するための戦術的な枠組みが強固でなく、結果中心選手のコンディション低下によって徐々に競争力を失ったという印象です。

 

従って、戦術上の狙いはあるし、コンディションが良いときには攻撃だけでなく守備についても完成形への期待を想起させるパフォーマンスを見せてくれましたが、一方で常にコンディションが保たれるわけはないので、次の試合ではどうなっているのかよくわからない。戦術上の決まりごとが徹底されていないシーケンスが多いので、対処できなかったことは次回対処できるかもしれないし、できないかもしれない。選手が疲れていたのか、事前の練習で仕込まれていなかったのか、次は理屈通り動くのか、そういうことがよくわからない。そこがストレスでした。」

 

―具体的には

「例えば、ボールを前線に供給するということについて、上手く行くときもあれば行かないときもありました。まずもってその不安定性自体が戦術的な骨格の強度が高くないことを示していると思いますが、今日なぜ上手くいかなかったのか、それが次の試合で解決するのか否か、手当てする気があるのか否か、最後までよくわかりませんでした。

 

まず、ペレグリーニはDFラインのタスクとして組み立てへの参加をあまり重視しませんでした。コンパニ、マンガラ、ナスタシッチオタメンディといった選手はいずれも組み立てを得意としておらず、またそれを補うための特段の手当ても行いませんでした。ちなみに、このことはビジャレアル時代からの特徴のようです。子飼いのデミチェリスは多少上手でしたが。」

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-だからボール供給が不安定だったと

「そのこと自体が悪いわけではないのですが、結果としてボールを前で保持するために行われたのは、①ヤヤ・トゥレ、シルバ、ナスリらが降りてくる動き、②ジェコ、ネグレドら長身FWへのロングボール、③高い位置でのプレスでした。

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マンチェスター・シティは、いつものようにヤヤ・トゥレがDFラインに落ちて、そこから縦パスを通す形でしか攻撃を構築することができなかった。シルバ、ヘスス・ナバスもポジショニングをフリーにすることで、ボールを引き出そうとしていたが、ハル・シティのスペースを消す4-4-2の前に、いい場所でボールを受けることはできなかった。

 

 それならば、アグエロとジェコの個人技でどうにかボールをキープしてもらおうとなるのだけど、そもそもそこまでボールが届かない。強引に届けてもさすがに働けないという悲しい状況であった。なお、アグエロはそれでも相手からファウルをもらう粘りを見せていたので、交代されることはなかった

  

ペジェグリーニの手筋~マンチェスター・シティ対バルセロナ~ - サッカーの面白い戦術分析を心がけます

前から行かない。むろん、行くときは行く。ただし、アグエロとジェコの距離が離れてしまうと、ブスケツへのパスコースが空いてしまう。ブスケツを2人で観るのか、中盤の助けを必要とするかの動きは、状況によって判断されていた。ただし、状況による判断が常に正しさを持っているわけでもなく、ブスケツが簡単にボールを受けてしまう場面が何度か見られていた。

 

マンチェスター・シティがボールを保持しているときのバルセロナは、特に何らかの対策を行わず、いつも通りに。よって、マンチェスター・シティにボールを運ばれてしまう場面もあれば、高い位置からのプレッシングが機能する場面もあった。このあたりの曖昧さは悪いときのバルセロナらしさなのかもしれない。ただし、以前に比べると、4-5-1での撤退という選択肢も試合中に見せているので、危機的な状況になるわけもなく。

 

結果としては②はネグレドの退団志願、ジェコおよび代役だったボニーの不振によって年を追うごとに弱体化していきました。③は時と場合によってはフェルナンジーニョを中心として効果を発揮しましたが、FW陣にその動きを徹底させることができず、あるいはするつもりがなく、全体としては成功とは言いがたかったと思います。良い例が14/15のバルセロナ戦1stレグです。

 

③についても、主力選手のコンディションが低下していくにつれて効果を発揮できなくなりました。15/16シーズンに取りこぼしが増加しましたが、ヤヤ・トゥレ、シルバ、ナスリ、アグエロ、デブライネが揃うことがほとんど無かったことが遠因と思われます。」

 

-ピッチ外では

そちらの方では、「グアルディオラへのつなぎ」というある種屈辱的とも言える役割に文句も言わず、かつ常にタイトル争いに絡むという目標を達成したので、役割を十分に果たしたと思います。マンチョと順序が逆だったらと思うとぞっとします。」

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-マンチョは黙ってないでしょうね

「癇癪持ちですからね」

 

-試合内容に行く前に、スカッド編成を見てみましょうか

グアルディオラが志向するサッカーを遂行するためには、DFラインが弱いと思われます。組み立てに長けたCBがストーンズしかいませんので、コラロフを配置転換しましたが、もともとSBなのでドリブル対応等難点が多いです。また全体的に対空性能とスピードが欠けており、リスク計算の収支が合わない原因になっています。

 

中盤もアンカー、CMFが少なく、デブライネとシルバ、フェルナンジーニョのタスク過多傾向が見られます。ギュンドアンは後方からの崩し参加で持ち味を発揮し始めていましたが、離脱してしまいました。」

 

-マネジメントチームは

「CEO、ダイレクター、育成ヘッドに、グアルディオラバルセロナ時代の同僚を揃えているので、監督がやりやすい環境はある程度整えられているのだと思います。チキの手腕はどうなんだとか、色々ありますけど」

 

-ピッチ内でのパフォーマンスは

「序盤は勝ちが続いていましたが、決して磐石の試合内容ではありませんでした。とくにチャンスを作ってはいても、得点まで至らないケースが多く見られました。これについては、500zooさんが『デブライネ、シルバの得点能力』を指摘されています」

 

 

 

-デブライネは点が取れる選手なのでは?

「キックが素晴らしく上手なのでシーズン10点強は取りますが、ゴール前に飛び込んで叩くようなプレーは苦手としています。ただし、チームとして守備面でははっきりと向上が見られましたし、ビルドアップにも大きな問題は発生していませんでした。」

 

-9月末のセルティック戦から、10月・11月の2ヶ月強は3勝5分3敗と停滞します。

「結論としては、試合内容は騒ぐほど悪くありませんでした。結果が出ていないので怒られるのも分かりますけど。

 

セルティック戦、スパーズ戦はどちらも前線からの激しいプレスを交わせなかった試合でした。加えてスパーズ戦では、中盤にデンベレ、ワニャマという重量級のMFがおり、組み立てがさっぱり通用しませんでした。

 

 

対策として、なのかどうかは分かりませんが、次のエヴァートン戦から3バックが導入されます。『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』で解説されていますが、フォーメーション変換が無くなれば、その時間を利用される問題は無くなりますし、餅は餅屋です。チェルシー戦で見せたCMFが絡んだサイド攻略は良い例だと思います。また、後ろで数的優位を保つことでカウンターのリスクを軽減し、攻撃力を高めるという策も、以前のバイエルンで見られています。選手のクオリティとチームとしての練度不足もあって、むしろ失点のリスクは高まっているようですが。」

 

【マンチェスター・シティの攻撃の特徴】マンチェスター・シティ対エバートン【ステケレンブルグ!!!!】 - サッカーの面白い戦術分析を心がけます

サイドバックの選手がアンカーの横でプレーすることを、アラバロールと呼んでいる。この動きは相手のカウンターに対する策として生まれたものだ。ポリバレントなアラバはセンターでのプレーを攻守ともに苦にしないタイプだった。よって、サイドバックだけでなく、プレーエリアを広げることで、アラバ自身にとって、そしてもちろんチームにとってもポジティブな策だった。

 

マンチェスター・シティに在籍しているサイドバックは、センターでのプレーをしていましたよ、という選手は特にいない。思い出してみても、クリシーコラロフサバレタ、サニャ。そんな彼らがアラバロールをこなしているのはなかなかの衝撃だった。ただし、アラバに比べれば、攻撃面での物足りなさは、どうしても否めない。だったら、最初からセントラルハーフの選手を置いてしまえばいい。この試合では、ギュンドアンフェルナンジーニョがセントラルハーフでコンビを組んだ。このポジション変更によるデメリットは、3バックでの守備を強いられることだろう。クリシーストーンズオタメンディは数的均衡のなかでプレーする機会が多くなった。その代わりのメリットが、マンチェスター・シティ攻撃機会の増大に繋がる試合となった 

 

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3-0で負けているのに、マンジュキッチハビ・マルティネスの采配。負けているのにFWを交代したグアルディオラ。何が悪くてチームが機能していないかを正確に把握できている勇気のある采配であった。

 

 この交代によって、景色はがらっと変化する。レアル・マドリーのカウンターは枚数を揃えたバイエルンの守備陣に捕まるようになり、そもそもカウンターの場面はほとんど観られなくなっていった。また、ビルドアップの面でもハビ・マルティネスベンゼマたちを牽制することで、クロースたちがより自由に振る舞えるようになった。つまり、前半よりもカウンターの恐怖にとらわれないで攻撃を仕掛けられるようになったバイエルンの攻撃の精度が上がり、それがレアル・マドリーのカウンター機会の減少にも繋がった。

 

-これだけ結果が出ていないのに内容が悪くないというのは無理がありませんか

「その意見もわかります。実際、レスター戦は酷い出来でした。とはいえ、エヴァートン戦にしてもボロ戦にしても十分をコントロールすることはできていました。後者の前半はあけすけに言ってフルボッコ状態で、過去15年のシティで最も堅牢な試合だったと言って良いと思います。」

 

-クリーンシートが少ない点については

「プレミアのチームは金があるので、中位下位でも良いストライカーが雇えます。ルカクやロンドン、イガロ、ヴァーディーといった選手は1人でDF2人くらい平気で片付けますから、その点がいまだ収支合わせに苦慮している原因かと思います」      

 

-12月以降はチェルシー、レスターに連敗しましたが

「レスター戦の負け方が酷かったので一気に批判が噴出しましたが、チェルシー戦は良かったです。1-3で負けておいて、良いもクソも無いといえば無いんですが、アグエロ、デブライネがあそこまでイージーなチャンスを外してしまっては。チェルシーをよく崩してはいました。とはいえ、そこで結果を出すコンテとチェルシーが素晴らしいのは言うまでもありません。次のワトフォード戦では、よりオーソドックスな形をとってひとまず結果を出しました。」

【リスク管理をするグアルディオラ】マンチェスター・シティ対ワトフォード【奇襲のマッツァーリ】 - サッカーの面白い戦術分析を心がけます

 

リスク管理』という表現が使われていますね

所謂アラバロール、あるいはファルソラテラルも、カウンターの出所を押さえつつ3枚目の動きを攻撃に追加するという意味ではリスク管理策なのですが、まあ単純に後ろに4枚揃っていた方が不確定要素を減らしやすいという道理はありますから。チェルシー戦、レスター戦と、相手のカウンターを全くチェックできなくなっていたので、対策としては妥当だと思います。

 

-今後の見通しは

「得点効率の低さは、デブライネとシルバがスコアラーを担う構造である限り中々改善しないと思います。彼ら2人自体はシティで最高の選手ですけど。

 

アグエロにしたところで割とイージーなチャンスを外す癖は直っていませんし、タスクも多いので、劇的な改善は望み難いです。むしろ、2月に延長されたはずの契約が発表されていなかったり、ガブリエウ・ジェズス以外にもFW獲得の噂が耐えなかったりと、アグエロに満足していない雰囲気も感じられます。

 

ただし、直近3試合のように、長身のヤヤ・トゥレを含めたよりオーソドックスな形で結果が出始めているので、勝ち点はある程度安定して稼げるのではないかと思っています。ヤヤはSBが出たスペースのカバーに入る仕事もやるようになったので、190cmある彼がいることは対空面でも大きいです。いつまで持つか分かりませんが。」

 

-新戦力については

 

 

 

 

 

-最終的な順位は

「せっかくグアルディオラが来たわけですから、これでCL圏内が目標というのも景気が悪くないですか。優勝目指して頑張ってもらいたいところです。」

 

ーちなみにこのスタイルどうでしたか

「こっ恥ずかしくなったのでもうやめたいと思います」

2016/17 マンチェスター・シティ 選手名鑑(レンタル放出組編)

-             Joe Hart ジョー・ハート       GK          29

ここに全部書きました。

http://media.gettyimages.com/photos/manchester-citys-goalkeeper-joe-hart-salutes-the-fans-after-what-may-picture-id594874490?s=594x594

 

20          Eliaquim Mangala             エリアキム・マンガラ            CB          25

バレンシアに(どうやら2年間)ローンで放出。ペップの構想には恐らく端から入っておらず、今後シティに戻る可能性は限りなく低いであろう。ジエゴ・コスタを叩きのめした衝撃のデビュー戦、ハル戦でオウンゴールを喫してからの乱高下、昨シーズン序盤5試合の進化の兆し、からの怪我、からのCLパリ戦大活躍、とパフォーマンスと評価の動きが激しい選手であった。β高すぎ。と言うことは当然価値も下がるわけですけど、さらに一旦預けた先が見るからに金がないバレンシア。大丈夫だろうか。まだ£25mくらいバランスシートに載っていると思うのだが。

人間としてはすこぶる真面目でいい奴だっただけに、今後の幸せを祈りたい。

http://media.gettyimages.com/photos/olivier-giroud-of-arsenal-wrestles-with-eliaquim-mangala-of-man-city-picture-id529212380?s=594x594

 

28          Jason Denayer     ジェイソン・デナイエル         CB 21

マンガラとは逆に、ペップとチキ(FD)が手元に残したがった(らしい)のがデナイエル。ベルギー代表。2年前、レンタル先のセルティックベストイレブンと最優秀若手賞を受賞、代表でもフランス戦で“大活躍”し、シティファンの期待は高まったが、その後のガラタサライでの今一つ煮え切らない1年間と、EUROでの失敗で熱狂は落ち着いた。今年は色々あった末にサンダーランドにローン。シティとの開幕戦で右バックを努めた若い選手が見るからにどうしようもなかったので、多分重宝はしてもらえると思う。

瞬発力に優れ、ボール扱いにも自信があるようだが、軽率。あと、パスは別に上手くないんだよな。前述のフランス戦も密かに失点モノの凡ミスをやらかしており、多分まだ使うには怖い段階なのだと思われる。とはいえさすがに3年連続ローンはそろそろ愛想尽かして出て行きそうな気がするが、今後のハンドリングに注目。

http://media.gettyimages.com/photos/new-sunderland-signing-jason-denayer-pictured-at-the-academy-of-light-picture-id598305128?s=594x594

             

-             Pablo Marí           パブロ・マリ          CB          23

鈴木大輔がいるジムナスティックから引き抜いて、即パートナークラブのジローナにレンタル。言い方は悪いが、海外支社の採用コストを本社で持ったみたいな。所属だけはマンチェスター

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36          Bruno Zuculini     ブルーノ・スクリーニ            CMF        23

スクリーニはどこで何をしているのか?というのは、多くのシティファンにとっての共通の謎である。若く、機動力のあるアルゼンチン人で、加入した年のプレシーズンは好プレーを見せていた。しかし、その後はレンタルされては特に出番も無く終了、を繰り返す2年間。本人もアルゼンチンに帰りたいらしい。そりゃそうよね。今年はとりあえずラージョにローンに出してはいるが。

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37          Jack Byrne           ジャック・バーン    CMF/AMF 20    

15歳からシティにいるアイルランド人。タフそうなヒゲ面の、点が取れる中盤。キック力はある。去年はオランダのカンブールに貸し出され、降格してしまったもののレギュラー格として1年を過ごした。A代表も召集経験あり。今年はブラックバーンに貸し出し。

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47          Luke Brattan       ルーク・ブラッタン  CMF        26

パブロ・マリと同じく本社で採用費持ちました組。ブリズベンにいたところを引き抜かれ、即座にボルトンに貸し出し。が、あっという間に呼び戻され、数ヶ月待機の末にメルボルン・シティ(オーストラリアのグループクラブ)にレンタル。訳が判らないが、多分最初っからメルボルンに入れる気だったのではないか。26歳で代表キャップもない選手をマンチェスターで使うとも思えず。

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-             Aaron Mooy         アーロン・ムーイ    CMF 25

またの名をモーイ。ブラッタンとは違い、メルボルンで活躍していたところをマンチェスターが引き抜き、現在は2部のテリアーズことハダーズフィールドに貸し出し中。現地採用の若い奴が有能だったので本社に異動しましたみたいな(メルボルンも由緒正しい個別の歴史があるクラブなので、この言い方は語弊があるけど)。逆に言えば、なおのこと目的が何だったのか全然判らない選手でもある。メルボルンはむしろ弱体化するし、かといってマンチェスターで使うレベルかと言われるとね。ご褒美にUK挑戦とか、そういうことなのだろうか。

オーストラリア時代は2年連続ベストイレブンに選ばれ、アシスト王にも輝いた。テリアーズは好調だし、本人もクラブの月間MVP獲るし、代表でもスタメンだし、最近は色々と景気が良い。いずれ日本代表戦でも見られるであろう。マンチェスターではどうだか知らんが。

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55          Olivier Ntcham    オリヴィエ・ヌチャム            CMF/AMF          20歳   

ジェノアに貸し出し中のパワフルなフランス人。2年レンタルの2年目だが、実は既にジェノアに売っていて、シティは買い戻しの優先交渉権だか何だかを付けているだけと言う話があったような気がする。昨シーズン序盤は好調だったが、徐々に出場機会が減少。最初はポグバ2世とか騒がれたんだが。今シーズンは新監督の下、開幕からスタメンで起用され、初得点も決めた。

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8            Samir Nasri         サミル・ナスリ       AMF       29

最後の最後でペップは手元に残したがったらしいが、自ら望んでセビージャへ。背番号は10らしい。二言目には「問題児」「プロ意識が低い」と言われる選手であったが、個人的にはその評価がいつも腑に落ちなくて、少なくともシティにおいて何か問題になることを言った記憶はない。強いて言えば、「バルサだってメッシ以外は人間」くらいか。まあ、本当のことだし。

むしろシティでのナスリは「俺たちは所詮傭兵だから結果を出し続ける責任があるんだ」とか「俺はポジションを奪い返すために努力するよ」とか、殊勝なことしか言っていなかったし、むしろ移籍してもらっちゃっても、大丈夫なんですけど・・・とこっちが思うタイミングでやけに殊勝なので困ったくらいだった。まあ夏休み明けは毎年太っていたから、それがプロ意識の欠如だと言われればそれまでだが。あと言われているほど守備をしないわけでもなかった。どっちかと言えば、私はボールを持ったときのクオリティこそ不満だった。

色々あったが、清武にはあんまり悪いことを教えず、セビージャで頑張ってもらいたい。

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76          Manu García        マヌ・ガルシア       CMF/AMF             18

まだ18歳。引くほど若いアストゥリアス人。2年前にヒホンから引き抜いた。スペイン風スティーヴン・アイルランドという趣のMFで、中盤を回遊しながら攻撃を組み立て、必要なら前線への飛び出しや突破も仕掛けられますみたいな。去年はプレシーズンから度々起用され、カップ戦でプロ初得点。今年は懐かしのアラベス(2部)で1年修行。

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27          Patrick Roberts   パトリック・ロバーツ            WG 19

人呼んでイギリスのメッシ。大丈夫かそのあだ名。去年の半ばからセルティックに1年半貸し出し中で、昨シーズンは12試合6得点と、そこそこブレイクした。どのハイライトを見ても左からドリブルで突っ込んできてワンツーかミドル打つかしかしてないが、メッシと言うだけあってスピードとシュート力は大したものなので、今年1年じっくりロジャーズに育ててもらうといいと思う。

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35  Oleksandr Zinchenko  オレクサンドル・ジンチェンコ      AMF/WG 19      

EUROのウクライナ代表にも入っていた新星。ウファという割とマイナーなクラブから来た。さほどスピードは無いがボール扱いはとりあえず上手そう。ドルトムントが狙っていたり、今年の修行先がPSVだったりと評判が良いので、きっと良い選手なんだと思う。知らんけど。他力本願。上見て暮らすな横見て暮らせ。

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59          Bersant Celina     ベルサント・ツェリナ            AMF  19歳      

コソボ人1号。得点力とクロスの精度が魅力という噂。去年はリーグ戦でいきなり1アシストを記録した。適正がどこかは判らんが、サイドの選手では無さそうに見える。ノルウェー育ちだが、代表はコソボを選択。祖国の歴史のために頑張るんだ俺は、みたいなことを言っていたが、気合が入りすぎたのか記念すべきコソボFIFA公式戦初戦でいきなり退場した。

「ていうか、£40mで移籍してくるようなやつがいるとこで今トップチームに入るとか無理」と、皆思ってたけど黙ってたことをぶっちゃけた後、希望通りオランダのトゥウェンテにレンタル。ノルウェー育ちが長いからか、インタビューでは見るからにアルバニア語より英語の方が喋りやすそうにしていた。練習中、カメラをじっと見つめて最後にニヤっと笑う、という芸が好き。

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62          Brndon Barker    ブランドン・バーカー            WG 19

地元生まれ地元育ちの左ウイング。イングランドU20代表。下の年代では間違いなく速くて上手いが、上でも通用するのかはまだ不明。とりあえずボールの持ち方はちょっと奇妙。点が取れるタイプなので、育って欲しいところではあるが。今年は他の若手と4人揃ってオランダのブレダに貸し出し。遠足か。

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63             Sinan Bytyqi        シナン・ビティーチ AMF 21

コソボ人2号。やさぐれた雰囲気のツェリナと比べると、普通の良い子ちゃんっぽい。オーストリア育ちだが、つい先日コソボ代表を選択。地元のインタビューでは、私が見たスポーツ選手史上最高にかわいく「あっ・・こんばんは」と言っていた。石川佳純ちゃんよりかわいい。今夏、2019年まで契約を延長しているが、期待が大きいのか、移籍金目的なのかは不明。もう21だけど、今年のレンタル先もオランダ2部だしなあ。

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-             Yaw Yeboah         ヨウ・イエボア       AMF       19

イエボア、というとリーズやハンブルガーにいたおっさんを思い出すが、それとは関係ないっぽいガーナ人。去年はU20アフリカ選手権のMVPに選ばれ、既にフル代表にも呼ばれている。FWという噂もあるが、レンタル先のトゥウェンテでは右を担当している模様。

今年の6月頃に「ペップから連絡があってさ~俺来シーズンのプランに入ってるんだって~」と言い出してちょっとしたニュースになったが、全然そんなことは無かった。なんだったんだあれ。もうシティも大分メジャーコンテンツになったのだから、そういう90年代のアフリカノリは止めてもらいたい。

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14          Wilfried Bony      ウィルフリード・ボニー         CF          27

最後まで全てが間に合わないまま終了。移籍金を取り返すため、ストークで頑張って頂きたい。

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-             Marlos Moreno    マルロス・モレーノ WG        19

今夏アトレチコ・ナシオナルリベルタドーレス杯を制した若きコロンビア代表。スピードがあってゴリゴリ突破ができ、そこそこパスも出せるとか、出せないとか。アスプリージャに似ているとか、似ていないとか。全てが曖昧な私。今年はデポルティボで修行の予定。枠の問題もあるが、多分現状では労働許可が降りないんだと思う。

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-             Gabriel Jesus       ガブリエウ・ジェズス            CF/WG   19歳

こないだのリオ五輪優勝メンバー。先日のA代表デビュー戦でもいきなり2得点。お兄さんをそんなに期待させるとは悪い子だ。この手のブラジル人なので当然のように高速ドリブルがあるわけだが、まともなFWとしてもちゃんと働くので、ちょっと昔のロナウドっぽいかもしれない。ナルシストじゃない方の。

現在ブラジル全国選手権で得点王、冬まではパウメイラスにいる予定。例えばムーイが現地採用で地元組がソルジャー採用だとしたら、ジェズスは本社ブレイン採用ど真ん中。獲得した瞬間からトップチーム入りがほぼ内定。その分ハードルも高いが。

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48          Enes Ünal            エネス・ユナル       CF          19

緑の街ことブルサはオスマンガズィ出身のトルコ人。数日滞在したことがあるが、とても良いとこ一度はおいで。

長らく頼れるCF不在のA代表にも既にデビュー。見た感じ、ミドルの射程が長く、遠目からでも狙えるタイプ。去年はまずベルギーのヘンクに貸し出されたが、全く馴染めず早々にローン切り上げ。次にオランダ2部のブレダに出向し、11試合8得点と活躍。今年は1部のトゥウェンテでいきなりハットトリックしており、ファンニステルローイみたいに成長したりしないかと期待している。「Ü」は「ウ」の口で「イ」と言うと出せる。

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51          David Faupala     ダヴィド・ファウパラ            FW         19

NACブレダに4人まとめて預けられたうちの一人。フランス人のストライカーで、多分ニューカレドニア系。そこそこ背が高い割には身のこなしが機敏で、ボール扱いも上手い。去年はFAカップチェルシー戦で1得点の上テリーを股抜き。

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2016/17 マンチェスター・シティ 選手名鑑(トップチーム編)

1            Claudio Bravo      クラウディオ・ブラボ            GK          33歳

ハートに関するあれこれで、来る前からファンの間に複雑な感情渦巻いてしまったチリ代表の守護神。まあしかし、シティがバルサの正GKを取る時代よの。こないだのストーク戦で明らかになったように、GKからのビルドアップは攻撃だけでなく守備の策でもあるので、試合中のパフォーマンスを安定させる人材としても期待がかかる。

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13          Willy Caballero    ウィリー・カバジェロ            GK          34

サビオラロマニョーリダレッサンドロマキシ・ロドリゲスコロッチーニ、アルカといった錚々たるメンバーとともにワールドユースを制した際の正GK。シティではいまいち信用が無かったが、昨シーズンのリーグカップ決勝でPKを3本止めてヒーローに。今シーズンはハートのサブ降格に伴いまさかのスタメン抜擢と相成ったが、別にハートと比べてさほどつなげるわけではない。いい人。

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54          Angus Gunn         アンガス・ガン       GK          20

父ブライアンはノリッジの名GK、母スーザンは芸術家。15歳のときにノリッジから移ってきた。ハートの移籍によって第3GKに収まりそうだが、さすがにブラボとカバジェロ相手に出番を得られるとは期待し難く、キャリアを考えればレンタルに出してあげたい感じはある。ハートよりも足技に優れているらしく、ペップはそこら辺を評価しているという噂。

 

 

4            Vincent Kompany               ヴァンサン・コンパニ         CB          30

ハートの移籍によって(自前育成組を除けば)チーム最古参となった主将。DF課の課長。昨シーズンは試合に出ているときは良かったが、とにかく怪我に次ぐ怪我で稼働率低すぎ。課長のくせに有給消化しまくり。数年前はバカみたいな機動力とパワーでとにかく相手を捕まえて叩きのめすスタイルだったが、加齢とともに良くも悪くも落ち着きつつある。

キック力はあるが組み立てが巧いタイプとは決して言えないので、ペップ政権下でどの程度の役割を担えるのかは今後の体調と努力次第だが、コンパニの存在感が低下するというのは、寂しいけどクラブとしては健全ではあると思う。

 

 

11          Aleksandar Kolarov          アレクサンダル・コラロフ      CB/LB    30

ファンからの信頼はないが、キック力と味方の祝福力はべらぼうにあるセルビア人。それなりに古参。昨シーズンは序盤好調、からの使われすぎて勤続疲労、後半は言わばそびえたつ糞。本人には特に自覚は無く、後述する今シーズンの大変身にも「いや、おれはずっとちゃんとしてたし(別にペップが来てめっちゃ良くなったわけじゃないし)」と臆面も無く言い放ち、私を脱力させた。

今シーズンは放出候補筆頭と目され、実際にベシクタシュへの話が進んでいたらしいが、恐らくラポルトビルバオ)の獲得失敗もあって残留。CBにコンバートされ、ここまではまさかまさかの素晴らしいパフォーマンスを披露している。ボールを運びながら味方を探すのが巧く、加えてワンステップで逆サイドまでボールを届けられるということで、ビルドアップへの貢献度は高い。果たしてこの感じがシーズン終了まで続くやら。

 

 

24          John Stones         ジョン・ストーンズ             CB          22

エヴァートンから43百万ポンドとかそこらで加入。世界で2番目に高いDFとなったが、ここまではむしろ安かったな的な反応が大勢を占めている。守備も安定しているが、とにかくビルドアップが本当にお上手。直近の試合では恐らく意識的にアンカーと入れ替わって中盤でボールを捌くシーンも見られ、目新しい動きなのでちょっと注目している。

 

 

30          Nicolás Otamendi               ニコラス・オタメンディ      CB          28

加入1年目の昨シーズンは、寝ても覚めてもスライディング。ディスカバリーチャンネルのシャチ特集と見まがうばかりにのた打ち回っていたが、今年はペップの「CBがあんまりスライディングに頼るのどうかと思う」という至極真っ当な指摘によって自重中。ビルドアップはおっかなびっくりだが、力任せにぶっ叩くしかなかった昨シーズンと比べると、相当に進歩はしている。前へのボールには地上でも空中でも滅法強いので、カウンター封じには役に立つ。強面の割に、目はつぶら。南アフリカW杯のときはマラドーナが右バックで使って大失敗した。

 

 

53          Tosin Adarabioyo            トーシン・アダラバイヨ         CB          18

5歳からシティに所属している、190cm超えのイングランドU19代表。自分の名前が読みづらいことを自覚してか、Twitterの公式アカウントにわざわざ「あだ・ら・ばい・よ」と読み方を書いている、かわいいやつ。最初に見たときはあからさまにパス出しがヘッタクソだったが、その後のプレーを見る限りボールを持つのは嫌いではなさそうなので、期待したいところ。現状守備は相当に危ういが、ペップには割と期待されているらしく、CBの4~5番手としてそこそこ出番はありそう。

 

 

3            Bacary Sagna      バカリ・サニャ       RB(/CB)              33

フランス代表でレギュラーを張る右サイドバックのおじさん。安定した守備と高さ、そこそこの攻撃への貢献に加え、サバレタの衰えもあって去年はレギュラー。前線が小兵揃いのチームにあって、高さを活かして貴重なゴールキックのExit先として働く。奥さんは向こうが14歳のときからずっと付き合っているらしいが、その割にはモデルとかやってる超セクシーな美人で、見る目すごいなあんた。引退したらスカウトになったらいいと思う。

 

 

5            Pablo Zabaleta    パブロ・サバレタ    RB          31

人呼んで男サバレタコラロフの2万倍くらいファンの信頼を得ている右サイドバック。昨シーズンは相当に低調な出来で移籍が噂されてしまったが、色々あって残留。今シーズンは副キャプテンを務めつつ、昨年より元気な姿を見せているが、ドリブル対応がめっきり弱くなってしまったのは寂しい限り。インサイドでアラバロールをこなすのはそこそこ上手そう。

 

 

50          Pablo Maffeo       パブロ・マフェオ    RB          19

今年トップチームにデビューした若いスペイン人。もともとはエスパニョールの下部組織にいた。守備がとにかくキビキビとしていて、滅多なミスは犯さない雰囲気。コラロフよりよっぽど規律があった。ボールを持ったときはびびりまくっており、攻撃時の貢献はさっぱりだったが、守備が安定していそうなので使う側からすると気が楽なのではないか。

 

 

22          Gaël Clichy           ガエル・クリシ       LB          31

アーセナル時代の約10年前に1回ベストイレブンに選出。目立たないし、プレミアで最高のサイドバックかと言われるとそうでもないが、大体いつも安定したパフォーマンスを提供してくれるベテラン。アーセナル育ちの杵柄か、今年はいわゆるアラバロールに一試合目から順応しており、やったぜアーセンさすがあんたは最高だな。弱点を強いて言えば、空中戦に弱くパワーで押し込まれやすいところか。あと、ロングフィードはさほど上手くない。

 

 

69          José Ángel Tasende "Angeliño" ホセ・アンヘル・タセンデ(アンヘリーニョ) LB/LWG         19

またの名をアンジェリーノ。ガリシア人で、デポルティボのアカデミーから引き抜いた。スペイン人の若手左サイドバックと言うのはウィング崩れで攻撃大好きでなければならない、というのはEU法に定められているところであるが、彼も当然ウィング崩れで攻撃大好き。爆走兄弟パス&ゴー。まだトップでは途中出場に留まるが、ボール捌きもそれなりに自信がありそうだし、キックの精度も悪くない。アルバやベルナトのようになってくれると良いのだが。

 

6            Fernando             フェルナンド          DMF       29

ラッパーのT.I.にどことなく似ている守備型ボランチ。食いついたボールに触る能力は高く、相手がメッシでもなければある程度の対応は期待できる。反面足元は大したことが無く、大分マシにはなったものの、相手にどストライクのパスをかましてカウンターの火種になることも多々ある。ジーニョがアンカーで使われる以上、守備要員以上の起用は難しいかもしれない。

性格はいたって真面目。ひどい試合のあとでも「僕たちがんばります!」みたいなTweetを即座に上げてくれるが、空気は読めない。

 

 

25          Fernandinho        フェルナンジーニョ DMF/CMF             31

就任後のペップが真っ先に名前を挙げて褒めちぎったブラジル代表。本来はいわゆる8番的な、Box-to-Boxの動きを得意とするが、ペップ政権下ではアンカーとして登場。広いカバー範囲、攻守に役立つ近接戦闘スキルを備え、ブスケッツアロンソとはまた違ったアンカー像を見せてくれている。大体いつもニヤケ顔。こういう顔は珍しい。

 

 

75          Aleix García         アレーシュ・ガルシア            DMF       19

ビジャレアル育ちのカタルーニャ人。昨シーズンのFAカップチェルシー戦でデビュー。シンプルなプレーで組み立てに貢献するレジスタ。ペップの好みにいかにも合致しているのではないか、ということで期待は大きく、実際に今シーズンはトップチームに帯同しているようだ。出てきたときのブスケッツほど衝撃的に上手かったらいい・・・のだが、何試合か見る限り、現実はそんなに甘くないので今後の成長に期待。

 

 

8            İlkay Gündoğan   イルカイ・ギュンドアン         CMF        25

香川の元同僚としてお馴染みのトルコ系ドイツ人。年を追うごとに、トルコのオッサン丸出しの顔になっている。今シーズンから加入。長引く怪我でまだシティではプレーできていないが、まあさぞかし上手いんだろうよ。シルバへの依存がこれ以上高まらないよう、崩しに組み立てに、求められるハードルは高い。

 

 

17          Kevin De Bruyne  ケヴィン・デブライネ            CMF/AMF/WG      25

払って良かった100億円。あっという間にファンの心を掴み、Seven Nation Armyの替え歌チャントも人気が高いベルギー人。「五分のボールをとにかく自分のものにする」「トップスピードでボールを扱う」ことにかけてはシティ1。ペップ政権下では右のCMFで起用されているが、ボールをもぎ取ってからの急加速で一気に大チャンスを作ってくれるうえ、セットピースでは精度の高いボールを入れてくれるという。払って良かった100億円(大事なことなので2回言いました)

一方でエリア内に入っての得点は苦手にしており、CMFにチャンスが訪れる設計の現政権下では役割に苦しんでいる感もある。まあ贅沢な悩みではあるが。私服はダサい。

 

18          Fabian Delph       ファビアン・デルフ             CMF      26

20でリーズからヴィラに移籍。当初は使い物にならないとか何とか言われながら、辛抱強く育ててもらい、ついにキャプテン・・・になったところで思いっきり移籍した。ほんと、ごめんなさいね。

スピードと持久力があってカバーできる範囲が広く、しっかりキープできる足技と左足のミドルもあるが、如何せん稼働率が低いのが惜しいところ。CMFでレギュラーが張れるほど上手かと言われると、そこも苦しかったり。多分、ポジショニングによって相手を動かすということに慣れてないんだと思う。今シーズンはCMFの控えが中心かと思われるが、何かしら使い道が無いものだろうか。

去年、相当に天然であることが露呈。恐らく下の写真も何も考えていない。

 

 

21          David Silva          ビド・シルバ       CMF/AMF             30

日本でのシティ人気に関して確実に一端を担っているであろうチームの重鎮。現地フォーラム等でも折に触れて「シティ史上最高の選手なのでは」という話が出る。私が決めて良いんなら、まあ銅像は建てるわな。8回は建ててる。

今シーズンはAMFからCMFにコンバートされ、相手の視野のコントロールとか、相手の担当範囲を迷わせるポジショニングとか、シルバの得意範囲が存分に発揮されており、楽しいシーズンの予感。サイズこそないが、守備でも勘が良くきっちり走るので、プレッシングが整備された今シーズンは守備でも効いている。弱点はシュートが上手くないということで、体格的に強いシュートも打ちづらいし、よくフカす。まあ「北川景子は食べ方に難がある」とか、そういうレベルの難癖かもしれんが。

 

42          Yaya Touré           ヤヤ・トゥレ          CMF        33

毎年恒例「トゥレちゃん絶対やめへんで!」シリーズの収録を終え、無事残留。近年のシティのタイトルは全てヤヤトゥレ加入後であり、コンパニやシルバにも劣らない功績の持ち主なのだが、近年の怪しい態度によって自分の立場をどんどん怪しくしている。ここ2年で本当に走れなくなり、ついにはボールキープ力も失ってしまった。勘所で通すパスはトゥレにしか提供出来ない価値だが、そのために払う費用を考えると、ついに起用の収支がマイナスになってしまったように思われる。また、足元に貰ってなんぼなので、自分のポジショニングで攻撃を動かす意識が薄いところもなあ。すぐ下がって受けたがるし。恐らくはCMFの控えだが、果たしてペップはどう使うのか。

 

 

7            Raheem Sterling  ラヒーム・スターリング         WG         21

快足ウイング。リヴァプールファンのアイドル・・・という冗談を言う気にも中々なれないところがある。リヴァプール時代からどうでもいいことでめちゃくちゃなことを言われている選手だったが、シティへの移籍以降、その傾向はより顕著に。いくら代表での出来が悪かったからといって、SUN紙のヘイトキャンペーンは常軌を逸している。はあ。

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その中で、本人はペップ就任以来生まれ変わったように活躍。ドリブル突破だけでなく、速い切り替え、運動量、クロスの精度などあらゆる面で向上。これであとは点が取れれば申し分ない。

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15          Jesús Navas        ヘスス・ナバス       WG         30

セビージャ時代、この人は本当にリーガの右サイドを切り裂いていたのだろうか。常に全力の清涼感溢れるプレースタイルながら、結果としては恐ろしく右サイドが膠着するという不思議な男。とにかくバタバタしてるし、相手も対応でバタバタするんだけど、遠めで見ると「ああ、やってんな」くらいの静寂さ。

まあ真面目に言えばスピードもまだ残っているし、守備にも戻るし、ドリブルの実効性やクロスの質も今年は多少マシに見える。1つのことしか出来ないが、その分パフォーマンスにムラは小さい。相手DFに対して有利に立つことは少ないが、不利になることもあまりない。ダイレクトのパスが下手なのが、ペップ政権下では惜しいところ。

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9            Nolito    ノリート  WG         29

ハリウッドのザコ悪役っぽい顔をした左ウィング。スカーレットヨハンソンにボッコボコにされてそう。黒服で。見た目はいかついが、点が入ると真っ先に若手を祝福してくれたり、根はいい人のようだ。怪物的とはとても言えないが、ペップの希望で獲った(と言われる)だけあり、攻守に休み無く働いてくれる。得点力もそこそこありそう。

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19          Leroy Sané           リロイ・ザネー       WG         20

父親は元セネガル代表、母親は新体操のロス五輪銅メダリスト。19歳でドイツ代表にデビューし、今年はEUROにも出場。スターリングに似たスピードのあるウィングだが、サイズがある(184cm)のもあり、スターリングよりは強いシュートが打てそう。ひたすら2列目を集めまくっている最近のシティだが、その中でもペップが好きそうな強くてデカくて速いアスリートなので、楽しみにしている。ヒップホップ好きそう。

 http://media.gettyimages.com/photos/leroy-sane-of-germany-arrives-prior-to-the-international-friendly-picture-id538114014?s=594x594

 

10          Sergio “Kun” Agüero         セルヒオ・アグエロ  CF       28

プレミアリーグの過去10年間で唯一、年間平均得点が25点を超える男。でもベストイレブン(Team of the Year)には選ばれたこと無し。純粋な能力としてはそれこそスアレスと並べても恥ずかしくない、と言いたいところだが、シティが世界的にはあんまり人気がないからか、ハムストリングがちょっとシャイだからか、今一つ「世界最高のFW」とは言い難い空気があるように思われる。

ワントップへの要求事項が多く厳しい今シーズン、やや動きすぎてチャンスを逸している感があるが、押しも押されぬ世界屈指のFWに向けて、更なる覚醒のシーズンを期待したい。何も、メッシになれとは言わんから。

http://media.gettyimages.com/photos/sergio-aguero-of-manchester-city-during-the-premier-league-match-picture-id589321754

 

72          Kelechi Iheanacho             ケレチ・イアナチョ  CF       19

人を呪わばイヘ穴チョ。17,8歳のときにナイジェリアから連れてきた若手FW。もともとは下がり目のフォワードだったが、シティでは徐々にワントップとして固まりつつある。

トップチームにデビューした昨シーズンは全大会通じて36試合14得点とブレイク。判断は遅いし、ボールは割と失うし、スピードはあるんだけどちょっと鈍いし、パスも出せるしドリブルもできるけどめちゃめちゃ上手いというわけでもないし、何が良いのかは今一つよくわからんが、とにかく点は取る。エリア内でフリーになるポジショニングと落ち着きは素晴らしい。まあスピードもボール扱いも身体の強さも、19歳としては十分すぎるくらいにあるけど。

 http://media.gettyimages.com/photos/kelechi-iheanacho-of-manchester-city-reacts-during-the-uefa-champions-picture-id594891176?s=594x594

ジョー・ハートに関する個人的なメモ

ジョー・ハートはシティを去るらしい。

 

開幕からハートは起用されず、カバジェロがスタメンを張った。クラウディオ・ブラボは既にバルセロナのチームメイトに別れを告げ、マンチェスターで学校と家を探しているという。グアルディオラはシンプルに、その瞬間の戦力として、ベストな選考をしたと言った。幸せでないなら、移籍してもよい。残りたければ、残ってもよい。

 

 

私はハートが好きだし、出来ることなら残って欲しい。個人的に年も近いし、ハートがシティに来た頃も覚えている。ジョーが来てからの10年間(厳密には、彼がまともにシティでプレーし始めてからの9年間)、シティはずっと上り調子でやって来た。タクシン・チナワットが来て、投資が為され、夢を見た。タクシンに逮捕状が出て、はるかに金持ちの王子たちが来た。カカーの噂、引きつった笑顔のロビーニョトッテナム戦の敗北、ストークに勝ったFAカップ、「あぐえろおおおおおおおおおおお」、ベン・ワトソン、クビになったマンチョ、This Charming man、バッティングセンター、苦笑するメッシ。ハートがいた10年間は楽しいことばかりだった。シティは、全く新しいチームになり、その中心にいつもハートはいた。しかし、10年後の今、どうやらお別れのときが来たようだ。

 

ハートがシティのトップチームに本格的にデビューしたのは、2007年の秋だった。シティに加入したのはその前年の夏だったが、1年間はほとんどローンで過ごしていた。何を思ってシュルーズベリーからシティに来たのかは定かではない。もしかしたら、正GKだったジェイムズは既に30台半ばだったし、控えもパッとしなかったから、チャンスが大きいと踏んだのかもしれない。

ともかく2007/08シーズン、シティはタクシンの投資を得て、エラーノペトロフ、ジオヴァンニといったスター選手を迎え、生え抜きの若手選手がレギュラーに定着し、素晴らしいスタートを切った。前の年のシティは最低最悪のクソだったから、ことさら希望が持てた。最初の数試合はカスパー・シュマイケルがレギュラーだったが、何試合かしたあと(たしか、アーセナルとまんゆとの試合のあとだった。ニューカッスル戦だったと思う。)ハートがスタメンを任されるようになった。それ以来、1年半だけのギヴンと、わずかな期間のパンティリモンを除いて、シティのGKは常にハートのものだった。

http://media.gettyimages.com/photos/joe-hart-and-kasper-schmeichel-of-manchester-city-picture-id525667894

http://media.gettyimages.com/photos/goalkeeper-joe-hart-of-manchester-city-celebrates-winning-the-title-picture-id144307375

http://media.gettyimages.com/photos/teammates-david-silva-and-joe-hart-of-manchester-city-celebrate-the-picture-id144312409

 

 

控え降格の話に戻る。

これは個人的な推測だが、グアルディオラはDistributionだけを理由に、ハートを入れ替えようと決意したのではないと思う。2年前、「選手名鑑」と題してブログを書いたとき、私は彼の項目に「パワーと勇気だけが友達」と冗談めかして書いた。その次の年は、「止めるしか能が無いタイプ」と書いた。彼の名誉のために言えば、ハートはそれまでのイングランドのぼんくらGKたちーロブ・グリーンとか、ポール・ロビンソンとか、クリス・カークランドとか、スコット・カーソンとかーとは違っていた。シティがそれまでに雇ったGK、ニッキー・ウィーヴァーとか、ゲールト・デヴリーガーとか、アンドレアス・イサクソンとか、その辺とも違った。そんなレベルのGKではなかった。

一方で、ハートはブッフォンでもないし、ノイアーでもなかった。ファンデルサールでもなかった。8割の名守護神と、2割の英国的間抜け野郎。ロビンソンとブッフォンの永遠の合いの子。それがハートだった。正直に言えば、この話が出て以来、ハートを「Distribution以外は世界で五指に入る」とまで評価する人間の多さに驚いた。クロスへの対応はショットストップには含めないとか、そういうことなのだろうか。

http://media.gettyimages.com/photos/joe-hart-and-matija-nastasic-of-manchester-city-look-on-as-fernando-picture-id186031609

 

実のところ、ジョーを本気で他の誰かに入れ替えようと決心したのはペップが初めてではない。マーク・ヒューズはシェイ・ギヴンを連れてきたし、マンチョはクビにさえならなければ、アスミル・ベゴヴィッチを獲りに行きたがっていた。ジョーはその都度、努力と幸運によってレギュラーの座を守ってきたが、グアルディオラには不十分だったようだ。

 

ただし、何もクラブ全体がハートを不要と看做しているわけではない。オーナーやチェアマンは、ハートが大好きだ。多分。チェアマンのムバラクは昨シーズンの締めのインタビューで、名指しでハートを称えた。彼らは願わくばバルサやレアルのような天下のビッグクラブにシティを育てたいと思っているから、所謂バンディエラが欲しいと思っている。きっと。ガーディアンのイアン・ハーバートが書いたように、「シティほど選手に甘いクラブは滅多にない」。だからこれは純粋にピッチ上の成績を追求する上でペップが下した判断で、かつペップに相当の権力が与えられていることの証左でもある。

http://media.gettyimages.com/photos/nicolas-sarkozy-and-khaldoon-almubarak-attend-the-uefa-champions-picture-id519477058

 

 

 

前に言ったように、ハートが去るのはさびしい。さびしいが、それはシティの応援を止める理由にはならないし、同情もしない。ハートは偉大な選手で、もしかしたら“アブダビ以降”のシティの象徴の一人だったかもしれないが、私にとっての、シティのアイデンティティではない。ていうか、アイデンティティって何だ。ハートの前にもシティはあったし、ハートの後にもシティはある。そういうことだ。私の中では。

 

私が少し気にかけているのは、シティがサッカー界のベイビーフェイスを、”オイルマネーの寵児“というイメージからの脱却を目指す上で(いや、笑いたくなるのはわかるが、もう少し我慢頂きたい)、このことがマイナスに働き過ぎないかということだった。功労者を切り捨てる、節操の無いクラブ。これだから成金は。みたいな。そういう話。

確かにそういう言い方もできるだろう。しかし結局のところ、どれほどの功績があり、そしてシティに歴史と伝統とやらが無かったとしても、ピッチ内の起用を歪ませるほどの温情をかけられるに値する選手など、いるべきではないのだ。功労者への決まり文句、”リスペクトを示せ”というのは、要するに、こういうことではないか。ピッチ上の成績を最大化するミッションを負って雇われた監督がいて、彼は自らがよりベターと信じるサッカーのために、よりベターと信じる選手を獲りたがっている。そしてその選択肢は、望めば手に入る。その状況において、ベターではないと評価する選手を、ピッチ外の事象―ファンの人気とか、ロッカールームでの発言力とか―のために、使うことを余儀なくされる。つまり妥協せよと迫る。

あるいは例えば1年間、半年間様子を見てみようと。それだけの貢献をしたはずだと。それもまた同じことだ。過去の貢献は、ベターではないと信じる選択肢をとることに勝る価値なのか。私にはそれは承服し難い。リスペクトを示すというのなら、恐らくそれはあくまでピッチ上のみの基準でもってサブ降格を告げ、そのあとは本人の希望に任せることだ。(だから今一部で報道されているように、クラブがローンを嫌がって、少しでも高く売りつけようとしているのが本当なら、それには反対する)

 

もちろんこれは属人的な問題で、例えばポール・ハートがやってきて、「私のサッカーには合わないから、ハートは使わない」と言ったらどうだろうか。ロイ・ホジソンでもいい。「一昨日きやがれこのハゲ」と私は思う。ペップほどの実績を持つ監督だから、納得しうる。 

http://media.gettyimages.com/photos/crystal-palace-manager-paul-hart-looks-on-prior-to-during-the-picture-id98151205

 

 

 

 

8月の31日以降、ハートがどこで過ごすのかはわからない。エバートンかもしれないし、遠くアンダルシアかもしれない。もしかしたらシティに残るのかもしれないが、それは恐らくベンチかスタンドなのだろう。ハートが正GKであったならどんなに良いことだろう。仮にペップの元でCL制覇を果たせたとして、そのチームのゴールマウスにいるのがハートだったら、どんなに嬉しいだろう。しかし、残念なことだが、私にはどうしようもない。

 

さらばだジョー、愛してるぜ。願わくば、シティを嫌いにならないでくれ。


Hart, Milner & Wright Meet Baseball Legend Bautista