2017/18 マンチェスター・シティ 選手名鑑(トップチーム+α編その2)

MF

8 イルカイ・ギュンドアン İlkay GÜNDOĞAN

派手にやられたって心は折れないの。例えクラウディオ・ヤコブだって俺から勝利は奪えないの。そんな視野の広さ インテンシティ ボディバランス フットワークばっちりなサッカーグラップラー。昨年12月の大怪我から、心折れずに最近復帰。基本的にはインサイドハーフおよびCMF。ファンの間では、ボールの引き出しに難を残すジーニョや身体がついていかないヤヤに変わってアンカーで起用されるという説も絶えない。ドイツ人らしいバランスの良いMF。

http://media.gettyimages.com/photos/phile-foden-of-manchester-city-comes-off-for-ilkay-gundogan-of-city-picture-id831957646

 

18 ファビアン・デルフ Fabian DELPH***

DELPH ! I need somebody
DELPH ! Home grown preferably
DELPH ! You know I need someone
DEEEELPH !!!!

 

というビートルズダジャレとともに加入したMFも早3年目。当時は代表のレギュラー格に定着しキャリアの絶頂にあったが、シティで控え生活を送るうちにすっかり招集されなくなってしまった。如何せん怪我が多いのと、決して守備が上手いわけではないのが痛かった。今シーズンはストーク移籍が決まりそうになっていたが、結局残留。早速手薄な左サイドバックをやらされていて、イングランド代表がこういう立場になるからシティは割と叩かれるという典型例である。奇妙なキープ力、体力とスピード、左足のミドルが武器。年1で世界一すごいゴールを決める。

http://media.gettyimages.com/photos/fabian-delph-of-manchester-city-scores-his-sides-fifth-goal-during-picture-id852320588

 

 

25 フェルナンジーニョ FERNANDINHO

消去法で言えば一番器用そう、と思われたのか知らないが、去年はアンカーどころか左右のSBまでやらされたブラジル代表のMF。本職はもうちょっと前目のボランチ。結果として、アンカーまではよかったがSBはさすがに苦しくパフォーマンスは低下。ファウルトラブルも嵩むという、運のない役回りを引き受けた感があった。今シーズンはウォーカーらの加入でアンカーに固定。表立って賞賛されることは少ないが、プレミアのCMFとしては相当に高い水準でバランスが取れている方。フェルナンジーニョなんかも、やっぱ相当上手いしね、って、川勝良一っつぁんはいつも言ってる。

 

42 ヤヤ・トゥレ Yaya TOURÉ

近年の「強いシティ」はヤヤ・トゥレとシルバの到来によるところが大きい。34歳、さすがに衰えが激しいが、それでも凡百な相手なら片手で片付ける超人的な肉体。それでいて、無理めなパスコースも余裕で通す技巧派。基本はアンカー。

昨シーズン序盤は純粋に戦力面の問題で干されていたが、代理人グアルディオラを誹謗中傷するパワープレーで「謝るか謝らないか」の問題に転換。さらに、本来は「代理人が」謝るかどうかの問題だったのに、「ヤヤ・トゥレがビデオで謝る」ことでグアルディオラの関門も突破。有耶無耶のうちにレギュラーまで取り戻してしまった。もうヤヤの我儘で揉めるほど戦力的な重要性が高いわけでもないし、本人もある程度走るようにはなったから、このまま一芸職人的立ち位置で晩年を迎えるというのも悪くないのではないか。

あと、私の記憶が正しければ、ヤヤはシティに来てからの約8か9年間で、去年の1本を除けば、2013/14シーズンしかFKを決めていない。でもそのシーズンは4本決めてる。何なんだそれ。

 

47 フィル・フォーデン Phil FODEN*

夏のプレシーズンでデビューした左利きのCMF。若いときのウィルシャーをもう少しシンプルにしたような選手で、細身の割にキックが強いのが頼もしい。地元育ちのシティファン、U-17代表の主力、今年のU-17 EUROではTeam of the Tournamentに選出、プレシーズンのまんゆ戦ではエレーラを翻弄、そしてグアルディオラが絶賛。祭りである。まあ最後のは、いつものことだが。

ところでせっかくの門出に演技の悪いことを言いたくはないが、10年やそこら見ていると、悲しいこともあるものだ。00年代のシティには、スティーヴン・アイルランドマイケル・ジョンソンという輝く2人の才能があった。アイルランドはベルコヴィッチのように軽やかで、ジョンソンはランパード2世になるように見えた。だから若い才能に期待することに、正直言って私はびびっている。

それでも、フォデンには明るい未来が待っていると信じたい。すぐ人を褒めたがる監督のことは置いといても、フォデンは地元生まれで、シティファンで、本物の才能あるMFなのだ。そんな選手が出てくるのは20年に1回もないのだから。

http://media.gettyimages.com/photos/manchester-citys-phil-foden-and-manchester-uniteds-paul-pogba-in-at-picture-id849731754

 

17 ケヴィン・デ・ブライネ Kevin DE BRUYNE

私はシティのファンで、チェルシーも結構(シティが弱い頃は第2のチームとして)好きだったので、どうしても大富豪による買収即是強豪のシュガーダディ・モデルに甘いところがあるが、シティが叩かれるのもそれはそれでわかる。

シティがリーグ優勝やCL出場を狙えるくらい強くなったのは、何と言ってもADUGが買収したからだし、大富豪が買ってくれたので強くなりました、というのは、スポーツとはまた別の話いう気がするのは至極当然だからだ。金だけあっても適切な人材を揃え、組織を構築しないと強くなれないとか、投資対象として魅力的だと思ったという意味ならグレイザーやFSGも同じではないかとか、色々反論もできないことはないが、どうしてもシティの躍進は、結局のところADUGが買収したから、という一点に帰着してしまうのだ。これはどうしようもない。

一方でファンとしては、応援しているクラブが強くなり、タイトルの快感を味わえる喜びを否定し難いのも確かである。そういう意味で、私が「強くなってよかったな」と心底思うのはデ・ブライネのような選手が自分のチームにいて、毎週プレーを観ることができる、そのときである。そのくらい、今のデ・ブライネは凄い。本当に凄い。Worth pay to watchである。ねえ、サヴェージ先生。

www.manchestereveningnews.co.uk

今シーズンもインサイドハーフとして攻守に八面六臂。中央突破、ネガトラでのボール回収、右に張ってのクロス、左に流れてクロス、SBの場所に落ちてロングフィードと、あらゆることに精度が高くて効果的。いつかはバロンドールも夢じゃない。だからあなたも祈りましょう。「レアルに買われませんように」と。 

 

21 ダビド・シルバ David SILVA

みんな大好きダビシルバ。プレミアリーグのファンが身近にいたら、訪ねてみられるとよい。「シルバってどんな選手?」と。賭けてもいいが、100人いたら99人は「上手」と言うはずである。そういう人。

一方で、スペイン代表の主軸としてEURO2回にW杯1回を制した超大物のはずなのに、少々影が薄い人でもある。チャビ先生のようにアンチ・アンチフットボール教の大司教となるわけでもなければ、イニエスタのように容姿とプレーのギャップが激しすぎるわけでもなく、最高に上手いが1人で試合を決める力があるというタイプでもないので、いつもお座なりな賞賛が寄せられているところはちょっとかわいそう。シティ史上最高の選手と言われることも多いのだが。今シーズンもCMFの一角兼第3キャプテンとして、序盤から稼働率は上々。シュートはめっちゃ下手。

http://media.gettyimages.com/photos/manchester-city-player-david-silva-in-action-during-the-premier-picture-id845237322

 

35 オレクサンドル・ジンチェンコ Oleksandr ZINCHENKO*

昨シーズンはPSVに貸し出されるも、控えから抜け出せず。なんでリザーブでプレーしなくちゃいけないか分からないよ、と漏らしていた金髪のウクライナ人。シティではまだ公式戦でプレーしていないので良いんだか悪いんだかよくわからないが、PSVドルトムントナポリも欲しいというのだから、さぞ良い選手なのだろうよ。今シーズンは労働許可が降り、晴れてシティに残留。CMFやWBの控えでチャンスがあるかもしれない。

http://media.gettyimages.com/photos/oleksandr-zinchenko-of-manchester-city-and-lucas-vazquez-of-real-picture-id823343928

 

55 ブラヒム・ディアス Brahim DÍAZ*

2016年のU-17 EUROで準優勝したスペイン代表の主力。右寄りの攻撃的MFかFWで、今シーズンからトップに昇格。14歳の頃にマラガから引き抜いたのだが、まあそういうことしてればUEFAに怒られるのも無理はない。プレシーズンではレアル・マドリー相手にドリブルからミドルを決めたが、如何せん身体が小さすぎるので、トップレベルで通用するかどうかはまだ微妙なところ。しかし何と言っても「レアル・マドリーが欲しがっているらしい」とのことだから、きっと大物には間違いないよ(断言)。

しかしU-17のEUROって毎年やってるとは知らんかった。まあ育成年代だから理屈は分かるが、有り難み無いな。

http://media.gettyimages.com/photos/brahim-diaz-of-manchester-city-celebrates-after-scoring-a-goal-to-it-picture-id823291044

 

 

 

FW

7 ラヒーム・スターリング Raheem STERLING***

身贔屓だと思わず聞いてほしいが、私が思うに、シティに来て以降のスターリングをどう評価するかで、その人がどの程度シティの試合を見ているかが判る。「どの程度」というのは、別に試合を見れば見るほど偉いというわけではないが*1

最初のシーズンは尻すぼみに終わったものの、グアルディオラが来て以降のスターリングは調子の波も少ないし、チャンス創出の質、量ともに高い。アーセナルスウォンジーボーンマスのようにスターリングに痛い目に会わされているチームも多い。はずなのだが、その割には本当に評価されない人である。見ているとイライラする、という意見も多い。まあその気持ちは判らないでもない。多分、チャンスをホイホイ外す(強く、正確にシュートが打てない)、すぐ倒れる(体重が軽いうえにハンドオフが下手)、すぐボールを下げがち(キープすることにあまり自信がない)辺りが原因なのではないかと思われる*2

 

一方で、名が売れたのが早かったから、今の水準で完成形ですと言われると期待外れだという感覚も理解は出来る。そんな中で、万が一(どころでは済まない確率だが)私がスターリングにアドバイスを送るとすれば、成長余地は点。得点である。クロスとかアシストとか、もうどうでもいいから。とにかく点を取るしか無い。点が取れるようになれば、MSNやロッベンとは言わなくとも、ペドロくらいの評価は得られること間違い無し。そういうものだ。

 

19 リロイ・ザネー Leroy SANÉ*

昨シーズン後半、4-3-3の左ウィングでブレイク。1on1の突破力はチーム1。しかし今シーズンはメンディたちの加入で横幅確保業務がSBに移管されてしまい、控え降格。

何試合か試された左WBは見るからにもたついていたが、2トップの一角では点が取れるところを見せているので、今年は主にそちらで売っていくかもしれない。個人的には、カットインお化けにはなってほしくないところ。

http://media.gettyimages.com/photos/sergio-aguero-of-manchester-city-celebrates-scoring-his-sides-first-picture-id852287614

 

20 ベルナルド・シルバ BERNARDO SILVA

服屋って好きですか。私は嫌いです。選択肢が多すぎて、店中見て回った上で他の店とも比較して、何ならZOZOTOWNもチェックしておかねば損をするようで、気疲れする。

なんの話だと思われるかもしれないが、ポルトガルやフランスの若手選手というのは、その「チェックしておかなければならない対象が多すぎて疲れる」という点で服屋に似ている。ああ、また上手い選手が出てきたのね。なにゴメス?ゴメス何号?みたいな。然るに、移籍が発表されるまであえて情報を仕入れなかった2人目のシルバことベルナルドだが、モナコでCLベスト4に入っただけあってさすがにクオリティは高かった。だろうと思った。知ってた知ってた。ライン際に張ってもいいし、ハーフスペースを使ってもいいし、状況に応じて多様な機能が果たせるところが喜ばしい。右のWGとCMFを担当。

http://media.gettyimages.com/photos/bernardo-silva-of-manchester-city-is-instructed-by-josep-guardiola-picture-id852380642

 

10 セルヒオ・アグエロ Sergio AGÜERO

怪我をしようがしまいが、出していればシーズン30点*3は獲ってくれる大エース。その割にグアルディオラから特別扱いされているわけではないため、昨シーズンから移籍の噂が耐えない。

アグエロに注文がつくのも別に変な話ではない。監督の要求は選手のエゴと排他でもないし。肝心のゴール前も、まあ正直なところ、MSNほど凄いとは言い難い訳だし。最近腰の回転が鈍かったり。一方でアグエロがプレミア最高の偉大なゴールゲッターなのも両立する事実なのだから、誰もが3人称でしか語れない不要論なんてほっといて、アグエロがどう成長するかを楽しみに見てたら良いと思うんですね。私はね。

といいつつ、まあこの辺で選手としてはピークかなと思っていたら、今シーズンはプレスを繰り返す体力は付いてるわ、ポストプレーも少しずつ上達しているわ、3,4人まとめて片付けるドリブルも復活しているわ、よりオールアラウンドで怖いストライカーに成長していた。恐れ入りました。体調が良いとドリブルで持ちすぎて深いタックルを呼び込んで大怪我、というのが今までのパターンなので、そこだけ気をつけてほしい。

http://media.gettyimages.com/photos/sergio-aguero-celebrates-during-the-premier-league-match-between-and-picture-id847961432

 

33 ガブリエウ・ジェズス Gabriel JESUS*

昨シーズン中盤に加入した20歳。どうせ“スピードとドリブルが武器”のハイプに違いないと怯えていたが、モノホンは違った。これはリアルですわ。何をやらしても卒なくどころの話でないレベルでこなしてしまうし、細身の割にほとんど当たり負けしないし、過去10年のブラジルの9番日照りもついに解決なのではあるまいか。ただ、1人で何人も抜き去って点を獲るとか、ものすごいミドルがあるとかいう訳ではないので、アグエロと組ませるのは得策だと思う。

 

*1:「見てないのに語るな教」の蔓延もそれはそれで鬱陶しい

*2:パーソナリティの話はしない

*3:コンペティション合わせて