ニワカと学ぶツールドフランス2016 vol.3

総合トップ5(+ステージ勝利狙い)

総合上位を狙う中でも、トップ5が射程圏内、もしかしたら表彰台も、という面々。ポートとヴァンガーデレンを擁するBMC、ピノがそろそろ一皮剥けたいFDJ、バルデに賭けるAG2Rホアキンとザカーリンを揃えてきたカチューシャ辺りが当てはまるだろうか。ただし、優勝が現実的な目標かと言われると難しいので、カチューシャのようにスプリントチームも抱えていたり、状況によってはステージ狙いに切り替える可能性もある。

 

■BMC Racing ビーエムシー

ファンタスティック4への挑戦者筆頭。ヴァンガーデレンとポートという勝負弱い2枚看板を揃えて事前の評価も高く、コケる前振りは順調に進んでいる。ステージが狙えるデニスとヴァンアーヴェルマートも入れといて、序盤で遅れてからステージ狙い切り替えが目に見えるよう。

 

リッチー・ポート:オールラウンダー

もともとスカイでフルームのアシストだったが、エースとして勝負したいとのことで今年移籍。アシストとしては業界最強クラスに頼れるが、エースになると絶対どこかで体調を崩す脆さが特徴。

 

ティージェイ・ヴァンガーデレン:オールラウンダー

去年のツールで途中まで3位につけながら、体調不良でリタイア。リベンジを期したブエルタも骨折でリタイア。無事にゴールまで行ければトップ5は十分狙える実力者だが、今年は同じく波がある上に実力的にも大差ないポートが入ってきてしまい、どっちがエースで行くやら、観てる方の心労が絶えない。

 

ローハン・デニス:TTスペシャリスト

去年のツールTTステージで優勝。エース2人の平地アシスト。行く行くは総合系に転身するとも言われているが、2歳上にヴァンガーデレンがいる状況では厳しいかも。オーストラリア人なので、オリカに行った方が良かったりしてね。今年どこまで登れるかが気になる。

 

グレッグ・ヴァンアーヴェルマート:パンチャー

遅咲きながら去年はツールのステージ1勝、パリ~ルーベとフランドルで3位と爆発。今や石畳走る系のレースでは世界屈指のベルギー人。ツールだとステージ優勝狙いである程度自由にやらせてもらえるのではなかろうか。

 

 

■Katusha カチューシャ

旧ソ名物薬物不正でポコポコ人が抜けるロシアの強豪。山でもスプリントでも勝利を稼げるタレントを豊富に抱えるが、ツール総合優勝や3位以内を本気で狙っていくかというと少々厳しい。恐らくステージ狙いに絞るのではなかろうか。山でも平地でも、ステージ後半になるとKのだっさいジャージでぶいぶい言わせてくるはず。 

 

ホアキン・ロドリゲス:パンチャー/クライマー

日本でも人気の激坂登りおじさん。グランツール計14勝に、トップ3が3回、トップ5が8回の名手だが、優勝だけはどうやっても手が届かない切なさ。去年は開き直ってステージ勝利に絞って2勝。今年はオリンピックもあるので多分ステージ狙い。

 

イルヌール・ザカーリン:オールラウンダー

ここ2年で一気にロシア最強の選手に成長。今年のジロでもトップ5が狙えそうな位置に着けていたが、雪山の下りで大クラッシュしてリタイア。死ななくて良かった。総合でもトップ10は狙える選手だと思うが、多分今回はホアキンのアシストをしつつ運が良ければステージ、というツールになりそう。

 

ユルゲン・ヴァンデンブルック:オールラウンダー

国民の99.8%が自転車乗りだがその99.9%は平地か坂専門という国、ベルギーでは相当に希少種のオールラウンダー。かつてツールの4位が2回だが、その後はひたすら低迷している。今年はカチューシャ移籍1年目ということで、たぶん激坂おじさんのアシスト。

 

アレクサンデル・クリストフ:スプリンター

ミラノ~サンレモ、フランドルという世界5大ワンデーの2つを制したノルウェー人。スプリンターとしてはそこそこ登れて、アシストが無くても戦えるタフなタイプ。キッテル、グライペルら純正スプリンターと比べると真っ向勝負では少々分が悪いが、アシストをフル活用してステージを狙うはず。

 

マルコ・ハラー:スプリンター

ミカエル・モルコフ:スプリンター

ヤコポ・グアルニエーリ:スプリンター

クリストフのアシストを務めるスプリンタートリオ。3人ともまあ、そこそこの実力者。エースと同じく、ド平地よりはちょっとトリッキーなコースの方が強い。

 

 

■FDJ エフデジ

フランス国民の期待を背負う男、ピノがエース。チーム全体がピノのアシストに向けて組まれているため、それ以外はあんまりステージが狙えそうな選手がいない。去年は山に到達する前にチャンスを失ったが、今年はチーム全体が謎の最新トレーニングで大幅にTT力アップしたという噂。何そのパワプロみたいなイベント。

 

ティボー・ピノ:オールラウンダー

2014年ツール3位。フルームら優勝候補が揃って負傷リタイアした結果だったとはいえ、フランス待望のツール優勝候補がついに現れたか、と思いきや去年は序盤から思いっきり遅れてしまった悩める男。登りの力は確かなのだが、調子の波が激しいのと、下り恐怖症が大きな足かせ。

去年までは登れるだけのクライマーだったが、今年は年初からTTがバカ強くなっており、この力がツールでも維持できるなら本当に表彰台が見えてくるかも。勝負弱さを克服できるか。

 

スティーヴ・モラビト:クライマー

BMC時代、カデル・エヴァンズのツール制覇に貢献した(らしい)スイス人のおっさん。スカイ等々ビッグ4のアシストと比べると心もとないが、山でピノを支える。

 

バスティアン・ライヒェンバッハ:クライマー

こちらもスイス人。割と登れる。去年は弱小IAMでエースを張ったりしていたので、まあそこそこの実力。

 

アルチュール・ヴィショ:パンチャー

現フランスチャンピオン。過去にドーフィネで1勝、パリ~ニースで1勝&総合3位に入っており、割と力はある。状況によっては逃げたりアタックしたりでステージを狙いに行きそう。

 

 

AG2R La Mondiale アージェードゥーゼル

伝統的にグランツールや起伏系レースに力を入れる、フランスの保険・年金共済組合。エースのバルデの成長とともに、いつかはグランツール制覇の夢を抱くが、今年も夢は遠そう。総合トップ5を目指すバルデをポッツォヴィーヴォが支えつつ、ヴュイエルモーズ、グジャール、ゴチエ辺りでステージ狙いか。ジャージがチョコミントっぽくてかわいい。 

http://media.gettyimages.com/photos/cycling-103th-tour-de-france-2016-stage-3-romain-bardet-alexis-team-picture-id544861094

ロマン・バルデ:クライマー

ツールでは2014年に6位、昨年9位。体重が軽いので、長時間高出力が要求される長い山脈よりは、どっちかというと激坂登りの方が得意そう。見るからに優男の見かけどおり、割と良いところで遅れるのがかわいいところ。AG2Rは全体的にかわいい。

 

ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ:クライマー

トッポジージョっぽい名前が特徴の小さいおっさん。これまでグランツールでトップ10が5回と結構大物。ちっちゃいのに大物。かわいい。今年はジロで不調に終わり、ツールはバルデのアシストに回る。

 

アレクシー・ヴュイエルモーズ:パンチャー

昨年ツールで1勝。もう28だが、近年注目されているパンチャー。激坂に強い。今回はちょいちょいステージ勝利を狙っていくものと思われる。あだ名はピカチュウ。いやほんとに。

 

アレクシー・グジャール:ルーラー       

TTが強くて独走力があるということで、こちらも注目されている、フランス人の若手。注目されているフランス人の若手と言うことはすなわち、ひ弱な印象ということである。多分ステージ狙いでいろいろ仕掛ける役。

 

 

Trek-Segafredo レックセガフレード

自転車メーカーのトレックと、カフェチェーンでおなじみのセガフレードがスポンサー。今年は全体的にカンチェさよなら祭りの1年だが、カンチェ以外も年寄りばかりというか、お前らこそ来年引退じゃねえのかという面子。良く言えば経験豊富ではあるが。経験ばっかりあってもなあ。

エース、モレマの総合5位と、シュタイヴェンの逃げ、あと運が良ければカンチェでTT狙いといったところか。 

ボウケ・モレマ:クライマー

グランツールのトップ10が4回、去年は7位に入っているのに、どうにも影が薄いオランダ人。途中までめっちゃ強かったけど崩れた、とかじゃなくて、大体ぼやっとした順位で終始しているせいかもしれない。今年くらいはステージ優勝したいところだが、アシストのオッサンどもが頼りになるやらならんやら。

 

ファビアン・カンチェッラーラ:TTスペシャリスト/ルーラー

稀代のカリスマ、ついに引退。春のクラシックシーズンは本当に引退かという強さを見せていた。昔ほどTTは強くなくなったのでステージは厳しそうだが、まあ、もうカンチェレベルになると、存在感が大事なのだ。

 

フランク・シュレック:クライマー

かつて弟アンディとともに一世を風靡したルクセンブルクの優男。ツールで3位が1回、4位が2回だが、それももはや過去の栄光。近年はドーピング違反とか怪我とか色々と右肩下がっていたが、去年ブエルタで復活の一勝。モレマをアシスト・・・できるんですよね?

 

アイマル・スベルディア:クライマー

今は亡きバスクチーム、エウスカルテル出身。ツールのトップ10に入ること5回、最高4位の大物クライマーだが、さすがに39歳もう苦しい。さすがに実力者ではあるので、なんとかモレマをアシストしたいのだが。後半はステージ狙ったりするかも。

 

ピーター・ステティナ:クライマー

今年加入したコロラド生まれの若手。といってももう28だが。モレマに次ぐエース格・・・っぽい扱いなので、期待はされているようだ。

 

ヤスパー・シュタイヴェン:スプリンター/パンチャー

またの名をストゥイフェンとかストゥイヴェンとか。今(ツール3日目)でまさに山岳賞着てます。まだ24歳、去年のブエルタでステージ1勝、今年はE3で5位だったりクールネで優勝したり、そこそこのワンデーレースなら十分勝てる力を既に持つ。多分この後も逃げて頑張る担当。

 

エドワード・テューンス:パンチャー

シュタイヴェンがスプリントエースかと思ったが、どうやらテューンスでいくのね。パンチャーと言いながらも、石畳系ワンデーにも対応でき、スプリントもそこそこいけるタフなタイプ。器用貧乏とも言うが。今年はベルギー1周で1勝、スヘルデプライス4位、ドワールス3位と、シュタイヴェンと同じくそれなりのワンデーで結果を残している。