2016 ジロ・ディタリア チーム別レビュウ

またの名をジロ・デ・イタリア

 

採点基準

5:期待を大きく超える好成績

4:期待通りの成績

3:可もなく不可もなく。期待通りと言うほど良くも無い

2:期待にそぐわない。不満

1:評価ポイントに乏しい。明確な失望。

 

 

AG2R La Mondiale アージェードゥーゼル:1

全く印象無し。ポッツォヴィーヴォとペローの総合2枚看板に、クライマーとルーラー勢を揃えて総合トップ5辺りを狙っていたと思うのだが、ペローは第3ステージで早々にリタイアするわ、ポッツォヴィーヴォも早い段階で遅れるわで良いところが無かった。むしろアシストのユベール・デュポンの方が順位が良かった(デュポン11位、トッポジージョ20位)という。

 

 

■Astana アスタナ:5

やったぜニバリ大先生。ほんとラスト3日までは良いとこ2点くらいの苦戦が続いていたが、最後まで勝負を諦めなかった恐怖のアタック精神と、盤石のアシスト陣が最終盤で効き、最近の何やっても上手くいかない流れをひっくり返した。

フルームのTT、キンタナの山と比べると、ニバリはどの面でも1位とは言い難いのかと思っていたが(下りを除けば)、少しでも隙を見せると喉元喰いつかれる獰猛さと判断力は抜けているかも。ていうか、あれ「リーダージャージが落車で遅れる」って事態だったけど、待たなくてよかったんですかね。

山岳で敵チームのアシストをズタズタにしたスカルポーニおじさん、傍でニバリを支えたフールサン、山岳前待ち作戦で猛威をふるったカンゲルトと自慢のアシスト陣も強さを見せた。見てないけど、多分コージャタイエフとかゼイツとかその辺も頑張ったんだよね。多分ね。ていうか、この2人って一応アジア人だけど、アスタナのアシストを普通に努めてるって、めっちゃ強くね?

 

■BMC Racing team ビーエムシー:3

エースがセンニ。誰だ。調べたらまだ24歳のイタリア人クライマーとのことで、一応エースには立ったものの目立つ活躍は特になし。

「とりあえずダニエル・オスがめっちゃ逃げる」という作戦だったと思われるが、そのオスが中間スプリント賞と逃げ賞、なるジロ特有の賞を2つゲット。まあジルベールもGVAもポートもTJもサムエル・サンチェスもいない中では、及第点ではなかろうか。あとアタプマが最後の山の日にマッドマックス怒りの山登りを見せていた。あんなにインターバル走みたいなペースの上げ方、大丈夫なんだろうか。

 

 

■Cannondale キャノンデール:2

移籍してきたウランがエースで臨んだが、ちょっと残念。まあ戦力的にもやっぱり厳しいんだが・・・。

ウランは11分遅れの7位に沈み、ステージ勝利も無し。モゼールが勝利目前でブランビッラ&トレンティンのエティックスコンビにしてやられたのが悔やまれる。期待されながら伸び悩んでいたモゼールが復調気味っぽいのは好材料だが。あとドンブロウスキーも山で逃げて、惜しいところまでは行った。 

 

 

■Dimension Data ディメンション・データ:3

ワールドチームに昇格して初のグランツール、しかもカヴ一家は揃って不在であったとはいえ、存在感は薄く、これは落第・・・と思ったけど、シウツォウが10位には入ったのか。元スカイのベラルーシ人。キリエンカと同じく、地味だが大体何でも出来る人。

あとは、南ア人のファン・ジルが序盤のステージであわやの逃げを打って奮闘。フライレも第5ステージで離脱はしたが、1日山岳賞着たので、まあ3としておこう。

 

  

■Etixx-Quick Step エティックス・クイックステップ:5

クラシックとスプリントのチームだと思っていたが、総合も山岳も大暴れ。やりたい放題の楽しいジロとなった。

まずはキッテルが圧倒的な力で2連勝してマリアローザ。ゴリラ以下他のスプリンターを子供扱い。キッテルが疲れたとか何とかで帰った後は、ユンゲルス、ブランビッラとマリアローザをリレーし、ユンゲルスが若手賞(マリアビアンカ)、ブランビッラとトレンティンが1勝ずつの計4勝。これ以上望むことありませんぜ。

ユンゲルスは山岳でいくばくか遅れたものの、短い山なら十分にやれることを証明。キッテル列車のラスト10km牽引エンジンとしても素晴らしかった。

ブランビッラは総合エースこそ厳しいが、アップダウンへの対応に高速ダウンヒルを持ち合わせる便利な男。同じく便利なトレンティンも、キッテルの発射台に、無賃乗車からの安定したスプリント上位顔出しに、ブランビッラ救出隊にと大活躍した。

まあ強いて言えば、グランツール対応しようと思うと(マルティンを除けば)今回のメンバーが恐らくほぼベストで、ツールやブエルタの連戦になると、さすがに力が落ちてきそう。シュティバルはともかく、ボーネンやテルプストラを連れて行っても、さして何かしてくれそうな気がしないんだが。まあさすがにそこら辺は仕方あるまい。

 

 

■FDJ エフデジ:1

デマールがエースながらいろんなタイプをバラバラと散りばめて臨んだ結果、とくに何もできず。デマールは2位こそ2回ながら、キッテルとグライペルに歯が立たず、フィッシャーとクルテイユが1回逃げていたような、それくらい。昨年総合9位のジェニエスも早々にリタイア。切ない。

 

 

■IAM Cycling イアム・サイクリング:4

大会中にチーム解散が決定するという苦境に立たされるも、クルーゲが意地の1勝。ハウッスラーか誰かを牽いてたら思わず前空いちゃいましたのラッキーパンチだが、勝てば官軍だからな。あとは、TTステージでブレンドレとラエンゲンが2位・3位。戦力を考えれば満足といってよいのではなかろうか。 

 

 

■Lampre-Merida ランプレ・メリダ:4

イタリア最強のパンチャー・・・・と言っていいんだと思うけど、ウリッシがステージ2勝。モドロは昨年の再現こそならなかったが、ポイント賞3位。全体的に昨期ほどの大成功ではなかったものの、地元のレースでしっかり結果を残すのは偉い。期待の若手モホリッチは、何回か逃げていた。

 

 

Lotto-Soudal ロット・スーダル:5

ゴリラが3つでゴリラ・ゴリラ・ゴリラ。ニシローランドゴリラの学名ではない。グライペルは貫録のステージ3勝。さらにウェレンスも1勝と山岳賞ジャージ3日。大成功。

ゴリラはポイント賞ジャージを捨ててさっさと帰ってしまってやや顰蹙を買ったが、チーム力含め、ド平地でさえ無ければ最強であることを見せつけた。ニッツォーロ、本当に立場ないよな。

ゴリラを支えるアシストも、ルーランツ、ヴァネンデール、リヒトハートとかきちんと列車が組めるし、ドゥビーとかアタックできるし、層が厚い。

 

 

■Movistar Team モビスター・チーム:4

お、バルベルデは力を温存か・・・まあユンゲルス辺りは山で遅れるだろうしな・・・あれ、2分差?大丈夫・・・?あれ?クイーンステージ、あれ?あの、3分差。あの、マリアローザ、厳しくないですか。あれ?

 

と思ったら「いや~今回の目標はステージ勝利と総合3位以内だからね~順調だわ~順調順調~」でずっこけた。いや、まあ、偉業だし、それでいいなら良いんだが。ああそうですかみたいな。ということで、バルベルデさんが3位にアマドールが8位、1日マリアローザ着用という成功ながら、4としておく。それにしても、最終日でささっとクライシュヴァイクを交わして3位に滑り込むバルベルデさんはさすがだよな。あとヴィスコンティは相変わらず色々と仕掛けていた。

 

 

■Orica-GreenEDGE オリカ・グリーンエッジ:5

チャベスが総合2位。最後にニバリに置いて行かれなかったら優勝だったが、さすがにそこまでは苦しいか。元々がクライシュヴァイクの失速によって得た1位だったので、そこまで失望も無かった。

チャベスをエースに立てつつ、平坦ステージではユワンとメズゲツで勝利を狙うという体制は、後者2人が1勝も出来ないままリタイアしたことで半分は失敗。それでもチュルカ、プラサのおっさん2人以外にまともに登れる選手がいない中、2位に食い込んだチャベスは偉い。来年辺り、一回イェーツ兄弟と一緒に出してみたらジロかブエルタの優勝は射程距離内かもしれない。

 

 

■Giant-Alpecin ジャイアント・アルペシン:3

「優勝狙ってないよ」「いや嘘つけ」のやり取りがうっとうしかったドゥムランのTTステージ勝利とマリアローザ着用(6日間)、予想外の最終日スプリント勝利(ニキアス・アルント)となれば、まあ3点以下を付けるわけにはいくまい。ドゥムラン以外の印象はほとんどなかったが。ルドヴィクソンが序盤若手賞争いで頑張っていたくらいか。

 

 

■Team Katusha チーム・カチューシャ:3

ザカーリンをエースに据え、ロシア人8人とエストニア人1人の旧ソ組で総合に挑んだ今回。落車さえなければザカーリンのトップ5は固かったのだが・・・。雨中のTTでの落車に続き、雪積もるチマコッピで大事故からのリタイア。ほとんど死にかけていた。

それでもターラマエが逃げから意地の一勝。ダニ・モレーノとトロフィモフが抜けて山岳アシストが弱体化したカチューシャだが、ターラマエはやはり頼りになった。

あとあのー、スカパーもチクリッシモも、「ツァテヴィック」はまだ許しても、「ツァテヴィツク」はねえだろ。何だよ「ツク」って。カタカナの国から来たのか。 

 

 

■LottNL-Jumbo ロットNL・ユンボ:4

実際、弱小ロットからしたら大成功だ。チャリンギのおっさんが地元で山岳賞を着用し、クライシュヴァイクは優勝目前まで迫る大躍進で最終的に4位。さらに無名のログリッチが2つのTTステージで1位と2位。去年ワールドツアー2勝のチームからしたら大成功で間違いは無い。クライシュヴァイクにしても、ヘーシンクとケルデルマン不在の状況でこれだ。

相当頑張った・・・・にも拘らず5点がつけ難いのは、名門復活への最大最高のチャンスを逃してしまったから。VeloNewsの妄想記事にもあったが、今回のジロはオランダ自転車界の歴史を変え得るチャンスだった。妄想に付き合いすぎるのもなんだが、今回優勝していれば、スポンサーの拡大に、ドゥムランをはじめとする戦力補強もしちゃったり何かして、オランダ自転車界も相当に盛り上がったかも。せめて、ヘーシンクかケルデルマン、どちらかだけでもメンバーにいればねえ・・・もともとはホフラントのスプリントメインで来ていただろうが、少々悔やまれる結果となった。 

http://media.gettyimages.com/photos/cycling-99th-tour-of-italy-2016-stage-17-start-podium-steven-pink-picture-id534238390

 

 

■Team Sky チーム・スカイ:2

ランダの総合とヴィヴィアーニのスプリント、両翼で臨んだらランダは腹痛いとか言いだすし、ヴィヴィアーニはタイムアウトになるし。ロッシュやエナオ弟もぱっとせず、大失敗かと思われたが、ニエベがステージ勝利+逆転で山岳賞を勝ち取り、何とか格好は付けた。

今回休んだメンバーだけでもフルーム、トーマス、エナオ兄、スタナード、ロウ、ケノー、クフャトコフスキ、ケーニッヒ、キリエンカ、プールス・・・とほとんどオールスターなので、今回は大してやる気だして無かったのかもしれんが、それでも悪の軍団にしては最低限とも言えない結果と言わざるを得まい。

 

 

■Tinkoff ティンコフ:3

マイカだけだもんな。ロヴニーとか、ポリャンスキとか、ボアーロとか、当然頑張ってはいたんだが、他の総合上位クラスと比べるとアシスト陣が少々見劣りするのは否めない状況で、マイカはよく頑張っての5位。

 

 

Trek-Segafredo トレック=セガフレード:2

ヘシェダルで総合、ニッツォーロでスプリントの2正面作戦だったが、ヘシェダルは胃腸炎であえなくリタイア。「悪夢だった」とか言ってたね。カンチェラーラも体調不良でリタイアするし、ニッツォーロはキッテルやグライペル、ユワンたちが次々リタイアしたことでの棚ボタポイント賞だし、どうなのよこれ感あるジロであった。

最終ステージ、ついにニッツォーロが勝ったかと思いきや、まさかの斜行で降格。今年も1つも勝てずにポイント賞。百円貯金でTVを買うというか、城の周りでスライム倒してレベル99というか。

http://media.gettyimages.com/photos/cycling-99th-tour-of-italy-2016-stage-21-arrival-giacomo-nizzolo-red-picture-id535357698

 

 

 

(以下プロコンチネンタルチーム)

■Willier Triestina-Southeast ウィリエール・トリエスティーナ=サウスイースト:2

ポッツァートは何回か惜しいところに絡んだものの、1勝もできず。クルーゲに負けたステージが一番惜しかったか。あとズパはちょいちょい逃げで頑張ってはいた。

 

■Barding CSF バルディアーニ:4

ピラッツィの怪しいアシストを受けた若干21歳のチッコーネがステージ勝利。去年勝ったボエムもいるし、パンチャーとしては相当有能なコルブレッリもいるし、ピラッツィはジロ山岳賞取ったことがあるし、これくらい揃ってないとプロコンチも戦えないとはさすがヨーロッパ。

 

■Gazprom-RusVelo ガスプロム・ルスヴェロ:4

ロシア人100%。もともとはカチューシャの下部チームだとかなんとか。エースのコロブネフはいまいちだったが、若手のフォリフォロフが山岳TTでニバリもクライシュヴァイクもバルベルデも蹴散らしてのステージ優勝。ロシアはほんと、お前誰?みたいなやつがごっつ強くて侮れない。

 

Nippo-Vini Fantini ニッポ=ヴィーニ・ファンティーニ:3

山本元喜のブログで確実にファンが増えたであろう伊日混成チーム。山本はスポンサー絡みの出場なのか、「とにかく頼むから完走だけはしてくれ」と懇願されたらしいが、堂々たる走りっぷりではなかったでしょうか。本人も言うように後半は大して仕事もしていなかったが、まあ逃げは乗ったし。

チームとしては、クネゴの山岳賞を最後の最後で守り切れず。とは言え、クネゴ以外に対して登れる選手がいたわけでもなく、頑張った部類だと思う。グレガ先生はかっこいい。 

 

2015/16 マンチェスター・シティ 選手別レビュウ vol.2

AMF

ダビド・シルバ:3

ティファンというのは「シルバの調子が悪い試合」というのに慣れていないわけですよ。出しとけば大体何かしてくれるという経験しかない。

然るに今年のように何もできずに下がったり、あるいはミスパスを連発したりという試合があると、他の選手以上に驚くというか、他の選手よりハードルが高くなっているきらいがあるが、ナスリとデブライネは怪我、ヤヤは不調で、一緒に打開策を考えられるのがアグエロしかいなかったという事実には情状酌量の余地があろう。デブライネ復帰後は、速攻遅攻を使い分けるための鍵として左サイドで奮闘。怪我が惜しまれる。

 

 

 

■ケヴィン・デブライネ:5

「ナスリに毛が生えたやつ」とか言ってすみませんでした。一人でドリブル突破するとかキープ力がずば抜けているとか、そういうわけでは無かったが、「とにかく何とかする」という実効性の高さ、安定感は、ここ15年のシティでも1番ではなかったか。アグエロだって、結構簡単なの失敗しますからね。中央で使って何ぼだというのはよくわかったが、来シーズン、ペップがどう活用し、どんな選手になるかとても楽しみ。

 

 

ヘスス・ナバス:4

「ナバスはクロスが下手だ」というが、本当にそうか。

まずもって「狙ったところに蹴ることが出来ない」という意味の下手ならば、本当の下手はこんなものではない。グロンキアとか。グレン・ジョンソンとか。チェルシーの右サイドやべえな。

結局、「クロスが有効では無い」、つまり狙ったところが悪いとか、タイミングが悪いとかいうことなら、確かにナバスのクロスはよく流れていくし、DFにぶち当てるのも多いので、かかる批判ももっぱら間違いではあるまい。しかしそもそも的が少なすぎるという問題も考慮されて然るべきだ。アグエロは小さく、イアナチョはエリアの外。ボニーは常に遅れている。ジェコがいればこれほどまでに低い評価は、、、いや、ごめん。グロンキアの話がしたかっただけだった。安定して良かったです。お勧めです!4点!!

 

 

サミル・ナスリ:2

シーズンの大半は怪我で不在。主な仕事はリハビリの片手間に髪を染めることだったが、これもまた評価が分かれる選手だよね。今年のように居ないときは、シルバを助けるプレーメーカー、ポゼッションの回復役として不在が惜しまれるわけだが、一方でバルサバイエルンみたいなトップクラスと戦うとそもそもボール保持時の質という、ナスリの(一般論だが)一番の売りの部分が通用しないということもまた我々は知っている。

契約はあと3シーズンあるわけだが、償却は大半終わっているから売ればほとんど純利な一方、ポゼッションを支える人材としての力は確かでもあり。難しいところ。   

http://media.gettyimages.com/photos/samir-nasri-of-manchester-city-wearing-a-denim-jacket-after-the-picture-id529432288

 

 

ラヒーム・スターリング:2

一部のリバプールファンのアイドル。未だ持って何がそんなに悪かったのかよく判らないが、今シーズンは行く先々で怒られてばっかり。

開幕からレギュラーに定着し、最終的には全コンペティション通じて11得点。とくにカウンター中心で戦ったCLでは(途中まで)大いに活躍した。一方、スペースを閉鎖されると仕事が出来ず、パスの精度不足やフィニッシュの粗さが目立った。徐々にコンディションを崩し、怪我から復帰以降は試合に出てもほとんど何もできずに終了。少々厳しい評価だが、来シーズンにも後を引きそうなので2点としておく。

 

 

■ベルサント・ツェリーナ:3

リーグ戦1試合、カップ戦3試合出場。チェルシー戦を除けば顔見せ程度だったが、レスター戦では正確なクロスでアシスト1つ。一方で、スタメンだったチェルシー戦では噂のスキルをほとんど見せられずに終了。まあ今月新たに4年契約を結んだので、それなりに期待はされていそう。

 

 

■マヌ・ガルシア:4

リーグ戦1試合、カップ戦3試合出場で1得点。イニエスタと昔のスティーヴン・アイルランドを足して割ったようなMFで、攻撃面ではある程度やれるところを見せた。グアルディオラは好きそう。

 

 

■パトリック・ロバーツ:4

ちょびっとだけ出て冬にセルティックに18カ月の長期ローン。セルティックではリーグ戦12試合7得点と爆発しており、まあ動画を見るとスコットランドなのでお察しなところもあれど、明るい未来が待っていそうな予感はする。

基本的には中央切りこんで左足ミドルorワンツー、もしくはLBの裏に抜け出しの2パターンしかないので、芸を増やすのは大事。でもシーズン初めの「この人Youtube以外で活躍すんのかな」という印象は無くなりました。頑張ってね。

 

 

■ブランドン・バーカー:--

チェルシー戦で途中出場した左ウィンガー。スピードがあるのはよくわかったが、基本的にボール持ってないときはライン際で突っ立っていた。そらコラロフも困るよ。面白い選手なんだろうけど、「ナバスはバーカーのスパイクを磨いてろ」とか言っちゃう人は(いや本当にいるのよこれが。現地ファンで)ちょっと頭冷やした方が良いと思う。クネクネしているが、佇まいは格好いい。

 

 

FW

セルヒオ・アグエロ:4

アグエロがチームにいるというのは、ちょっとランクが違う女の子と付き合っちゃったときによく似ている。ちょっと不貞腐れたところが見えると、乗り換えられるんじゃないかとびびっちゃったり。ちょっと足が痛そうにしていると過剰に心配してしまったり。誇らしい一方で、いちいち気が気で無いわけだよ。ということで今年も心臓に悪い1年であった。コンディションは最終盤まで割と低調。予定通りの怪我。本気出したときの手のつけられなさも昨年やや落ちていたが、1試合1点着実に稼ぐ安定感は健在であった。コパは、、、仮病使わない?

 

 

ウィルフリード・ボニー:1

ファンブログの「対戦相手のファンに聞こう!」コーナーでとあるスウォンジーファンが語ったように、「30試合出せば結果は残す」んだと思うよ。そうなんだろうよ。でもそこまで使おうと思わせるには、余りにも満たすべき条件が多すぎた。

要するにこの人は、周りにセットアップしてもらわないとダメなのね。外や奥に走って味方のために時間とスペースを作るような、ジェコがやっていたような(出来ていたかは微妙だが)仕事も、運動量とスピードの無さゆえに果たせず。ボールは収まったが、最終的にはあらゆる局面に間に合っていなかった。そしてフィニッシュはイップス

シーズン最終盤には、アグエロ依存を懸念しての最後の戦力化が試みられたが、パフォーマンスは向上せず。残念でしたね。まあサンタクルスとか、ベンジャニよりはマシだったよ。そう言われても嬉しくないだろうが。あとはまあ、プライベートにとやかく言うのも何だが、避妊はした方がいい。

 

 

■ケレチ・イアナチョ:5

ガスパッチョの親戚。ナイジェリアから来た。本人曰く名前の読みは「Ian Nacho」。プロとしてのデビューシーズンだったが、最終的には35試合14得点。まさかこんなに取るとは。文句ないです。

ぶっちゃけ中堅以上には何が通用しているのかよくわからんのだが、エリア内でのポジション取り、フィニッシュの冷静さは素晴らしく、今のところ実効性のある貢献としては「とにかく点を取る」ことに特化している。本人はボール触りたがりなので、トップ下どころかボランチにすら降りてくるんだけどね。あとびっくりする位コメントが真面目で、全然笑わない。目はガンギマリ。どうかそのまま成長してくれ。

来シーズン以降の課題としては、後半戦で明らかになったミスパス症候群と、徐々に出てきたエゴの消化か。アーセナル戦でDF2人相手に3人でカウンターを仕掛け、ドフリーのナバスを無視してショボいシュートを放ったときは力が抜けた。あれボニーがやってたらえらいこっちゃで。あとは、モラタみたいに役割の幅が広がるといいよね。

 

 

ダヴィド・ファウパラ:4

フランス人だから「フォパラ」の方が近い気もするが、ニューカレドニア系の名字っぽいという噂もあり、よくわからない。チェルシー戦で1得点。その他もテリーに股抜きをかましたり、サイズとスピード、ボールスキルをバランスよく持ったタイプに見える。

2015/16 マンチェスター・シティ 選手別レビュウ

採点基準

5:期待を大きく超える大活躍

4:期待通りの活躍

3:可もなく不可もなく。期待通りと言うほど良くも無い

2:期待にそぐわない。不満

1:大失敗のシーズン

 

 

GK

ジョー・ハート:4

ジョーというのは「止めるしかない」「蹴るしかない」という、時流に乗り遅れた古風なGKであるが、今年はその、逃げも隠れも出来ない部分が安定していた。チャームポイントであった「頭上のクロスへの力無い猫パンチ」も少なくなってきたように思う。あと、「ゴールキックの際、ヤヤを全力で呼び続けておいて、そっちには蹴らない」という新技を準備してきたのもポイントが高い。

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■ウィリー・カバジェロ:4

リーグカップ担当。決勝戦の数日前、FAカップチェルシー戦で大失敗。ファンフォーラムやMEN紙コメント欄では「ハートに替えろ!」「これだからペレグリーニは!!」「利敵行為だブチ殺せ!!!」と大荒れに荒れたが、蓋を開けてみたらPKを3つ止めるという大活躍でTwitterには即座「ウィリーにごめんなさいする会」が結成されたという。コント見たいだった。今年限りのようだが、声が小さいことを除けばそこそこのGKだったよ。ありがとう。

 

 

リチャード・ライト:3

今年も「2人の練習に付き添う」というタスクを完遂。おじさんも今年で引退だそうです。お疲れさん。

 

CB

ヴァンサン・コンパニ:1

もう、とにかく居ない。居なすぎる。出てるときは文句ないんだが、あまりにも不在であった。これがホントの不在の騎士かという。

何試合か続けて出ると確実にハムを傷める身体になってしまったので、今後は主力として計算しづらいと言わざるをえまい。ただでさえ組み立てができないコンパニのこと、ペップ政権では脇役としての扱いは避けられないと思われる。そうなると誰かがスポークスマンとしての役割を担わなくてはならないわけで、ジョーがやるのかなあ。一時代の終わりですな。

 

 

■エリアキム・マンガラ:2

オタメンディとの交換でバレンシアに放出されかけたが、志願して残留。成長に期待が寄せられていたとのもっぱらの噂だったが、怪我もあって全体的には今一つバタバタしたパフォーマンスに終わった。コンパニがいた開幕5試合と、PSG戦に代表される最終盤はそれなりに安定していたが、ボーっとしてすぐマークを外す癖は直らず。あとオタメンディとコンパニが異常なのかもしれないが、楔のボールにアタックできてなさすぎじゃない?前から思ってたんだけど。決意の問題なのか、ポジショニングが悪いのか、アジリティが無いのか、あれだけの体躯とスピードがある割には縦の動きに弱いのが気にかかる。まあ、その2人が決意だけはべらぼうにある男だというのもあるが。

隙間に通す、とか、身体の向きと逆に蹴る、ということがとことん下手なので、ペップ政権で出番があるかは怪しいところ。しかも移籍金が£32mじゃなくて£44mだった、ということが明らかになり、要するにこれは£20m以上で売れなかったら売却損が出るということだ。マジかよ!頼むぜまじで。

http://media.gettyimages.com/photos/alexis-sanchez-of-arsenal-is-challenged-by-eliaquim-mangala-of-man-picture-id529161654

 

 

ニコラス・オタメンディ:3

CB陣としては最多出場。コンパニやマンガラと違って頑丈だったということもあり、元を取るべくしっかりと使い倒された。とにかく全部の判断が「一か八かでGO」なので、当たれば綺麗に奪えるし、当たらなければ寝てるだけ。シャチかと思うくらい寝っ転がっていた。その分、ボールを奪いきるパワーとか、瞬発力とか、その辺は凄いんだけどね。凄くなかったらただのアホである。

ボールを持っても「力いっぱいインサイドで叩く」ことしかできないので、鋭すぎるパスが綺麗に通る時もあるが、大概は引っ掛かっていた。それかサニャに渡すか。角度も距離も無さ過ぎてサニャは大分困っていた。グアルディオラが好きそうなタイプには見えないが、一方でこういうダイハードなCBというのは苦しいときに必要になるものだ。

http://media.gettyimages.com/photos/nicolas-otamendi-of-manchester-city-tackles-gareth-bale-of-real-the-picture-id528252812

 

 

マルティン・デミチェリス:2

昨夏には荷物をまとめてアルゼンチンに帰る予定だったところ、リーベルの監督交代で話が頓挫し、急遽残留。コパの疲れもあろうし、そもそも年齢的に限界でもあるし、色々と間に合っていなかった。クローザーとしてのアンカー起用は悪くなかったが、CBとしてはいきなりスパーズに4点食らうわ、ミスパスでハートを怪我させるわと良いところなし。少々残念な終わり方ではあったが、まあ3年間良く働いてくれたと言えよう。ギャンブルはほどほどに。

http://media.gettyimages.com/photos/martin-demichelis-of-manchester-city-reacts-during-the-barclays-picture-id516696224

 

 

■トーシン・アダラバイヨ:3

アカデミー上がりのイングランドユース代表。捨てゲームにしたFAカップチェルシー戦でデビューし、落ち着いた対応で「DF陣の中では一番まし」と言う評価を得た。まあ後ろの方で大人しくしてただけのようにも見えたが。身長もあるし、冷静そうにも見えるし、将来性が無いことは無いと思うのだが、見るからに組み立てがド下手だったのでちょっと不安。来シーズンいきなりの戦力化は可能性が薄い。名前は「アダラビオヨ」とも。ビヨンビヨンしている。

 

 

■キャメロン・ハンフリーズ:--

同じくアカデミー上がり。顔見せ出場。何となく体型的にはビヨンビヨンより期待できそうに見える。

 

 

 

SB

バカリ・サニャ:4

サバレタの衰えもあって右SBのレギュラーに定着。安定した守備、それなりの攻撃への貢献、ジョーのゴールキックの的として年間通して頼れるパフォーマンス。前がナバス、隣がオタメンディという単細胞コンビを必死で支える33歳、その姿はまさしく働くおっさん劇場と呼ぶにふさわしいものであったという。

 

 

パブロ・サバレタ:2

さすがに、さすがに売り切れたか。もともと皆してサバレタを使いすぎだったのだ。13/14フル稼働、ワールドカップを経て14/15もフル稼働、さらにコパアメリカと来たもんだ。まだ31歳とはいえ、消耗が激しいポジションであろうことは想像に難くない。かつてからは想像しがたいほど簡単に振り切られる姿には哀愁が漂う。本人も移籍の可能性を口にしており、愛されつつも別れの時が来ているやも。

 

 

アレクサンダル・コラロフ:2

サバレタと比べるとこの人は徹頭徹尾コラロフというか、そのすっきり爽やか摩擦係数ゼロの守備とか、カタパルトに乗っけたようなスプリントとか、「スピードも精度のうちでしょ」と思ってそうなクロスとか、6年間全然成長もして無いし衰えもしてない気がするのは私だけだろうか。でまあ、こういうタイプはチームの調子が悪いと叩かれる。気持ちはわかるが。

「皆が想像するコラロフとの差がほとんどない」と言う意味では評点3でも良いのだが、クリスマスに面白いネタをやってくれなかったので2。

 

 

ガエル・クリシ:3

怪我で出遅れたが、コラロフが疲れ始めたタイミングでレギュラーに復帰。やはりコラロフと比べると守備には一日の長があり、攻めでも気が利くので後半の重要な試合はもっぱらクリシが出ていた。ひと夏に2枚取っ替えは難しいので、来年もう1年くらいいるかも。

 

 

■アンヘリーニョ:--

NY支店で半レギュラー的に使われたあと、戻ってきてカップ戦で顔見せデビュー。それなりにボールはつなげそうだった。

http://media.gettyimages.com/photos/matthew-willock-of-manchester-united-u21s-in-action-with-angelino-of-picture-id511403750

 

 

CMF

フェルナンジーニョ:4

W杯の惨劇から1年、復活のシーズン。年間通してコンディションを維持した。開幕直後やとってもやる気があるときに見せたハイプレス&ショートカウンター、CLで見せたロングカウンターの両方において、ボール狩りに猛威を振るった。チームの成績が良ければTeam of the Yearの候補にも名が挙がったのではなかろうか。

一方で過去にグアルディオラが重宝してきたような選手と比べると明らかに性能がシンプルと言うか、芸が少ないわけだが、どう使うのかね。ファンボメル的な役割を果たせればいいんだが、あれはあれで相当に上手い選手だったからな。ちなみにフェルナンドとの見分け方は、タックルの失敗がファールになるのがフェルナンド、確信犯で殺りに行くのがジーニョ。

Zlatan Ibrahimovic of Paris St Germain and Fernandinho of Manchester City during the UEFA Champions League Quarter Final second leg match between Manchester City FC and Paris Saint-Germain at the Etihad Stadium on April 12, 2016 in Manchester, United Kingdom.

 

 

ヤヤ・トゥレ:2

 

 

 

 

上記4つが今シーズン、ヤヤについての見解をまとめた呟きになりますが、要するに低調なんだけれどもチーム編成上出さざるを得ないので風当たりは強かった。しかも走らないなら走らないで全部そうやっときゃ「何かコンディションに問題が」と思う人もいるだろうに、決勝戦だったりするとそこそこ走るからまた叩かれるという。当たり前だが。

かくして主に編成上の問題から貢献度に見合わぬ晩年を送ったヤヤも、そろそろ潮時であろう。2010年のある春の夜、ローマのホテルの1室で、悪名高き代理人、ディミトリ・セルクは嘲った。「シティ?」マンチェスター・シティ?ユナイテッドでは無く?「バルサからシティなんかに行くわけ無いだろ?」

シティの担当者は答えた。週に22万ポンド払う、と。かくしてヤヤはシティに来て、リーグを2回、FAカップリーグカップを1回ずつ取って、そして去る。悪くない取引ではなかっただろうか?

http://media.gettyimages.com/photos/manuel-pellegrini-manager-of-manchester-city-and-yaya-toure-are-seen-picture-id531583416

 

 

■フェルナンド:3

昨シーズンは「オクトパスの異名をとる、というのはプレーの質がタコという意味か」という風情であったが、今シーズン後半はこれぞまさしくオクトパスだよこれを待ってたよ、な活躍。スペース管理の概念を唯一持ち合わせるMFとして、素晴らしく効いていた。出ていくときは出ていくときで、ヤヤやジーニョと違って最低でもボールに食いついて帰ってくるのでこれまた有効。

ボール奪取後もそれなりに気の利いたタッチで味方にボールを預けており、何だ意外とボール持てるじゃんみたいな。相手が出されたくないところにボールを付けるとかって芸当はできないけど。来シーズンはより役割が限定される気もするが、ペップなら良い活用方法を編み出してくれるのではないかと期待。

http://media.gettyimages.com/photos/fernando-reges-of-manchester-city-and-miralem-pjanic-of-as-roma-the-picture-id481468318

 

 

■ファビアン・デルフ:2

スターリングよりよっぽどこいつの方が叩かれてしかるべきだと思うが、如何せん見捨てたヴィラが泥船すぎて、(シティに来たことが正しいかは置いといて)移籍自体は正解でしたね。カバー範囲の広さ、ドリブルでの打開力、左足のミドルと良い選手であることは確かなんだが、まずもって壊れてない期間が少なすぎるうえ、他のCMFとの相性がさほど良くなかったため、印象の薄い1年になってしまった。

どちらかというと此方がボールを持ったときに効くタイプだが、本人の体格の問題もあってかつてのヤヤほど突破力があるわけではなく・・・ジェコやネグレドみたいに、身体を張ってくれる選手がいると違ったかもね。ピッチ外では「いやこれビデオだから!」の一件で貢献。誰も想像しなかったデブライネとのコンビが冴えた。

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■アレーシュ・ガルシア:--

FAカップチェルシー戦でデビューしたカタルーニャ人。見た目はグランジロッカー。悪目立ちしない程度のパフォーマンス、ボールを持ったときのプレーは評判ほどではなかったかな、というのが個人的な評価だが、ファンサイト等ではMan of the matchに推す声も。

1-5で負けといてMotMもクソも無いが、まあチェルシー相手に悪目立ちしないというのはそれはそれで凄いデビューだし、試合の後半はもともと評価の高いレジスタ的プレーを何度か見せていたので、今後に期待。

 

2016シーズン ニワカと学ぶUCIワールドチーム・プレビュウ vol.5

◆トレック・セガフレード Trek-Segafredo

カンチェさよなら祭りが最大のテーマだったわけだが、だらだら書いてるうちに北のクラシックが終わってしまった。結果はストラーデ・ビアンケ優勝、E3とヘントで4位、RvVで2位、パリ~ルーベは40位。トラブルに見舞われたパリルーベを除けばサガンと並んで最強の実力を見せたが、ビッグタイトルには手が届かなかった。とは言えアルガルベとティレーノのTTステージ制覇も含めて、ほんとにこれで辞めちゃうの?という成績ではある。

 

昨年のチームはカンチェがティレーノで1勝にTDFのマイヨジョーヌ着用、ニッツォーロがジロで無勝ながらポイント賞獲得、フェッリーネがバスク1周で1勝、シュタイヴェンとファン・ポッペル弟、シュレック兄がブエルタで1勝ずつ、そしてモレマがTDF7位にジャパンカップ優勝とそこそこの出来。カンチェがいる石畳クラシックと、ニッツォーロを中心としたスプリントチームは結構強かった。あとスベルディアのおっさんもブエルタで1回勝ちかけてたな。

 

今期は総合系を強化ということで、元ジロ王者のヘシェダルとアメリカ人のステティナ、あとは豪チャンピオンのボブリッジと、ランプレにいたスプリンターのボニファツィオを獲得。一方でユンゲルス、サンレモかどっかで車に轢かれたサージェント、前述のファン・ポッペル弟といった若手~中堅を放出。全体としてはさらにおっさん化が進んでしまった気がする。まあ、自転車っておじさんの方が基本的には強いから良いんだけど。

 

にしてもカンチェを筆頭に、37歳のスベルディア、35歳のデヴォルデルとヘシェダル、34歳のイリサール、ポポヴィッチ、ラスト、シュレック兄ととにかく中年だらけである。スベルディアグランツールのトップ10が7回の実力者だし、デヴォルデルもRvV連覇という凄まじい経歴だが、全員ピークを過ぎて久しいもんなあ。グランツールは今年もモレマ中心にトップ10入り、できればトップ5を目指していくのだろうが、ヘシェダルは別としてスベルディアシュレックのあんまり頼りにならないコンビがどこまで貢献してくれるか。スプリントチームは絶対的なエースこそいないが、別府、シュタイヴェン、ファン・ポッペル兄とアシスト勢が安定しているので、相手を選べばそこそこ勝てると思われる。

 

ボウク・モレマ オランダ オールラウンダー 

ヘーシンクが伸び悩んでいるうちに登場したオランダ人総合ライダー・・・だったのだが、彼もまた伸び悩んでしまった。

2011年のブエルタで4位に入ったが、その後はTDFで6位、10位、7位と、トップ10には入るのだが、表彰台以上にはどうにも進めなくなっている。TTもそこそこ速いし山も登れるんだけどねえ・・・伝説的ライダー、ベルナール・イノー氏にも「モレマはぶっちゃけ大したことない」とか言われてしまったり。 

 

ファビアン・カンチェッラーラ スイス TTスペシャリスト/クラシック・スペシャリスト 

スペシャリスト」が2つも並んだら矛盾しとるがな、と言われそうだが、カンチェくらいになるとそれも許される。怒り心党でも取り上げられて、日本での知名度も高いカリスマ。

キャリア序盤から中盤はTT星からやってきたTT星人として地球を荒らしまくり、世界選手権のTT優勝を4回制覇。中盤からはクラシック星人に生まれ変わり、パリ~ルーベを3回、ロンド・ファン・フラーンデレンを4回、さらにはミラノ~サンレモも制してしまった。2000年代中盤から2010年代初頭の北のクラシックはほとんどカンチェッラーラボーネンの二人相撲であったとか。

とにかくパワーが半端無いので、5秒離されたら1人では絶対追いつけず、4~5人程度ならまとめて相手が出来てしまうくらい。TDFでもステージ優勝8回を誇り、非優勝者のマイヨジョーヌ着用日数記録を持っている。というくらいの超人だが、2016年を持って引退。お疲れ様でした。

 

ジャコモ・ニッツォーロ イタリア スプリンター

あんまり勝てないスプリンター。の割に去年のジロでポイント賞を取ったり、安定はしている。そこそこ登りも対応していた気がする。 

 

ライダー・ヘシェダル カナダ オールラウンダー

グランツール王者なのに圧倒的に影が薄いというか、大した扱いを受けていない気がする元ジロのチャンピオン。元々はMTBの選手で、リレーでは世界選優勝2回、個人でも2位1回に輝いている。

他のグランツール王者たちに比べるとそこまで爆裂に登れるわけでもTTが速いわけでもないが、何度離れても食いついてくるど根性は見ていて楽しい。去年のジロでは前半不調に喘ぐも、後半追い上げまくって5位。後半のタイムだけなら優勝していたとか。

 

2016シーズン ニワカと学ぶUCIワールドチーム・プレビュウ vol.4

◆ティンコフ TINKOFF

ティンコフさん劇場も今年で終わりかと思うと寂しいものがあるが、それよりチーム経営どうすんのかとか、このレベルのチームですら採算が取れないのかとか、もっと深刻な問題が横たわっている。まあサッカーですら最近ようやく黒字でやれるようになったレベルだから仕方ないのかもしれないが。

 今年はコンタドールが一応のラストイヤーということで、彼のTDF制覇が最大の目標となろう。まあ去年もそうなんだけど。マイカをどれだけコンタのアシストに集中させるのかが気になるところ。バッソがいなくなったので総合系エースが薄く、マイカをジロとブエルタに出してTDFのアシストにも回すのは厳しい気がする。

 

一応去年の成果としては、コンタドールがジロ総合優勝、ボドナールがポーランド1周で1勝、マイカがTDF1勝、あとサガン先生がティレーノ~アドレアティコ1勝、カリフォルニア総合優勝、スイス1周2勝、ブエルタ1勝、そしていつものTDFポイント賞に、世界選制覇。なんか去年の夏からずっと、みんなサガンのことばっか話している気がする。サガンくらいになるともう勝てないことが逆に面白いし、何の欠点にもならないみたいな。

http://media.gettyimages.com/photos/race-winners-lizzie-armstead-of-great-britain-and-boels-dolmans-and-picture-id518880592

とはいえポイント賞は獲り続け、世界選まで制覇して、今年はついにRvV優勝。確実にタイトルを獲れる選手になってきた。あとはミラノ~サンレモとパリ~ルーベも獲って(まあ、アクシデントが無ければそう遠くは無いように見える)、ほんで総合に転身とかするのかなあ。カンチェとボーネンを足しっぱなしにした存在みたいになってくれてもいいが。

 

バッソの引退にロジャーズの活動休止で、コンタドール五奉行もややパワーダウン。マイカが成長したにしても、グランツールは若干厳しい気がする。去年のジロもだいぶボロボロにされてたように見えたしなあ。新加入トロフィモフと、最近大人しいキシェルロヴスキの復活が欲しいところ。

 

 

ペテル・サガン スロヴァキア パンチャー/スプリンター

現世界王者。2012年、初出場のTDFで22歳にしていきなりステージ3勝とポイント賞を獲得。そのまま4年連続でポイント賞を獲得している万能スプリンター。最近は何をやっても2位止まりなのにポイント賞はとれちゃう(上れるから)ので、ステージ優勝が無いのにポイント賞ってのもねえ・・と批判されていたが、今年のTDFではめちゃめちゃに逃げまくるわ、山は登るわ、独走を始めたプラサを誰もおっかけないのに業を煮やして時速90kmで山を下るわの大活躍で、もうここに至っては批判はできないわというレベルに達してしまった。体格もキャリアも顔もイブラヒモヴィッチっぽいのだが、性格はお人よしらしい。

2015年の終わりに世界選を制覇すると、2016シーズンはRvVとヘント~ウェヴェルヘム優勝、E3とティレーノにオムループ2位、ストラーデ・ビアンケ4位と北のクラシックで大暴れ。

 

アルベルト・コンタドール スペイン オールラウンダー 

ぶっとい眉毛がトレードマーク。TDF2回、ジロ2回、ブエルタを3回制しており、実績で言えば世界最高と言ってよい存在。もちろんファンタスティック4の一人である。

山岳ではダンシング(いわゆる立ち漕ぎ)でグイッグイ登っていく上、TTもまじ強。今年のジロではトラブルに付け込んで差を広げたアスタナ勢を一人で粉砕し、アスタナの若い衆(アルーとランダ)に「お前ら調子乗んなよ」というメッセージを強烈に叩きつけた。

勝った時はピストルをバキューン!とするポーズがお気に入りで、全然似合ってないという声も気にせずやり続けている。あれ、引退までやるんだろうか。

 

イヴァン・バッソ(引退) イタリア クライマー 

コンタドール5奉行の筆頭格。かつてはランス・アームストロング引退後にロードレース界を統べる存在になると思われていたらしい。TDFでは2002年に新人賞を受賞し、2004年にステージ優勝。2006年にはジロ総合優勝を果たし、順風満帆と思われていたが、ドーピング違反で約2年間の出場停止。一番いい時期を逃してしまったが、それでも復帰後の2010年にジロで復活優勝して面目は保った。

今年から加入したティンコフでは、アシスト陣の父親のような風格。よく日本語ネット上で「バッソさん」と呼ばれるが、これは決してバルベルデさんと同じニュアンスでは無い。登坂力に優れ、特に長い山で際立つ。TTと下りが苦手。

・・・と思っていたところで、昨年のTDF途中に睾丸癌が発覚し、リタイア。癌の治療は順調なようだが、そのまま引退と相なってしまった。さらば名選手。

 

マイケル・ロジャーズ オーストラリア オールラウンダー

コンタドールの名アシスト陣の1人。若い頃は世界選手権のTT部門を3年連続で制しているが、最近はそこまで圧倒的にTTが速いわけではない模様。その代わりかどうかは知らないが、36歳の今は山岳でも安定してコンタドールを守ることができ、不在時はグランツールのステージ優勝もきっちり達成できる実力者。アシスト界では相当に大物。顔は共和党の政治家。 

 

ロマン・クロイツィゲル チェコ オールラウンダー 

バッソ、マイケル・ロジャーズ、ベンナーティ、マイカと並ぶコンタドール5奉行の1人。私が勝手に呼んでいる。アムステル・ゴールドレースやツール・ド・ロマンディといった名のあるレースも制してきたオールラウンダーで、ジュニア時代はアンディ・シュレック、ヴィンチェンツォ・ニーバリのような後のグランツール勝者と競り合ってきたらしく、チームがチームならエースを任せられているであろう。伸び盛りの時期にドーピング疑惑で1年くらい出場できなかった(結局潔白が証明された)のは残念無念。今年のジロではアスタナ勢にティンコフのアシスト陣がバラバラにされる中、一人山岳でコンタドールを支え続けていた。 

 

ラファウ・マイカ ポーランド クライマー 

コンタドールを支える有力アシストの1人。2013年初出場のジロで7位に入り、翌年のツールでは山岳賞を獲得。昨年のブエルタではティンコフのエースとして臨み、あまり得意でないTTも無難にこなして3位に入った。

キンタナやロドリゲスのように急激なペースアップで相手を叩き潰

 

すというよりは、じわじわ自分のペースで差を縮めていくタイプっぽい。コンタドールが来年限りでの引退を表明しているため、ティンコフの次期総合エースとして期待は大きい。まあティンコフじゃなくなるんだけど。JSportsのCMでは、「サイクゥルゥ、ロードレース、ミロナァラァ、Jsports」というじわじわくる棒読みを披露。

 

2016シーズン ニワカと学ぶUCIワールドチーム・プレビュウ vol.3

◆チーム・カチューシャ Team Katusha

ロシアン名物きな臭い噂でおなじみ。旧ソ組がとっ捕まりまくるアスタナに、ティンコフさんが「捕まらん限りは何でもやれ(意訳)」のティンコフ、そしてドーピング&コカインのカチューシャという黒い三連星である。

去年はグランツールホアキン、スプリントのクリストフ、短めステージレースのシュピラクとポイントゲッターがいたおかげでUCIポイントランキングはモビスターに次ぐ2位。内訳を見ると、クリストフはフランドルを含めて春先にアホほど勝ちまくり、ホアキンバスク1周で2勝+総合優勝、TDFで2勝、ブエルタで1勝+総合2位、シュピラクはスイス1周で総合優勝、ロマンディ2位、パリ~ニース3位。

それ以外には、パオリーニおじさんがヘント~ウェヴェルヘムで優勝(そしてコカイン)、チェルネツキーがカタルーニャ1周で1勝、さらに若手のザカーリンがロマンディ総合優勝とジロ1勝と大きく成長した。グランツールの総合で本気で優勝を狙うのはエース的にもアシスト的にも少々苦しいところがあるが、全方位的に満遍なく戦力が揃っている感じ。とくにスプリントチームはハラーとグアルニエーリというそこそこの実力者に加え、トレインを割ときっちり組めるのが強い。

今年は昔のドーピングがバレたG・カルーゾ、コカインのパオリーニをクビにした他、ホアキンの右腕だったモレーノがホアキンと喧嘩してモビスターへ。さらにロシア王者のトロフィモフがティンコフに引っこ抜かれてしまい、戦力的にはいずれも結構痛い。とくにジロ総合10位のトロフィモフにモレーノの離脱はホアキンにとって苦しいところで、新加入のヴァンデンブルックとターラマエでどんだけ埋まるやら。ヴァンデンブルックは過去TDFで4位に入った実力者だが、昨年はさっぱりで年齢的にも苦しいところ。ターラマエも優秀なアシストではあるのだが、そこまで山岳で粘れるかっつーと難しいような・・・

期待できそうなのは中堅から若手の成長で、まずザカーリンは今年のパリ~ニースで総合4位、クイーンステージも制しており、グランツールでトップ10が狙えるんじゃなかろうかというところ。あとお前は誰だのクズネツォフがヘント~ウェヴェルヘムでカンチェに競り勝って3位。元U23世界王者のビストロムもそろそろメジャーなレースで片鱗を見せてほしい。

 

年齢的にもアシスト的にも厳しいホアキン、体調が整わないクリストフということで昨年ほどの成功は難しそうだが、若手がどんだけ支えられるか。それが出来ないと、一気に成績が落ちそうな気もする。

 

アレクサンデル・クリストフ ノルウェー スプリンター 

デーゲンコルプと並ぶクラシック系スプリンターとして才能を開花させた北の偉丈夫。2014年のミラノ~サンレモに始まり、2015年はツアー・オブ・オマーンやらパリ~ニースやら勝ちに勝ちまくり、現時点でUCIワールドツアー最多勝。さらにロンド・ファン・フラーンデレンを制覇してモニュメント2勝目を加えた。

ノルウェー人には多いのだが、こいつも割と上れるスプリンターである。その分平地でのピュアなスプリントはキッテルたちトップクラスにやや劣る。

 

ホアキン・ロドリゲス スペイン クライマー/パンチャー

激坂めちゃめちゃ上りおじさん。小さい。30を過ぎてから坂のスペシャリストとして開花し、グランツールでのステージ優勝14回、ジロ・ディ・ロンバルディア2回、フレーシュ・ワロンヌ1回、UCIワールドツアーのポイントランキングでも1位が3回と勝ちまくっている。グランツールで勝つにはTTがさほど速くなく、長い山への対応力もやや不足している感があるが、毎年確実にポイントは取ってくる。今年のTDFではとあるステージのコースデザインを任されたが、余りにも山岳がきつ過ぎて自分も対応できなかったというお茶目なおじさん。 

 

イルヌール・ザカーリン ロシア オールラウンダー 

え、お前そんなに強かったの!?でおなじみロシア人ライダーの中でも、昨年一気にエース的存在に。ツール・ド・ロマンディでフルームを倒して総合優勝、ジロでもステージ1勝、今年もパリ~ニースのクイーンステージを制した登れる男。まだ26歳、国内TT選手権を制した力もあり、グランツールの総合でも面白い選手になりそう。タタール出身。 

 

シモン・シュピラク スロヴェニア オールラウンダー 

え、UCIランキングこんな上?(2013-15の合計で世界18位)。いや、私がニワカなのが悪いんだが、あんまり日本で名前を聞かないなという印象。ワンデーや短めのステージレースに強く、ツール・ド・ロマンディで優勝1回2位2回、ツール・ド・スイスで優勝1回。今年のツール・ド・スイスではクイーンステージ(一番高い山)で3位に入っており、山もだいぶ対応できるようだ。あとTTも結構いける。グランツールやモニュメントは現状厳しそうだが、このままUCIワールドツアーランクのステージレースで上位に入り続けるというのも、また一つの道ではある。 

 

 

◆チーム・ジャイアント・アルペシン Team Giant-Alpecin

厳しいーッ!!!とっても厳しいーッッッ!!!チーム創設以来の大スター・キッテルが抜け、スプリント3番手のメズゲッツも抜け、今年はスプリントから総合のチームに転身だ、と思っていたらまさかのキャンプ中の交通事故でデゲンコルプ、バルギルを含む主力選手が大量離脱という不運。デゲは指が千切れかかっていたという大事故で、復帰できそうで本当に良かったよ。まさか最大の障壁がイギリス人の婆さんだったとは誰が予想しようか。この写真も「僕たちはまだ気づいていなかったんだ・・・」みたいな感じになってしまった。

そのデゲンコルプは昨シーズンミラノ~サンレモにパリ~ルーベを制し、クラシックの第一人者に躍り出たのだが、今年はカンチェさよなら会に参加できず何とも残念。本当ならボーネン&カンチェ時代に変わるサガン&デゲ時代の到来だと思っていたのに。グランツール頃には復帰できるそうなので、気長に待ちたい。デゲの離脱で春クラシックはデバッケルが一応のエースを担っているが、さっぱり優勝に絡めず、やはりデゲにかかる負担は大きい。

http://media.gettyimages.com/photos/bert-de-backer-of-belgium-and-team-giantalpecin-looks-on-prior-to-the-picture-id468650908

 主な新加入はロットNLユンボのテンダムのみで、それ以外はほぼネオプロ。ドゥムランの総合化(しかもいきなりブエルタ優勝か、みたいな)もあって、グランツール総合を支える人材としての加入だが、それ以外がほとんどいないとは大丈夫なのか。ゲシュケがいるとはいえ、ブエルタで必死にドゥムランを支えていたクラドックもキャノンデールに行ってしまった。事故だから仕方ないが、今年は相当に苦しい。IAMと最下位争いをする展開もあり得そう。

 

ヨン・デゲンコルプ ドイツ スプリンター/クラシック・スペシャリスト

笑顔と口ひげがトレードマークのスプリンター。同じチームのキッテルに比べ、平坦スプリントでは劣るものの、石畳や坂への対応、独走力で大きく優る。

パリ~ツール、ヘント~ウェヴェルヘムといった名のあるワンデーレースに加え、今年はスプリンターの夢ことミラノ~サンレモに、「クラシックの女王」パリ~ルーベも制して、クラシック界の第一人者に上りつめた。また、ブエルタには相性が良く、すでにステージ通算10勝。ブエルタは山ばっかりなので他のスプリンターが嫌がるのだが、そこにある程度対応できるからと思われる。 

 

トム・ドゥムラン オランダ オールラウンダー

TOKIOの長瀬と松山ケンイチを合成して叩き潰した感じのオランダ人。花の90年世代の1人。モササウルスの化石で有名なマーストリヒトの出身である。2014年の世界選手権個人TTで3位に入り、次世代のTT王者に一番近いと思われていたが、去年のブエルタで総合ライダーとして大爆発。実質最終ステージの山岳で崩れるまでは1位をキープし、あわや優勝かという騒ぎになった。

本格的にグランツールで総合が争えるか、今年以降に期待。ただし最近のグランツールはスプリントを狙うチームと総合を狙うチームで思いっきりメンバー構成が異なるので、キッテル、デゲンコルプという2大スプリンターを抱えるジャイアントでやっていくのはちと難しい気もする。クライマーが揃う母国のロットNLに移籍した方が良いんではないだろうか。→上記の通り、チーム自体が総合向けに転換。大丈夫かな。 

 

2016シーズン ニワカと学ぶUCIワールドチーム・プレビュウ vol.2

◆ディメンション・データ Team Dimension Data

 

関係無いけど、レイナールト・ヤンセファンレンスブルフとジャック・ヤンセファンレンスブルフが赤の他人だということに衝撃を受けています。

 

MTNクベカがワールドチームに昇格し、名前もディメンション・データに。MTNがスポンサー撤退したら、NTTデータの子会社が釣れたという。データの取締役会にも上げたんだろうかこの話。いくら出してるんだこれ。

 

 

チームとしてはアフリカ発としても、プロコンとしても大成功だったはず。テクレハイマノットがドーフィネとTDF(数日間)で山岳賞ジャージを着用、カミングスがステージ勝利を挙げ、ブエルタでも伏兵スバラーリがスプリントで1勝した。

そして今年はスプリント方面を中心に一大補強を敢行。経験のあるベテランといえば聞こえはいいが、昔の名前で出ています感があるのは新興チームとしては仕方ないところかもしれない。

 

まずカヴェンディッシュに姉のレンショウ、母アイゼルとカヴ一家を総出で獲得。ツィオレック、ゴスは放出したものの、元からいたボアッソンハーゲン、ファラー、ボス、レギギと合わせて、スプリントチームは相当に強化が進んだ。奇しくも昨日のシェルデプライスでキッテルに競り負け「昔は俺もあーいう加速できたけどもう無理」と漏らしたように、カヴにかつての力は無く、さらに今年はリオ五輪のトラックに相当注力する予定のようだが、それでも以前業界屈指のスプリンターではある。今年も早速カタールで総合優勝。オマーンではボアッソンハーゲンが2勝し、ランカウィでもレイナールトの方のヤンセファンレンスブルフが総合優勝。順調な滑り出しのようだ。

 

 

総合/山岳系ではエースのマインティースを手放したが、ブエルタ山岳賞のフライレ、昔ブエルタで総合優勝もあるで!と騒がれた(そして全然そんなこと無かった)アントン、ジャパンカップでおなじみのハース、頼れる万能アシスト・シウツォウの4人を補強。総合狙いというよりは、みんなしてスプリンター勢を守るための構成と思われる。

 

多分、目標はカヴを中心としたスプリントチームでのステージ勝利量産。あとはカミングスもそこそこ勝ってくれそうだ。カミングスはすでにティレーノとバスク1週でそれぞれ1勝。頼れるおっさんである。

 

 

マーク・カヴェンディッシュ イギリス スプリンター 

人呼んでマンクス・ミサイル。オートレースで有名なマン島出身だからマンクス。2005~2012年頃までは文句なしに世界最強のスプリンターであり、ミラノ~サンレモ、グランツール全てのポイント賞、平坦基調の世界選手権と、スプリンターが取るべきタイトルは全部取っている。TDFでは合計26勝、ジロとブエルタを合わせるとグランツールで合計44勝しているという怪物である。あるが、最近は少々衰え気味で、キッテルやグライペルと比べると存在感が薄く、来年はどこかに移籍するという噂も。ピュアッピュアなスプリンターなので、坂は全然登れない。

スプリンターの割にはとても小さい。そしてよく拗ねる。最近も「ブエルタは年々アホらしくなってきてる(訳:山ばっかじゃねーか勘弁しろよ平地増やして下さいお願いします)」と発言してちょっとした話題になった。

 

エドヴァルト・ボアッソンハーゲン ノルウェー スプリンター 

神童の誉れ高くロードレース界に現れた、らしい山が登れるスプリンター。22歳にしてエネコ・ツアー、ツアー・オブ・ブリテン、ヘント~ウェヴェルヘムと名のあるレースを制しており、そのときの衝撃は凄かったとか何とか。でもその後スカイで便利屋扱いされて伸び悩んだ。ディメンション・データでは輝きを取り戻し気味

 

マーク・レンショウ オーストラリア スプリンター 

カヴェンディッシュの姉、兼最終発射台として数々の勝利を勝ち取ってきた名リードアウト。あくまで「姉」なのが、カヴェンディッシュのキャラを表していると認識頂いて結構です。ジーベルクはどうやってもグライペルの「妻」だろうし。

一時はラボバンク(今のロットNLユンボ)に移籍してエースを任せられたが、全く勝てず。カヴェンディッシュに泣き疲れたこともあって、再度エティックス、今年からはディメンション・データでコンビを再結成している。

 

◆エフデジ FDJ

フランスのエース、ピノーちゃんとデマール王子率いるフランス宝くじ公社。2015年はワールドツアー4勝+ロマンディ1周の若手賞と、まあそこそこの成績。期待されたピノーはTDFで早々に遅れてしまい、途中のステージ優勝もカミングスにかっさらわれと良いところが無かったが、ラルプ・デュエズで何とか根性を見せて上手いことまとめた。

 

一方デマールはベルギー1周で2勝しただけと相当にショボい成績に終わったが、今年は何といきなりミラノ~サンレモを制覇。絶対チームも本人も本気で狙ってなかったと思う。

 

それ以外のメンバーでは、ジロ9位のジェニエス、2013年にブエルタ1勝のエリッソンドがサブエース格か。ぶっちゃけあんまり印象は無いが、良い選手だよね。Ciclissimoによると今年の目標はツールでピノーがトップ10、五輪でピノー、世界選でデマールが総合優勝を狙うとのこと。TTが長いらしい五輪でピノーはきついと思うけど、デマールは調子良さそうなので良いとこ行くかも。デマールを支えるロワ、レザ、ルーのピンポンパントリオにも注目。

 

 

 

ルノー・デマール フランス スプリンター 

フランスのお坊ちゃんスプリンター。いや本当にお坊ちゃんかどうかは知らないが、ライバルのブアニがああいうキャラなので、自然とそういうキャラ付けがなされている。2015年、ブアニを切ったFDJの押しも押されぬ大エースとなったが、全然勝てなかった。それでこそフランス人・・・と思ったら2016年はなんとミラノ~サンレモでまさかの勝利。本人もびっくりし過ぎて「私の年収低すぎ!?」みたいなリアクションをしていた。坂も石畳も行けるので、将来的には石畳系クラシックを狙いたいらしい。

 http://media.gettyimages.com/photos/arnaud-demare-of-france-and-team-fdj-crosses-the-finish-line-during-picture-id481438180

 

ティボー・ピノー フランス クライマー

バルデと並ぶフランス期待の星。2014年のTDFでは3位&新人賞を獲得し、2015年は更なる飛躍が期待されたが、序盤から思いっきり遅れて早々に表彰台への望みが無くなり、口を開けばぐちぐち言っていたので「キャプテン・ネガティブ」とあだ名されてしまったとかしまわないとか。平地対応もちと不安だが、何より下りがごっついヘタクソなのが勿体ない。もう、めっちゃ遅いの。転ぶし。しかし考えてみれば90km/hでアルプスを下れるサガンみたいなのが異常なのであって、普通人類の身体は山をあんな速度で下るようにはできていない。

散々だった去年のTDFだが、最後にラルプ・デュエズ(ごっつい険しい山岳)でど根性の逃げからステージ優勝。なんとか面目を保った。

 

 

 

◆BMCレーシング BMC Racing Team

総合系ではスカイ、モビスター、アスタナ、ティンコフに次ぐ第5勢力。ワンデーはジルベールとGVAことヴァンアーヴェルマート、総合はヴァンガーデレンとエース級は充実しているが、アシスト勢がちょっと弱い気もする。

 

2015年はワンデー組が絶好調で、とくにGVAがティレーノ1勝、ロンデとルーベどちらも3位、アムステル5位、ツールで1勝と大活躍。ジルベールもジロでしっかり2勝した。一方でTJことヴァンガーデレンはTDFもブエルタも体調不良と怪我でリタイアとひたすらついて無かった。90年世代に追い抜かれる中で、今年こそTDFで表彰台に上りたいところ。

 

もうちょっと山岳系のアシストが充実してたらな~・・・というところで、スカイからフルームの右腕リッチー・ポートが加入。アシストだと頼れるけどエースに回すとしょうもない人だという認識なんですけど、大丈夫だろうか。とりあえずパリ~ニースは頑張っていたが。

 

あとデニス、大怪我から復帰したフィニーの若手陣には未来を感じる。とくにデニスは総合系でもいけるんではなかろかみたいな話が出ていた。ジルベール、GVA、あとサムエル・サンチェスと主軸が高齢化しつつあるので、そこいらの成長が欲しいところ。 

 

リッチー・ポート オーストラリア オールラウンダー 

フルームの右腕として2回のTDF制覇を支えた名アシスト。アシストとしては爆裂に登れる上、TTも強い。今年のTDFではたび重なる攻撃でフルームがついに決壊寸前、という絶妙のタイミングで助けに飛んできており、相手にするとほんとうっとうしい。

しかしグランツールでエースとして走るとなぜかダメダメ。今年はシーズン序盤のステージレースで勝ちまくり、押しも押されぬエースとしてジロに臨んだが大失敗した。エースとして走りたい!ということでBMCに移籍が決まったが、アメリカのチームだし、ヴァンガーデレンいるし、大丈夫だろうか。ちなみにインタビューでもエースのときは塩らしいのに、アシストのときは「強過ぎてすいませんねぇ~」とか言ったり、わりと調子こくタイプ。

 

グレッフ・ヴァンアーヴェルマート ベルギー クラシックスペシャリスト/パンチャー 

20台前半でブエルタのポイント賞を獲ってはいたのだが、脚光を浴び出したのは最近っぽい、世界屈指のパンチャー。ここ2年はパリ~ルーベ、ロンドで表彰台に上り、TDFでも念願の初ステージ制覇を成し遂げた。上り坂でのパンチ力と終盤のアタックに優れるが、多少勇気があり過ぎるというか、静観でよくない?というタイミングでも無理目にアタックを仕掛けて結局2位、という場面が多い2位ハンター。あとなぜかサガン相手にはめっちゃ強い。

現在のベルギー人選手の中ではジルベールと並ぶ有力選手なのだが、ジルベールボーネンの2人に華がありすぎて地味な印象は拭えないのがちと可哀想だなと思う。

 

ローハン・デニス オーストラリア TTスペシャリスト 

ドゥムランと並ぶ、花の90年世代屈指のクロノマン。2015年はTDFのTTステージでカンチェッラーラやマルティンを破って勝利した。2015年にはツアー・ダウンアンダーも制している。背が低い顔のくせに意外と長身(181cm)。総合型の選手への脱皮を目指しているらしい。TTはグランツールでも平気で1分2分の差が付いてしまうので、TTが強いのは相当有利。

http://media.gettyimages.com/photos/rohan-dennis-of-australia-riding-for-bmc-racing-smiles-after-chipping-picture-id485038312

 

ティージェイ・ヴァンガーデレン アメリカ オールラウンダー 

押しも押されぬアメリカ最強のライダーであり、”ファンタスティック4”に最も近い男と称されるBMCの総合系エース。

今年のTDFでは「ファブ4とか言っちゃって、あれ、僕も入って良くない?ん?わかんないけど?わかんないけど?」みたいなことを言っており、実際に優勝を狙えそうな走りを見せていたのだが、発熱であえなくリタイアしてしまって残念無念であった。まだ若いので、今後もグランツールの総合争いには確実に絡んでくるはず。

 

フィリップ・ジルベール ベルギー パンチャー 

「パンチャー」の代名詞みたいな元世界チャンピオン。2011年にはアルデンヌクラシック3つを全て勝ち、翌年にはUCI世界ランキング1位。グランツールでも通算でステージ9勝しており、好調時はマジで鬼のように強い。激坂での登坂力が持ち味だが、スプリントや終盤でのアタックなどレパートリーはさすがに広く、本格的な山岳やド平地でなければ大体優勝が狙えるんではなかろうか。かつての最終局面での失速っぷりから日本では「ジルベール黄金のタレ」と名付けられているが、最近は絶対的なアタック力が落ちた代わりに、判りやすいタレっぷりも無くなっている気がする。

 

◆チーム スカイ Team Sky

悪の軍団スカイ。昨年も嫌らしい強さで、ここ5年で3回目のTDF優勝。その他ではリッチー・ポートがダウンアンダー1勝、パリ~ニース2勝+総合優勝、カタルーニャ総合優勝の荒稼ぎに、トーマスがE3優勝。復活のエナオポーランドでステージ1勝、ケノーがドーフィネで1勝に、キリエンカ、ヴィヴィアーニとロッシュがそれぞれジロとブエルタで計3勝を挙げ、さらには大エース・フルームがドーフィネとTDFを制して最大の目標を達成。これで終わりか・・・と思っていたら何と何とキリエンカちゃんが世界選のTTで優勝のサプライズ。大成功といってよいシーズンと思われる。

今年はついにエースになりたい!と言いだしたポートがBMCへ移籍。ジロはボロッボロだったが、大丈夫か。どうも精神的に弱い感があるよね。

あとはウィギンスがロードを引退、アイゼルとシウツォウがディメンションデータに去った一方で、ランダ、ベニャト・インチャウスティ、クフャトコフスキにファンポッペル弟と超豪華補強を敢行し、プロトン1の戦力をさらに強化してしまった。

 

とかく山から丘からスプリントまで、アシストからエースまで隙が無い。TDFで他のビッグ3を圧倒したフルームに、コンタドールに勝つまで総合系として成長したトーマス、大ブレイクしたクライマーのランダで総合系は3本柱が揃い、さらにエナオ兄も控えている。またアシスト勢が強いのがここのいやらしいところで、前のチームでエース(格)だったケーニック、ロッシュに、山岳はプールスとニエベ。ニエベのおっさんもグランツールで総合トップ10が5回ですからの。どこでも安定して牽いてくれるキリエンカに、平地はロウ、スタナード、ケノーのイギリス組にお任せ的な。強すぎるでしかし。

http://media.gettyimages.com/photos/mikel-nieve-of-spain-and-team-sky-in-action-during-the-eighth-stage-picture-id450658528

さらに弱点だった、というかあんまりやる気が無かった春クラシックにクフャトコフスキが来て、ヴィヴィアーニとスウィフトのスプリント組も結構いけているという。

 

うーむ。怖いのはフルームの負傷癖とランダの謀叛くらいってか。フルーム抜くくらいで一番バランス取れると思うんですけど。

 

クリス・フルーム イギリス オールラウンダー 

今年のTDF王者であり、ファンタスティック4最後の一人。下を見ながらシャカシャカ走る変わったフォームだが、登坂力はとにかく強烈。インターバル的な登りでのスプリントにも強い上、一回引き離してもゾンビのように復活してくる。その上TTにも強く、感情の薄い顔と相まって憎たらしいことこの上ない。

性格的にも負けん気が強く、アシスト時代にエースのウィギンズに「お前おっせえんだよ俺にエース譲れ」とぶち上げたことがある。あまりの強さからフランスでは人気が無く、今年のTDFでは観客から尿をひっかけられたりしていた。さすがにそれは酷過ぎるわ。

 

 

 

ヴァシーリイ・キリエンカ ベラルーシ TTスペシャリスト 

一家に一台、山でも平地でも頼りになる鉄仮面。雨だろうが風だろうが無表情で淡々とエースを牽き続けてくれる。世が世なら社会主義労働英雄を受賞していたのではなかろうか。TTスペシャリストとはいうものの、山も結構登れる。たまに笑うが、笑顔がとても下手。

フルームのTDF制覇に貢献し、グランツールでも計3勝。アシストとしては文句のつけようのないキャリアを歩んでいたが、2015年はジロでのTTステージ優勝に加え、まさかの世界選手権TT部門を制覇してしまった。さすがにここまで大スターになるキリエンカちゃんは想定していなかったというか。そして思ったとおり、表彰式の笑顔は怖かった。 

 

オポルト・ケーニック チェコ オールラウンダー 

またの名をケーニッヒ。3年連続グランツールでトップ10入りの有力選手。このクラスの選手がアシスト、しかも第2、第3ランクのアシストに回っているのが悪の軍団スカイの嫌らしいところだよな。山で判りやすいアタックをするわけではないが、気が付くと上位にいるという、名前は銀河英雄伝みたいなのにスタイルはコソ泥っぽい男。

 

エリア・ヴィヴィアーニ イタリア スプリンター

イタリア屈指のスプリンター。まだ26歳と自転車選手としては若い方。トラックレースとの兼用なこともあってこれまでメジャータイトルは少なかったが、2015年はグランツールでの初ステージ勝利に加え、ツアー・オブ・ブリテングライペルカヴェンディッシュの2大巨頭を下して勝利。最高速度や加速力は彼らに劣るが、コース取りが上手い感じがする。そんな気がする。

 

ニコラス・ロッシュ アイルランド オールラウンダー 

父のスティーヴンはTDF、ジロ、世界選手権の三冠を達成した伝説的ライダー。自転車界の長嶋一茂的ポジション。と言ってもニコラス自体も名選手で、ブエルタではステージ通算2勝しており、トップ10フィニッシュも2回。グランツールのエースを任せるにはちと物足りないが、アシストとしては相当に有能。

 

ミケル・ランダ スペイン クライマー 

2015年に大ブレイクしたバスク人。ジロではステージ2勝に総合3位、ブエルタでもステージ1勝。エースのアルーよりも登れていたのだが、アスタナがとにかくアルー優先の作戦をとったため露骨にふてくされていた。今年は悪の軍団スカイに移籍で、ジロではエースを任せてもらえるらしい。まあリッチー・ポートの穴埋めだわな。TTが遅いのが少し気になるが、登坂力は相当なもの。眉毛の太さも相当なもの。

 

セルヒオ・エナオ コロンビア クライマー

よくエナオモントーヤと呼ばれるコロンビア人。ロードレース界はスペインおよび南米系の名前をどう呼称するかについて未だにもてあましている節があり、第二(もしくは母方の)苗字も併せて呼ぶので、ウランウランとかアナコナゴメスとか、多少変なことになっている。素直にエナオウラン、アナコナでええんや。コンタドールベラスコとか、バルベルデベルモンテとかって呼ぶわけじゃないでしょうに。

コロンビア人ライダーには割と多いのだが、高地出身のため素の状態で血液が(常人が)ドーピングした状態に近くなっているらしく、2014年にはそのせいでレースに出られない時期を過ごした不幸な人。登坂力は折り紙つきで、アルデンヌ系クラシックでは上位を伺う一人。まあスカイにいる限りは山岳アシストだろうが。見た目は何というか、「エナオどん」と呼びたくなる感じ。

 

ベニャト・インチャウスティ スペイン オールラウンダー 

モビスターにてアレハンドロ・バルベルデ師匠の子分を務めるバスク人コンタドールバルベルデホアキンの3巨頭に続く存在がいないと囁かれるスペインの中では、そこそこ若くて有能。

ジロ、ブエルタではトップ10入りの経験もあり、今年のジロでもバルベルデ、キンタナの2大エース不在の中、山岳賞争いに絡んでいた。キンタナが今後TDF制覇を狙う中で鍵になる存在・・・と思っていたら、スカイに移籍しよった。

Benat Intxausti of Spain and Team Movistar in action during Stage Six of Vuelta al Pais Vasco on April 12, 2014 in Markina, Spain.

 

ゲラント・トーマス イギリス(ウェールズ) オールラウンダー 

トラックとロードの兼用選手。トラックではチーム追い抜きで北京、ロンドンと五輪を2度制覇。ロードではフルームの忠実なアシストとして、横風にブッ飛ばされて畑に落ちたり、下り坂で突き飛ばされて鉄柱に頭ぶつけたりしながら頑張っている。

パリ~ルーベのジュニア部門を制したり、E3ハーレルベーケで優勝したり、ヘント

ウェヴェルヘムで表彰台に上がったり、クラシックには元々強かったのだが、今年のTDFでは誰もが驚く脅威の山岳対応力を披露。そのうちグランツールの総合が狙えるかもしれない。

ちなみに鉄柱に頭ぶつけたときは、医者の「あなたの名前は?」という確認に「クリス・フルーム」と答えたりする、ジョーク精神のある男。

 

ミハウ・クフャトコフスキ ポーランド オールラウンダー 

日本では「クビアトコウスキー」と呼ばれることが多い、現世界チャンピオン。

まだ25歳だがストラーデ・ビアンケ、アムステル・ゴールドレース、世界選手権を制しており、パンチャー寄りのオールラウンダーとして90年世代のトップランナーの1人。坂でのパンチ力はあのバルベルデさんとも張り合えるレベルである。

何でもこなせるという意味ではオールラウンダーではあるのだが、現状本格的な山はちょっと厳しいんじゃね?という感じ。エティックスGMのルフェーヴルは「ミハウがツール?あー無理無理!」とここでもそっけなかったが、まだ若いので将来的にはグランツールの表彰台も狙えるかもしれない。