(没にしました)マンチェスター・シティ:2018/19簡易レビュウ

 日曜日は飲むためにある。そういう訳で、夕方からカンパリで酔っ払っていた2018/19シーズンのプレミアリーグ最終日は、優勝という最高の結果で終わった(夏はカンパリがうまいからいいですよね)。10年間で4度目の優勝。素晴らしい。ジョン・マッケンに僅かな希望をかけていたあの頃、こんな未来が想像できただろうか。私は人生の春を生きている。私はCL優勝しようがどうしようがリーグで負けるのは嫌というタイプなので、割とOKなシーズンだった。 https://media.gettyimages.com/photos/jon-macken-of-manchester-city-during-the-barclays-premiership-match-picture-id51572513?s=2048x2048

 

 4度目の優勝、しかもこの10年で始めての連覇を迎えて私が心底思うのは、「ガタガタ言うな」と言うことだ。勝負弱い、立ち上がりが悪い、落ち着いてない、セットプレーに弱いと、ぶっちゃけシティファンはガタガタ言い過ぎだと思う。スタジアムも、インターネットも。そして私も含めて。1点取られて「元気がよろしおすなあ」くらいの反応でいいのではないか。まあそれは冗談にしても。 

 

 こういうナラティブは歴史が長くて、英国のファンベース自体にも、“Cityitis”(”シティっぽさ””シティ感”。大事なところで失敗してチャンスを逃す歴史的習性といったところ)という言葉があるくらいなのだ。だが事実として、シティはこの10年で最も安定して勝ち点を取っているクラブだ(2位のマンチェスター・ユナイテッドに53ポイント差ある)。失点が多くもない、セットプレーに弱くもない。勝負弱いか?いや、そんなことはなかろう。チャンピオンズリーグを除いて、2011年から向こう、勝たねばならない試合には概ね勝っている。CL除いてだが。優勝できてないのは、大体「そもそも勝たねばならない試合にたどり着けてない」パターンだと思う。まあ感覚的な話でしかないし、それはそれでもっと悪いことだが。

 最終戦だって、ちょっとパスが通らないとザワザワ、ちょっと先制されるとバタバタ、スタジアムもインターネットも騒ぎすぎなんだってば。今のシティは、絶対勝利が義務付けられたプレッシャー下で先行されても、30秒で追いつけるレジリエントなチームなのだ。ファック再現性。93:20、サンダランド戦のヤヤのあっち向いてホイループ、アグエロの左足ニアポスト。今のシティはWhen it really matterな瞬間にスリップしないチームで、私はそれで十分だ。

 

 ピッチの中が綺麗に締まった一方、ピッチ外ではスキャンダルに見舞われたシーズンだった。なにせUEFAFIFA、FA、プレミアリーグの4つから取り調べが入っているのである。ロイヤルストレートフラッシュかよ。その中でも一番注目を集めたのがFootball Leaksのタレコミに端を発するUEFAからのそれで、細かいところはこれを読んでほしいが、要するに「(FFPのブレイクイーブンルール抵触を避けるために)エティハド航空からのスポンサーフィーと偽ってオーナーの会社から資金を注入し、売上計上した」という疑いだ。

 調査の結果自体はまだ見えないが、CL出場停止になっても1,2シーズン後になりそうとのことなので、今年どうこうにはならなさそうな気配ではある。補強禁止を食らうと辛いが。ただこの件については、ダンマリを決め込むのかと思いきやいきなり「この動きのウラにはライバルクラブが絡んでると思います」と無理筋の主張をクラブのオフィシャルで繰り出してすぐ消す、という対応がクソダサすぎたので残念。

 

 Der Spiegelの見事なルポライティングによって「シティ=悪の帝国」のイメージ付けは着々と進み、ローン移籍規制で育成戦略は再考を強いられ、財政規律を重視するアプローチはサンチェス、ジョルジーニョに続いてフレンキー・デヨンも取り逃すという窮地にあり、これでもし2,3年後に補強禁止とCL出場禁止(収入減)を食らったタイミングで監督交代と考えると、アルテタになるかどうか知らんが、ペップの後任は相当に辛そうな気もする。ベニテスを1回挟んで全部被ってもらうのが良いのかもしれない。すまんな、ラファ。