日本のやり方

4月、日本、東京にて

日本サッカー協会のT会長(60)が9日、都内のJFAハウスで会見を開き、日本代表のV.監督の解任を正式に発表した。今後に目指すべき日本のサッカー像について「しっかりとしたボールをつないでいくこと」と語ったが、具体的な戦術については新監督に選んだN技術委員長(63)に一任するとした。以下、一問一答の要旨その3。

 

 -V.前監督に抗告されることはないと考えているか。

 「そういう可能性は0ではないかもしれませんが、契約に基づき、誠意をもって対応していくつもりです」

 

  -日本サッカーが目指すべき道は。

 「もちろん基本的な戦術、ベースは一緒だと思いますが、監督によってやり方が違うのは事実です。V.監督がやろうとした早い攻撃というのがあったのも事実です。そういうことが必要なのも私たちは分かっているつもりです。ただ、できるかどうか、選手が全うできるかどうか、そういうものを踏まえながら、今までのW杯で通用したもの、しなかったもの、今のサッカーに合うもの、合わないもの、そういうものを分析してわれわれはチームをつくらないといけないと思っています」

 

 -日本らしいサッカーとは。

 「しっかりとしたボールをつないでいくということです。これは私の意見ですから、監督がどう思うかは木曜日に聞いていただきたい。私たちが世界のサッカーにアダプト(適応)していくことで、それが日本のサッカーになっていくと思っています」

 

 -しっかりとしたボールとは。

 「自然を慈しむ、思いやりに富む、全体のために自制心や調和の心を働かせるといった日本古来の良さが表れているボールということ」

 

-海外のボールとは異なるということか。

 「形状は似ているが、皮の粘りに負けないコシの強さがある。海外のボールは合成皮革が中心だが、日本は本皮という伝統がある。舐めるとすこしピリッとした味がするのが特徴。そういったボールをつないでいくということ」

 

 

 

6月、ポーランドワルシャワにて 

「さて、今日はワールドカップのグループリーグ第2戦、日本戦が行われました。会場のサンクトペテルブルクにはプジェミスワフ・グウピスパツェルがいます。プジェミスワフ?」

 

「はい、こちらプジェミスワフです。」

 

「日本の戦術には驚きましたね?」

 

「ええ、私だけではなかったと思いますよ。ボビーも試合後のインタビューでずっとそのことについて触れていましたから」

 

「ちょっと変わったボールを使っていたんですって?」

 

「ちょっとどころではありませんね。まず、普通のボールより大きいんです。3mくらいはあったのかな。直径がですよ。それからとても硬いんです。普通のサッカーボールは指で押したら凹みますが、全くそういったことがないのです。驚きますね。それに何と言っても、刺激を与えると粘り気のある汁が中から出てくるんです。ものすごい粘着力です。くっついたら離れないんですよ」

 

「信じられないわ―ボールは全部そうだったのですか?」

 

「ええ、ええ。そうです。使用されたボールは全部そうでした。さっき粘着力の話をしましたが、ねとねとしたボール同士が触れ合うと、もっと強くくっつくのです―まるで接着剤ですよ!悲惨なのはカミル・グロシツキです。彼はスローインをしようとしたんですが、中途半端な場所だったので、ボールボーイが3人も揃ってボールを彼に投げてしまったんです。まあ、正確に言えば転がしたのですが。ボールはカミルの左右両方からぶつかって、手から離れなくなりました。そうこうしているうちに3つ目のボールが転がってきて、彼はじたばたする巨大な雪だるまのようになってしまいました。ピシュチェクが引き剥がそうとしましたが、無駄でした。我々はグロシツキがゆっくりと動かなくなっていくところを見ていることしかできませんでした。最後にピクリと動いたのが、彼の最後の力だったのか、ボールの重さによるものだったのか、我々には知る由もありません。」

 

「ありがとうプジェミスワフ。サンクトペテルブルクから悲しいニュースをお伝えしました。次は国会です。この一ヶ月争点となってきた第二次補正予算案に関する今日の国会答弁では・・・」