2017/18 マンチェスター・シティ 選手名鑑(トップチーム+α編その1)
GK
1 クラウディオ・ブラボ Claudio BRAVO
ほら、イップスって言ったでしょ?というのはコパ・アメリカ限りの印象で、未だシティでは汚名を返上する機会を得ていない、昨シーズンの歩く大災害。今年はエデルソンの獲得で控え降格。W杯の準備としては大変そうだが、重圧が減って良いのではないか。途中から改善傾向にはあったので、復活が期待されるところ。
31 エデルソン・モライス EDERSON Moraes ブラジル代表
とかく欧州に生息するブラジル人GKというのは当たるんだか当たらないんだか、良い選手なんだかそうじゃないんだか、よくわからない生き物だということになっていて、例外なのはインテルにいた頃のジュリオ・セーザルぐらいだという噂もある。何せエデルソンの前にプレミアでレギュラーを張ったブラジル人GKというのは、“バターハンド“ゴメス先生しかいないわけだから。
そう思って大した期待もかけていなかったエデルソンだが、組み立てられるし、セーブができるし、何より守備範囲が広い。あと5年はスタメンを任せられそうな風格が漂う。
32 ダニエル・グリムショウ Daniel GRIMSHAW*1
昨シーズンの昨シーズンのユースチームでは正GKを努めていた19歳。アンガス・ガンのレンタル移籍に伴い、夏のツアーに招集。シティの育成は割とGKが弱くて、過去15年見てもシュマイケル息子程度しかトップリーグで活躍していると言える選手はいないのだが、その歴史を断ち切ってもらいたいもの。
49 アリヤネト”アロ”・ムリッチ Arijanet MURIC*
GK不足で夏のツアーに招集されたモンテネグロ系スイス人。18歳にして196cmの巨漢。足元は「苦手です!」と潔く宣言。まあ、ユーゴ系は大体そう。
DF
4 ヴァンサン・コンパニ Vincent KOMPANY
塩野七生は言いました。理想的な主将とは、古代ローマの百人隊長が務まるような人間でなくてはならないと。またあるイギリス人は言いました。理想的な主将とは、保険のセールスマンであり、外交官であり、教師であり、その他諸々。Numberに書いてありました。
そういう意味で、フィットさえしていれば、コンパニ以上の主将はいない。フィットさえしていればな。今シーズンはついに怪我を克服したとの触れ込みで開幕からスタメン出場。そして大方の予想通り、1ヶ月ほどして負傷離脱。私の試算では、今やイギリスに行ってコンパニが出場している試合を見るより、志賀高原に行ってオコジョを見つけるほうが簡単である。
5 ジョン・ストーンズ John STONES***
20年前に1シーズンだけプレミアにいたというバーンズリーで育った若手CB。最終ラインから組み立てられる貴重なDFとして昨シーズン加入。チャンスに直結するパスを連発したが、ボール扱いに自信を持ちすぎてちょくちょくえらい目にあったり、大事な場面であっさり交わされたりしていた上、シティのイングランド人なので叩きに叩かれた。今シーズンは4バックでも3バックでも現時点では安定したパフォーマンスを見せている。ロングフィードが多少正確なくらいで組み立ては別に上手くも何とも無かったリオ・ファーディナンドが「足技に長けた現代的なCB」と呼ばれていたように、結局CBは守れている限り他の評価がくっついてくるのだ。
15 エリアキム・マンガラ Eliaquim MANGALA
まさかのときのジョニー・エヴァンズ!(バァアアアン!!!)。彼の武器はただ一つ!冷静なカバーリング。それと両足が使えること。二つ。武器は二つ!。冷静なカバーリング、両足が使える、経験が豊富。違う、三つだ。武器は三つ!冷静なカバーリング、両足が使える、経験が豊富。それにすてきな笑顔。もう!!
という話をしようと思っていたら、結局エヴァンズが来なかったので残留したフランス代表。数年前に「コンパニ相方問題の最終的解決」として加入したが、とくに信頼を得られないまま4シーズン目。力はあるんだけどねえ。ペップ政権下では苦手な組み立ても要求されるとあって逆風甚だしいが、CBの4番手かつCB陣唯一の左利きとして頑張って欲しいところ。すこぶる真面目。
24 トーシン・アダラバイヨ Tosin ADARABIOYO*
5歳からシティにいる196cmのCB。在籍年数だけで言えばチームの最古参。5歳て。
まだ19歳ではあるものの、序列は5番目だし、さして怪物感を感じさせるシーンもないし、正直に言って多少将来が心配になるが、今年新たに2021年まで契約を延長したということで、信じて待ちたい。
30 ニコラス・オタメンディ Nicolás OTAMENDI
2010年南アW杯、マラドーナ率いるスチャラカアルゼンチンで、何故かサネッティに代わって右サイドバックをやらされていたクソ芋青年が、シティ随一のファイターに成長。まあ成長したのは主にバレンシアでだが。まずタトゥー増えすぎ。
シティではグアルディオラの指導のもと、ビルドアップの上達が著しい。ポストプレー潰しも上手く、なるべく高い位置でボールを回収したいシティにとってはありがたい存在。
2 カイル・ウォーカー Kyle WALKER***
10代の少年少女は知らないかもしれないが、間の抜けた補強と言えばトッテナムという時代があったのだよ。クラブ最高額で買ったFWを腐り切るまで干したり、同じポジションの若手を4人揃えて全員モノにならなかったり、下部クラブの期待の若手を引っこ抜いてそのライバルクラブに速攻で貸したり。その中でも「英国系の優秀な選手がいたらとりあえず引き抜く」というのがあったのだが、失敗を重ねた上に今の才気あふれる若きスパーズがあるのであって、石の上にも3年の精神は素晴らしいと思う。3年どころではなかったが。
話が長くなったが、その象徴の1人がウォーカーだと私は思っている。カイル・ノートンと一緒にスパーズに引き抜かれたときは身体が強い以外の取り柄がよくわからんやつだなと思っていたが、イングランド1の右バックに成長して今期加入。昨季、解法を露わにされたペップ戦術を立て直す鍵として期待がかかるが、加入早々性能の違いを見せつけて右サイドに安定をもたらしている。チャームポイントは右腕のにゃーん。
3 ダニーロ DANILO
転職するなら、アービトラージ効くところ。給料や格は下がりやすいが。だからレアル・マドリーでカルバハルと比較されていると中途半端な器用貧乏でしかないダニーロも、プレミアに来るとRB / RWBとしての攻撃力はあるわ、LWBとしても無難にこなせるわ、DMFやCBにも対応するわ、高性能のSBに生まれ変わるわけよ。ミスも多いが。ただ、一番レアルっぽいのは読唇術を警戒して口元を隠して話すところ。イギリスはその心配ないから。
全世界でダニ・アウベスの株が下がりまくっている今、アウベスを獲り逃した結果ダニーロが獲れて良かったと言えるのではないか。万事塞翁が馬である。
45 デミーコ・ドゥヘイニー Demeaco DUHANEY*
夏のアメリカツアーに途中招集されたティーンエイジャー。読み方はドゥハーニーともドゥアニーとも。両サイドバックできるが、右が本職らしい。とりあえず活きは良かった。タイロン・ミアーズ、オヌオハ、リチャーズ、トリッピア、シャルーム・ローガン、リース・ウォバラ、エラブデラウィと、そこそこの右バックを排出することにかけてはそこそこ定評があるシティ物件なので、期待してほしい。そこそこ。
22 バンジャマン・メンディ Benjamin MENDY
インスタグラム担当大臣が来たと思っていたら、今度はツイッター天皇だった。TL上にてシティファンの心を弄ぶこと数週間、ハードルを上げに上げて加入した元モナコの左サイドバック。もともとシティの左バックというのはこの15年安定しなかったポジションで、コラロフやクリシが一番成功した例と言ってもいいぐらいなので、この先5,6年を担う選手として期待は大きい。プレーの破壊力は以下に引用する通り圧倒的。懸念は度々受け渡しやラインを間違える守備面と、健康。なんつっても、左バック1人しかいないし。
メンディ見てるとなんか日本がキャッチアップするとか、絶望的にしか感じなくなって嫌。
— アト (@atosann) 2017年9月9日
トップレベルの進化が止まらない。
もうバスケ並みに、日本人がやるようなスポーツでは無くなってしまうのかもしれない。(多分少し悲観し過ぎ)
欧州201617シーズンの気になった選手イレブンを決めよう。 - サッカーの面白い戦術分析を心がけます
ベンジャミン・メンディーは、モナコの左サイドバック。たぶん、右サイドバックもできる。とにかく速い。超特急。味方のフォローがないと、クロスを上げるだけマシーンになりがちなサイドバックとは一線を画します。突破のドリブルも使いこなし、超攻撃的な左サイドバックとして、世界屈指になる日は近いです。