2015/16 マンチェスター・シティ 選手別レビュウ

採点基準

5:期待を大きく超える大活躍

4:期待通りの活躍

3:可もなく不可もなく。期待通りと言うほど良くも無い

2:期待にそぐわない。不満

1:大失敗のシーズン

 

 

GK

ジョー・ハート:4

ジョーというのは「止めるしかない」「蹴るしかない」という、時流に乗り遅れた古風なGKであるが、今年はその、逃げも隠れも出来ない部分が安定していた。チャームポイントであった「頭上のクロスへの力無い猫パンチ」も少なくなってきたように思う。あと、「ゴールキックの際、ヤヤを全力で呼び続けておいて、そっちには蹴らない」という新技を準備してきたのもポイントが高い。

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■ウィリー・カバジェロ:4

リーグカップ担当。決勝戦の数日前、FAカップチェルシー戦で大失敗。ファンフォーラムやMEN紙コメント欄では「ハートに替えろ!」「これだからペレグリーニは!!」「利敵行為だブチ殺せ!!!」と大荒れに荒れたが、蓋を開けてみたらPKを3つ止めるという大活躍でTwitterには即座「ウィリーにごめんなさいする会」が結成されたという。コント見たいだった。今年限りのようだが、声が小さいことを除けばそこそこのGKだったよ。ありがとう。

 

 

リチャード・ライト:3

今年も「2人の練習に付き添う」というタスクを完遂。おじさんも今年で引退だそうです。お疲れさん。

 

CB

ヴァンサン・コンパニ:1

もう、とにかく居ない。居なすぎる。出てるときは文句ないんだが、あまりにも不在であった。これがホントの不在の騎士かという。

何試合か続けて出ると確実にハムを傷める身体になってしまったので、今後は主力として計算しづらいと言わざるをえまい。ただでさえ組み立てができないコンパニのこと、ペップ政権では脇役としての扱いは避けられないと思われる。そうなると誰かがスポークスマンとしての役割を担わなくてはならないわけで、ジョーがやるのかなあ。一時代の終わりですな。

 

 

■エリアキム・マンガラ:2

オタメンディとの交換でバレンシアに放出されかけたが、志願して残留。成長に期待が寄せられていたとのもっぱらの噂だったが、怪我もあって全体的には今一つバタバタしたパフォーマンスに終わった。コンパニがいた開幕5試合と、PSG戦に代表される最終盤はそれなりに安定していたが、ボーっとしてすぐマークを外す癖は直らず。あとオタメンディとコンパニが異常なのかもしれないが、楔のボールにアタックできてなさすぎじゃない?前から思ってたんだけど。決意の問題なのか、ポジショニングが悪いのか、アジリティが無いのか、あれだけの体躯とスピードがある割には縦の動きに弱いのが気にかかる。まあ、その2人が決意だけはべらぼうにある男だというのもあるが。

隙間に通す、とか、身体の向きと逆に蹴る、ということがとことん下手なので、ペップ政権で出番があるかは怪しいところ。しかも移籍金が£32mじゃなくて£44mだった、ということが明らかになり、要するにこれは£20m以上で売れなかったら売却損が出るということだ。マジかよ!頼むぜまじで。

http://media.gettyimages.com/photos/alexis-sanchez-of-arsenal-is-challenged-by-eliaquim-mangala-of-man-picture-id529161654

 

 

ニコラス・オタメンディ:3

CB陣としては最多出場。コンパニやマンガラと違って頑丈だったということもあり、元を取るべくしっかりと使い倒された。とにかく全部の判断が「一か八かでGO」なので、当たれば綺麗に奪えるし、当たらなければ寝てるだけ。シャチかと思うくらい寝っ転がっていた。その分、ボールを奪いきるパワーとか、瞬発力とか、その辺は凄いんだけどね。凄くなかったらただのアホである。

ボールを持っても「力いっぱいインサイドで叩く」ことしかできないので、鋭すぎるパスが綺麗に通る時もあるが、大概は引っ掛かっていた。それかサニャに渡すか。角度も距離も無さ過ぎてサニャは大分困っていた。グアルディオラが好きそうなタイプには見えないが、一方でこういうダイハードなCBというのは苦しいときに必要になるものだ。

http://media.gettyimages.com/photos/nicolas-otamendi-of-manchester-city-tackles-gareth-bale-of-real-the-picture-id528252812

 

 

マルティン・デミチェリス:2

昨夏には荷物をまとめてアルゼンチンに帰る予定だったところ、リーベルの監督交代で話が頓挫し、急遽残留。コパの疲れもあろうし、そもそも年齢的に限界でもあるし、色々と間に合っていなかった。クローザーとしてのアンカー起用は悪くなかったが、CBとしてはいきなりスパーズに4点食らうわ、ミスパスでハートを怪我させるわと良いところなし。少々残念な終わり方ではあったが、まあ3年間良く働いてくれたと言えよう。ギャンブルはほどほどに。

http://media.gettyimages.com/photos/martin-demichelis-of-manchester-city-reacts-during-the-barclays-picture-id516696224

 

 

■トーシン・アダラバイヨ:3

アカデミー上がりのイングランドユース代表。捨てゲームにしたFAカップチェルシー戦でデビューし、落ち着いた対応で「DF陣の中では一番まし」と言う評価を得た。まあ後ろの方で大人しくしてただけのようにも見えたが。身長もあるし、冷静そうにも見えるし、将来性が無いことは無いと思うのだが、見るからに組み立てがド下手だったのでちょっと不安。来シーズンいきなりの戦力化は可能性が薄い。名前は「アダラビオヨ」とも。ビヨンビヨンしている。

 

 

■キャメロン・ハンフリーズ:--

同じくアカデミー上がり。顔見せ出場。何となく体型的にはビヨンビヨンより期待できそうに見える。

 

 

 

SB

バカリ・サニャ:4

サバレタの衰えもあって右SBのレギュラーに定着。安定した守備、それなりの攻撃への貢献、ジョーのゴールキックの的として年間通して頼れるパフォーマンス。前がナバス、隣がオタメンディという単細胞コンビを必死で支える33歳、その姿はまさしく働くおっさん劇場と呼ぶにふさわしいものであったという。

 

 

パブロ・サバレタ:2

さすがに、さすがに売り切れたか。もともと皆してサバレタを使いすぎだったのだ。13/14フル稼働、ワールドカップを経て14/15もフル稼働、さらにコパアメリカと来たもんだ。まだ31歳とはいえ、消耗が激しいポジションであろうことは想像に難くない。かつてからは想像しがたいほど簡単に振り切られる姿には哀愁が漂う。本人も移籍の可能性を口にしており、愛されつつも別れの時が来ているやも。

 

 

アレクサンダル・コラロフ:2

サバレタと比べるとこの人は徹頭徹尾コラロフというか、そのすっきり爽やか摩擦係数ゼロの守備とか、カタパルトに乗っけたようなスプリントとか、「スピードも精度のうちでしょ」と思ってそうなクロスとか、6年間全然成長もして無いし衰えもしてない気がするのは私だけだろうか。でまあ、こういうタイプはチームの調子が悪いと叩かれる。気持ちはわかるが。

「皆が想像するコラロフとの差がほとんどない」と言う意味では評点3でも良いのだが、クリスマスに面白いネタをやってくれなかったので2。

 

 

ガエル・クリシ:3

怪我で出遅れたが、コラロフが疲れ始めたタイミングでレギュラーに復帰。やはりコラロフと比べると守備には一日の長があり、攻めでも気が利くので後半の重要な試合はもっぱらクリシが出ていた。ひと夏に2枚取っ替えは難しいので、来年もう1年くらいいるかも。

 

 

■アンヘリーニョ:--

NY支店で半レギュラー的に使われたあと、戻ってきてカップ戦で顔見せデビュー。それなりにボールはつなげそうだった。

http://media.gettyimages.com/photos/matthew-willock-of-manchester-united-u21s-in-action-with-angelino-of-picture-id511403750

 

 

CMF

フェルナンジーニョ:4

W杯の惨劇から1年、復活のシーズン。年間通してコンディションを維持した。開幕直後やとってもやる気があるときに見せたハイプレス&ショートカウンター、CLで見せたロングカウンターの両方において、ボール狩りに猛威を振るった。チームの成績が良ければTeam of the Yearの候補にも名が挙がったのではなかろうか。

一方で過去にグアルディオラが重宝してきたような選手と比べると明らかに性能がシンプルと言うか、芸が少ないわけだが、どう使うのかね。ファンボメル的な役割を果たせればいいんだが、あれはあれで相当に上手い選手だったからな。ちなみにフェルナンドとの見分け方は、タックルの失敗がファールになるのがフェルナンド、確信犯で殺りに行くのがジーニョ。

Zlatan Ibrahimovic of Paris St Germain and Fernandinho of Manchester City during the UEFA Champions League Quarter Final second leg match between Manchester City FC and Paris Saint-Germain at the Etihad Stadium on April 12, 2016 in Manchester, United Kingdom.

 

 

ヤヤ・トゥレ:2

 

 

 

 

上記4つが今シーズン、ヤヤについての見解をまとめた呟きになりますが、要するに低調なんだけれどもチーム編成上出さざるを得ないので風当たりは強かった。しかも走らないなら走らないで全部そうやっときゃ「何かコンディションに問題が」と思う人もいるだろうに、決勝戦だったりするとそこそこ走るからまた叩かれるという。当たり前だが。

かくして主に編成上の問題から貢献度に見合わぬ晩年を送ったヤヤも、そろそろ潮時であろう。2010年のある春の夜、ローマのホテルの1室で、悪名高き代理人、ディミトリ・セルクは嘲った。「シティ?」マンチェスター・シティ?ユナイテッドでは無く?「バルサからシティなんかに行くわけ無いだろ?」

シティの担当者は答えた。週に22万ポンド払う、と。かくしてヤヤはシティに来て、リーグを2回、FAカップリーグカップを1回ずつ取って、そして去る。悪くない取引ではなかっただろうか?

http://media.gettyimages.com/photos/manuel-pellegrini-manager-of-manchester-city-and-yaya-toure-are-seen-picture-id531583416

 

 

■フェルナンド:3

昨シーズンは「オクトパスの異名をとる、というのはプレーの質がタコという意味か」という風情であったが、今シーズン後半はこれぞまさしくオクトパスだよこれを待ってたよ、な活躍。スペース管理の概念を唯一持ち合わせるMFとして、素晴らしく効いていた。出ていくときは出ていくときで、ヤヤやジーニョと違って最低でもボールに食いついて帰ってくるのでこれまた有効。

ボール奪取後もそれなりに気の利いたタッチで味方にボールを預けており、何だ意外とボール持てるじゃんみたいな。相手が出されたくないところにボールを付けるとかって芸当はできないけど。来シーズンはより役割が限定される気もするが、ペップなら良い活用方法を編み出してくれるのではないかと期待。

http://media.gettyimages.com/photos/fernando-reges-of-manchester-city-and-miralem-pjanic-of-as-roma-the-picture-id481468318

 

 

■ファビアン・デルフ:2

スターリングよりよっぽどこいつの方が叩かれてしかるべきだと思うが、如何せん見捨てたヴィラが泥船すぎて、(シティに来たことが正しいかは置いといて)移籍自体は正解でしたね。カバー範囲の広さ、ドリブルでの打開力、左足のミドルと良い選手であることは確かなんだが、まずもって壊れてない期間が少なすぎるうえ、他のCMFとの相性がさほど良くなかったため、印象の薄い1年になってしまった。

どちらかというと此方がボールを持ったときに効くタイプだが、本人の体格の問題もあってかつてのヤヤほど突破力があるわけではなく・・・ジェコやネグレドみたいに、身体を張ってくれる選手がいると違ったかもね。ピッチ外では「いやこれビデオだから!」の一件で貢献。誰も想像しなかったデブライネとのコンビが冴えた。

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■アレーシュ・ガルシア:--

FAカップチェルシー戦でデビューしたカタルーニャ人。見た目はグランジロッカー。悪目立ちしない程度のパフォーマンス、ボールを持ったときのプレーは評判ほどではなかったかな、というのが個人的な評価だが、ファンサイト等ではMan of the matchに推す声も。

1-5で負けといてMotMもクソも無いが、まあチェルシー相手に悪目立ちしないというのはそれはそれで凄いデビューだし、試合の後半はもともと評価の高いレジスタ的プレーを何度か見せていたので、今後に期待。