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2016シーズン ニワカと学ぶUCIワールドチーム・プレビュウ vol.3

◆チーム・カチューシャ Team Katusha

ロシアン名物きな臭い噂でおなじみ。旧ソ組がとっ捕まりまくるアスタナに、ティンコフさんが「捕まらん限りは何でもやれ(意訳)」のティンコフ、そしてドーピング&コカインのカチューシャという黒い三連星である。

去年はグランツールホアキン、スプリントのクリストフ、短めステージレースのシュピラクとポイントゲッターがいたおかげでUCIポイントランキングはモビスターに次ぐ2位。内訳を見ると、クリストフはフランドルを含めて春先にアホほど勝ちまくり、ホアキンバスク1周で2勝+総合優勝、TDFで2勝、ブエルタで1勝+総合2位、シュピラクはスイス1周で総合優勝、ロマンディ2位、パリ~ニース3位。

それ以外には、パオリーニおじさんがヘント~ウェヴェルヘムで優勝(そしてコカイン)、チェルネツキーがカタルーニャ1周で1勝、さらに若手のザカーリンがロマンディ総合優勝とジロ1勝と大きく成長した。グランツールの総合で本気で優勝を狙うのはエース的にもアシスト的にも少々苦しいところがあるが、全方位的に満遍なく戦力が揃っている感じ。とくにスプリントチームはハラーとグアルニエーリというそこそこの実力者に加え、トレインを割ときっちり組めるのが強い。

今年は昔のドーピングがバレたG・カルーゾ、コカインのパオリーニをクビにした他、ホアキンの右腕だったモレーノがホアキンと喧嘩してモビスターへ。さらにロシア王者のトロフィモフがティンコフに引っこ抜かれてしまい、戦力的にはいずれも結構痛い。とくにジロ総合10位のトロフィモフにモレーノの離脱はホアキンにとって苦しいところで、新加入のヴァンデンブルックとターラマエでどんだけ埋まるやら。ヴァンデンブルックは過去TDFで4位に入った実力者だが、昨年はさっぱりで年齢的にも苦しいところ。ターラマエも優秀なアシストではあるのだが、そこまで山岳で粘れるかっつーと難しいような・・・

期待できそうなのは中堅から若手の成長で、まずザカーリンは今年のパリ~ニースで総合4位、クイーンステージも制しており、グランツールでトップ10が狙えるんじゃなかろうかというところ。あとお前は誰だのクズネツォフがヘント~ウェヴェルヘムでカンチェに競り勝って3位。元U23世界王者のビストロムもそろそろメジャーなレースで片鱗を見せてほしい。

 

年齢的にもアシスト的にも厳しいホアキン、体調が整わないクリストフということで昨年ほどの成功は難しそうだが、若手がどんだけ支えられるか。それが出来ないと、一気に成績が落ちそうな気もする。

 

アレクサンデル・クリストフ ノルウェー スプリンター 

デーゲンコルプと並ぶクラシック系スプリンターとして才能を開花させた北の偉丈夫。2014年のミラノ~サンレモに始まり、2015年はツアー・オブ・オマーンやらパリ~ニースやら勝ちに勝ちまくり、現時点でUCIワールドツアー最多勝。さらにロンド・ファン・フラーンデレンを制覇してモニュメント2勝目を加えた。

ノルウェー人には多いのだが、こいつも割と上れるスプリンターである。その分平地でのピュアなスプリントはキッテルたちトップクラスにやや劣る。

 

ホアキン・ロドリゲス スペイン クライマー/パンチャー

激坂めちゃめちゃ上りおじさん。小さい。30を過ぎてから坂のスペシャリストとして開花し、グランツールでのステージ優勝14回、ジロ・ディ・ロンバルディア2回、フレーシュ・ワロンヌ1回、UCIワールドツアーのポイントランキングでも1位が3回と勝ちまくっている。グランツールで勝つにはTTがさほど速くなく、長い山への対応力もやや不足している感があるが、毎年確実にポイントは取ってくる。今年のTDFではとあるステージのコースデザインを任されたが、余りにも山岳がきつ過ぎて自分も対応できなかったというお茶目なおじさん。 

 

イルヌール・ザカーリン ロシア オールラウンダー 

え、お前そんなに強かったの!?でおなじみロシア人ライダーの中でも、昨年一気にエース的存在に。ツール・ド・ロマンディでフルームを倒して総合優勝、ジロでもステージ1勝、今年もパリ~ニースのクイーンステージを制した登れる男。まだ26歳、国内TT選手権を制した力もあり、グランツールの総合でも面白い選手になりそう。タタール出身。 

 

シモン・シュピラク スロヴェニア オールラウンダー 

え、UCIランキングこんな上?(2013-15の合計で世界18位)。いや、私がニワカなのが悪いんだが、あんまり日本で名前を聞かないなという印象。ワンデーや短めのステージレースに強く、ツール・ド・ロマンディで優勝1回2位2回、ツール・ド・スイスで優勝1回。今年のツール・ド・スイスではクイーンステージ(一番高い山)で3位に入っており、山もだいぶ対応できるようだ。あとTTも結構いける。グランツールやモニュメントは現状厳しそうだが、このままUCIワールドツアーランクのステージレースで上位に入り続けるというのも、また一つの道ではある。 

 

 

◆チーム・ジャイアント・アルペシン Team Giant-Alpecin

厳しいーッ!!!とっても厳しいーッッッ!!!チーム創設以来の大スター・キッテルが抜け、スプリント3番手のメズゲッツも抜け、今年はスプリントから総合のチームに転身だ、と思っていたらまさかのキャンプ中の交通事故でデゲンコルプ、バルギルを含む主力選手が大量離脱という不運。デゲは指が千切れかかっていたという大事故で、復帰できそうで本当に良かったよ。まさか最大の障壁がイギリス人の婆さんだったとは誰が予想しようか。この写真も「僕たちはまだ気づいていなかったんだ・・・」みたいな感じになってしまった。

そのデゲンコルプは昨シーズンミラノ~サンレモにパリ~ルーベを制し、クラシックの第一人者に躍り出たのだが、今年はカンチェさよなら会に参加できず何とも残念。本当ならボーネン&カンチェ時代に変わるサガン&デゲ時代の到来だと思っていたのに。グランツール頃には復帰できるそうなので、気長に待ちたい。デゲの離脱で春クラシックはデバッケルが一応のエースを担っているが、さっぱり優勝に絡めず、やはりデゲにかかる負担は大きい。

http://media.gettyimages.com/photos/bert-de-backer-of-belgium-and-team-giantalpecin-looks-on-prior-to-the-picture-id468650908

 主な新加入はロットNLユンボのテンダムのみで、それ以外はほぼネオプロ。ドゥムランの総合化(しかもいきなりブエルタ優勝か、みたいな)もあって、グランツール総合を支える人材としての加入だが、それ以外がほとんどいないとは大丈夫なのか。ゲシュケがいるとはいえ、ブエルタで必死にドゥムランを支えていたクラドックもキャノンデールに行ってしまった。事故だから仕方ないが、今年は相当に苦しい。IAMと最下位争いをする展開もあり得そう。

 

ヨン・デゲンコルプ ドイツ スプリンター/クラシック・スペシャリスト

笑顔と口ひげがトレードマークのスプリンター。同じチームのキッテルに比べ、平坦スプリントでは劣るものの、石畳や坂への対応、独走力で大きく優る。

パリ~ツール、ヘント~ウェヴェルヘムといった名のあるワンデーレースに加え、今年はスプリンターの夢ことミラノ~サンレモに、「クラシックの女王」パリ~ルーベも制して、クラシック界の第一人者に上りつめた。また、ブエルタには相性が良く、すでにステージ通算10勝。ブエルタは山ばっかりなので他のスプリンターが嫌がるのだが、そこにある程度対応できるからと思われる。 

 

トム・ドゥムラン オランダ オールラウンダー

TOKIOの長瀬と松山ケンイチを合成して叩き潰した感じのオランダ人。花の90年世代の1人。モササウルスの化石で有名なマーストリヒトの出身である。2014年の世界選手権個人TTで3位に入り、次世代のTT王者に一番近いと思われていたが、去年のブエルタで総合ライダーとして大爆発。実質最終ステージの山岳で崩れるまでは1位をキープし、あわや優勝かという騒ぎになった。

本格的にグランツールで総合が争えるか、今年以降に期待。ただし最近のグランツールはスプリントを狙うチームと総合を狙うチームで思いっきりメンバー構成が異なるので、キッテル、デゲンコルプという2大スプリンターを抱えるジャイアントでやっていくのはちと難しい気もする。クライマーが揃う母国のロットNLに移籍した方が良いんではないだろうか。→上記の通り、チーム自体が総合向けに転換。大丈夫かな。